水景に癒される。長野・山梨・静岡ドライブ(2)

右手の滝は上流からの川から流れ、左手の滝は溶岩から湧き出している 甲府市から南アルプス市へと入り、最初に訪れた“水景”は櫛形山の中腹にある閑静な湖「南伊奈ヶ湖」。それから国道139号線を南下して、静岡県富士宮市では箱庭のような繊細な景観が美しい「陣馬の滝」に立ち寄った。
新富士ICで新東名高速道路に乗って、大井川のそばの島田金谷ICまで一気に移動したあとは、大井川鐡道沿いの国道473号線を北上。上流部の山間部に位置する「奥大井湖上駅」や寸又峡温泉の「夢の吊橋」で、山あいの雄大な湖とそこに架かる橋の絶景を堪能した。移動距離は約300km。長丁場のドライブとなった。

ドライブルート

茅野市−(国道20号線) −諏訪市−(国道20・152号線など) −茅野市−(国道152・20号線) −諏訪南IC−(中央自動車道) −双葉JCT−(中央自動車道) −勝沼IC−(国道20・140号線など) −山梨市−(国道140号線) −甲府市−(県道5・12号線など) −南アルプス市−(県道108・36号線など) −富士宮市−(国道139号線、県道414号線) −富士宮市−(国道139号線) −新富士IC−(新東名高速道路) −島田金谷IC−(県道63号線、国道362号線など) −榛原郡川根本町犬間−(県道388・77号線) −榛原郡川根本町千頭−(県道77号線、国道362号線) −静岡市

全行程 約496km、今回 約292km

<赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします>

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南伊奈ヶ湖

湖に向かう途中、正面に櫛形山が迫ってくる

湖に向かう途中、正面に櫛形山が迫ってくる

甲府市中心部から県道5号線を南アルプス市へと向かうと、中部横断自動車道を越えたあたりから南アルプスの大きな山塊が間近に迫ってくる。目指したのは、甲府盆地から見て南アルプス連峰の一番手前にある台形の山・櫛形山の中腹にある「南伊奈ヶ湖」だ。紅葉シーズン以外は閑静な観光地と聞いていたので、静かな湖畔散歩が楽しめると思い訪ねてみた。

湖は標高890mに位置する県民の森のなかにあり、朝霧に包まれた晩夏の落ち着いた緑もなかなか良い景色である。湖の周囲には、木立に囲まれた500mほどの遊歩道が整備されていた。湖畔で休んでいると、人懐っこそうな白鳥などの水鳥がこちらの様子をうかがってくる。桟橋のような展望デッキから身を乗り出すと、エサをくれる人と間違えて無数の鯉たちが寄ってきて、色とりどりの魚体をひるがえして泳いで行く。
10月中旬から11月中旬までが紅葉シーズンで、カエデ、ミズナラ、カツラが色づき、赤や黄色の賑やかな秋の風景を見せてくれるそうだ。また、県民の森内にある「森林科学館」では、ツリークライミングやカヌー教室、自然観察会などを実施しているので、時間が合えばそちらも体験してみるといいだろう。

  • おにぎり型の湖を囲む木々の向こうに南アルプスの山々が見える

    おにぎり型の湖を囲む木々の向こうに南アルプスの山々が見える

  • 展望デッキに身を乗り出すと無数の鯉が寄ってくる

    展望デッキに身を乗り出すと無数の鯉が寄ってくる

  • オフシーズンの早朝は人もまばらで静かな時間を過ごせる

    オフシーズンの早朝は人もまばらで
    静かな時間を過ごせる

  • 一羽の白鳥が水辺でエサを探している

    一羽の白鳥が水辺でエサを探している

  • 訪れたのは9月の終わりごろ。紅葉が色づき始めていた

    訪れたのは9月の終わりごろ。紅葉が色づき始めていた

道の駅 朝霧高原

赤い屋根が特徴的な「道の駅 朝霧高原」

赤い屋根が特徴的な「道の駅 朝霧高原」

南アルプス市を離れて、朝霧高原を南進する途中、朝食が食べられるところはないかと探して立ち寄ったのが「道の駅 朝霧高原」。訪れたときは残念ながら富士山は雲のなかに隠れていたが、天気に恵まれれば、赤い屋根の建物の後ろに裾野から頂上までの雄大な姿を見せてくれるという。まだ朝の早い時間にも関わらず、産直野菜や新鮮な牛乳を販売する館内は、多くのドライバーやバイカーたちで賑わっていた。
施設の左手には飾らない雰囲気のレストランがあり、蕎麦などの軽食から、しっかりとしたボリュームの定食まで豊富なメニューを揃えている。なかでも通常の3倍の大きさはあるコロッケランチが人気で、運ばれてきた料理を見て、別名「わらじ」と呼ばれるのも納得した。
すっかり満腹になり窓際の席でくつろいでいると、広場で空高くドローンを飛ばしている人たちが見える。コーヒーを飲みながら高原ののどかな景色を眺めていると、つい席を立つのが億劫になってしまった。

  • 建物の外では採れたての地元野菜を販売している

    建物の外では採れたての地元野菜を販売している

  • 一番人気のコロッケランチは750円

    一番人気のコロッケランチは750円

  • 天気の良い日には、建物の向こうに富士山を望める(2015年11月撮影)

    天気の良い日には、建物の向こうに富士山を望める(2015年11月撮影)

  • 濃厚な味わいが楽しめる、あさぎり牛乳165円

    濃厚な味わいが楽しめる、あさぎり牛乳165円

陣馬の滝

25台収容の第一駐車場のほか200mほど離れた場所に第二駐車場がある

25台収容の第一駐車場のほか200mほど離れた場所に第二駐車場がある

国道139号線を南へ、パラグライダーなど広大な自然のなかで遊ぶ人たちを車窓に見ながら、静岡県富士宮市へと向かった。富士山の伏流水による清涼な湧水に恵まれた富士宮市の代表的な水景といえば「白糸の滝」だが、今回はそれより8kmほど北にある「陣馬の滝」を訪ねてみた。国道を離れ細い県道を走り、しばらくすると山深い集落へと入っていく。
陣馬の滝は集落の外れにあり、案内板に従って、どこまで車を進めて良いのか判断のつかない、さらに細い林道のような道を恐る恐る入って行くと駐車場に行きつく。車を降りて川伝いに歩いていくと、目的の滝はすぐ姿を見せた。
陣馬の滝は、富士宮市北部を流れる富士山水系の五斗目木川(ごとめきがわ)にかかる滝で、上流の川から落ちる水流と、溶岩のすき間から流れ出す湧水が滝筋を作りだしている。落差は5mほどで白糸の滝には及ばないが、箱庭のような繊細な情景が写真愛好家たちの人気を集めている。
滝より下の川原では観光で訪れたファミリーが川遊びをし、滝の入口近くにある湧水の取水場では、大きなポリタンクを携えた老夫婦がせっせと水汲みにはげんでいた。目の前の清純な風景と隣り合うように、日常そのものの情景が繰り広げられていて、ほのぼのとした気分にさせてくれる。

  • 右手の滝は上流の川から流れ、左手の滝は溶岩から湧き出している

    右手の滝は上流の川から流れ、左手の滝は溶岩から湧き出している

  • 滝つぼの水は透明度が高く、川底まで澄んで見えた

    滝つぼの水は透明度が高く、川底まで澄んで見えた

  • 滝の近くでは湧水を取水することができる

    滝の近くでは湧水を取水することができる

奥大井湖上駅

アプト式機関車。日本で唯一、大井川鐡道の千頭〜井川間で乗ることができる

アプト式機関車。日本で唯一、大井川鐡道の千頭〜井川間で乗ることができる

富士宮市を後にして、新富士ICから新東名高速道路に乗り名古屋方面へと向かう。次の目的地「奥大井湖上駅」は静岡県中部の山間部にある井川湖と、茶どころとして有名な島田市の金谷を結ぶ大井川鐡道の駅だ。NEOPASA静岡ICで高速を降りるのも良いが、目的地に向かう国道362号線は延々とワインディングロードが続くハードな道と聞いていたので、ひとつ先の島田金谷ICで降りて大井川本線と並行する国道473号線をドライブルートに選んだ。
車はときには谷を流れる大井川を越え、ときには大井川本線の下をくぐり、国道と川と線路が絡み合うように山間部を通っている。観光地として賑わいをみせる大井川鐡道SLの終着駅・千頭駅を越えると、いよいよ周囲の緑が濃くなってくる。山道を走っていると木立のすき間から湖にかかる赤い鉄橋がチラッと見えた。見落としてしまいそうな細い側道を下ると、10台ほどのスペースがある駐車場に到着する。
駐車場近くに「レインボーブリッジ展望台」という案内板があり、その先には見ただけでドッと疲れが出る急な階段が待っている。肩で息をしながら階段の上に出ると、今度は帰り道が思いやられる急峻な下り階段が谷底に向かって延びている。ようやくの思いで下り切ると、突然、青い湖の上に架かる鉄橋が目の前に現れた。

  • TVCMにも登場した風景

    TVCMにも登場した風景

  • 急な階段を下りて湖の上に出る

    急な階段を下りて湖の上に出る

奥大井湖上駅のホームから上り方面の風景

奥大井湖上駅のホームから上り方面の風景

奥大井湖上駅は、2002年に竣工した長島ダムによって造られた人造湖・接岨湖(せっそこ)に突き出した半島の上に位置する駅で、駅の前後に2つの巨大な鉄橋が架けられている。青い水面のはるか上を赤い登山電車が走る幻想的な風景は、TVCMにも使われて人気の景勝地となっている。
周囲を山と湖に囲まれた陸の孤島といった感じの駅ホームに近づくには、上流側の鉄橋に設けられた、すぐ脇を列車が走る通路を渡らなければならない。湖面から優に30m以上の高さがある鉄橋を歩くのはなかなかスリリングだ。駅利用者のほぼ100%が観光目的で、ひとつ上流側の駅・接岨峡温泉駅からハイキングを楽しみこの駅で列車に乗って千頭駅に帰って行く人が多いようだ。駅のホームを見学し、再び来た道を戻る途中、ちょうど列車がやってきた。トンネルの中から辺りの空気をふるわせて、鉄の塊そのもののアプト式機関車が迫ってくる。手が届きそうな近さで通過する列車の圧倒的な存在感に圧されて、橋の上から落ちそうな感覚におちいる。赤い列車はホームで観光客を乗せ、湖の向こうへと消えていった。

  • かなりの高度感だが、歩道の両側に高いフェンスがあり高所恐怖症の人も安心だ

    かなりの高度感だが、歩道の両側に高いフェンスがあり
    高所恐怖症の人も安心だ

  • 上り電車に乗って観光客が帰路につく

    上り電車に乗って観光客が帰路につく

  • 鉄橋の上を歩く得難い体験ができる

    鉄橋の上を歩く得難い体験ができる

  • カップルが時おり鳴らしていた幸せを呼ぶ鐘「ハッピーベル」

    カップルが時おり鳴らしていた幸せを呼ぶ鐘「ハッピーベル」

夢の吊橋

最後に訪れた「夢の吊橋」は、奥大井湖上駅から約15km離れた寸又峡温泉郷のなかにある。エメラルドグリーンの水をたたえた大間ダム湖にかかる約90mの吊り橋は、『21世紀に残したい日本の自然100選』や『新日本観光地100選』に選ばれている。
寸又峡温泉の中心街で車を降り、整備された林道を30分ほど歩いて向かう。夢の吊橋がある山道は「寸又峡プロムナードコース」と呼ばれ、吊橋を経由して尾崎坂展望台へと向かう約90分のハイキングコースとなっているが、多くの人は吊橋だけを渡って引き返し、再び来た道を戻っている。寸又川を谷底に見下ろす平坦な林道を歩き、途中天子トンネルなどをくぐり目的地へと向かう。「夢の吊橋」と書かれた看板をたよりに、ダム湖に向かって304段の階段を下りると、吊り橋に通じるスロープに出る。梢の間から“チンダル現象”という光の加減により、青く光る湖と吊橋が見えた。

  • 無色透明の水のなかの微粒子に光が反射し、湖面を青く見せている

    無色透明の水のなかの微粒子に光が反射し、湖面を青く見せている

  • 観光地として賑わいをみせる寸又峡温泉

    観光地として賑わいをみせる寸又峡温泉

  • 川の上流には町営露天風呂「美女づくりの湯」がある。入浴料400円

    川の上流には町営露天風呂「美女づくりの湯」
    がある。入浴料400円

  • 夢の吊橋に向かう途中の天子トンネル

    夢の吊橋に向かう途中の天子トンネル

  • 304段の階段を下って、吊橋に向かうスロープに出る

    304段の階段を下って、吊橋に向かうスロープに出る

スロープを下ると、ほどなく人の行列に行きあたる。到着したのは休日の午後4時ごろで、吊橋を渡る順番待ちの人が列を作っていた。吊橋を一度に渡れる定員は10名で、ゆらゆらと揺れる橋を渡るのに10分ほどの時間を要する。本来ならば一方通行のはずだが、多くの人は渡り切ったところで引き返し、再びこちらへと戻ってくる。つまり10名が往復するのに約20分かかる計算だ。人の列は待てども一向に先へと進まず、夕方5時を知らせる時報が山にこだましたころでも、まだ100人以上は並んでいる。これ以上待って、暗闇のなか橋を渡ってもしょうがないと思い、行列の脇から写真だけ撮って引き返すことに。紅葉シーズンは特に混雑するらしく、訪れるなら平日が良いようだ。次に来るときは午前の早い時間に到着し、夢の吊橋を渡ってやろうと心に誓った。

  • 休日や紅葉シーズンは吊橋の前に長蛇の列が

    休日や紅葉シーズンは吊橋の前に長蛇の列が

  • 1回で渡れる人数は10名。気長に待とう

    1回で渡れる人数は10名。気長に待とう

ニッポンレンタカーの車種・料金

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山梨県、静岡県内のニッポンレンタカー営業所

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富士の国やまなし 観光ネット
山梨県の観光情報を検索したり、エリア別の温泉情報やおすすめのモデルコースを見ることができる。
ふじのみやNAVI
富士宮市観光協会。朝霧高原や白糸の滝、陣馬の滝など観光スポットのほか、イベント、グルメ情報などを掲載。
奥大井の旅なび
川根本町まちづくり観光協会。寸又峡温泉はじめ奥大井の温泉や周辺の見どころなどを紹介している。

記事・写真:宮崎博 取材:2017年9月

  • ※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。