関東・冬の風物詩を探す旅(1)

"冬の旅"と聞いて連想するのはどんな情景だろう?真っ青な空の下、山腹の遥か遠くまで雪に覆われた木々が彫刻のように起立する宮城県蔵王の樹氷だろうか。または山間の集落に白い三角屋根がいくつも並び、旅人をいざなうような岐阜県の白川郷か。
こうした冬の風物詩は、どれも旅心をくすぐる日本ならではの冬の情景だ。ただ、訪れるには"気軽に"というわけにいかず、相応の時間的な余裕と出費は覚悟しなければならない。しかしせっかくのウィンターシーズン。例えば週末の予定が急に空いたとき、ふらっと出かけて、冬の旅情を満足させてくれるスポットはないものか? そんな観点から東京・埼玉・栃木をつないだのが今回のドライブコース。
東京都心の上野恩賜公園からスタートし、1日目は関越自動車道を北上し栃木県足利市へ向かう、約150kmのドライブに出かけよう。

ドライブルート

台東区−(東北自動車道) −川島町上伊草−(県道212号) −松山市−(国道254・385号) −熊谷市−(県道314号、国道407・354号など) −足利市−(県道20・59・83号) − 熊谷市−(国道17・140号) −熊谷市大字大麻生−(県道385・11号) −東秩父村御堂−(県道11・82号) −秩父市大田−(県道37号、国道299号) −小鹿野町−(国道299号、県道208号) −芦ヶ久保−(国道299号、県道53号、都道201号) −青梅市−(都道201・45・238号、東京環状など) −東京都23区

全行程約353km、今回行程約155km

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上野東照宮ぼたん苑

上野恩賜公園の西側にある、徳川家康・吉宗・慶喜を祀る「上野東照宮」。社殿へと向かう参道の左手では、例年1月1日から2月中旬まで「上野東照宮・冬ぼたん」が開催されている。昭和55年(1980)、日中友好の証として開苑した「ぼたん苑」は、当初は約70種ほどだったものが、今では冬牡丹が40種200株、4月中旬から5月中旬まで開催する春牡丹では110種400株へと成長し、可憐な花々が訪れる人たちを出迎えている。

  • 藁囲いのなかからひょっこりと顔を出す姿が可愛い冬牡丹たち

  • その艶やかな姿から、中国で牡丹は「富貴」の象徴とされる

参道左手の小さな数寄屋門をくぐり、いざ苑内へ。何度も折れ曲がる散策路は、さながら巨大迷路のようで、角を曲がるごとに冬牡丹・寒牡丹が艶やかな姿を見せてくれる。散策路の両側に花々が延々と続き、このめくるめく感覚はどこまで続くのだろう? と少し不安になるほど圧倒的な数の花が咲き誇っている。
この時期の牡丹には「冬牡丹」と「寒牡丹」の2種類がある。早春と初冬に咲く二期咲きの品種があり、このうち低温で開花した冬咲きのものが寒牡丹で、春と夏に寒冷地で開花を抑制し、冬に開花させる栽培技術を用いたのが冬牡丹と呼ぶそうだ。草花が停滞する冬の縁起花として親しまれ、藁囲いを背負った姿は、まるで雪ん子のように愛らしい。

  • ぼたん苑は上野東照宮へと向かう参道の途中にある

  • 冬牡丹と同じ時期に蝋梅も黄色い可憐な花を咲かせる。見頃は2月

  • 東照宮拝観とセットになった共通券がお得。1,100円

  • 「上野東照宮・冬ぼたん」は2月末まで。
    4月中旬から5月中旬は「春のぼたん祭」を開催

  • 傘を差しかけ、丹精込めて育てられている

埼玉県川島町の呉汁

車は都心を離れ、東北自動車道を使って埼玉県へと向かう。元荒川を越え、蓮田SAを通過するころには周囲の景色が開けてきて、次第に旅気分が高まってくる。
ところで埼玉県は隠れた "うどん県"であることをご存知だろうか? 年間消費量は全国8位で、1位の香川に水を開けられているが、うどんの生産量は香川県に次ぐ全国2位を誇っている。実は埼玉県は日照時間の長さから江戸時代より小麦の栽培が盛んで、おのずとうどんを食べる習慣が根づいているとか。ドライブ途中の沿道に「武蔵野うどん」の看板を見かけるようになると、埼玉に来たという実感がわいてくるほどだ。県内にはいくつもの名物うどんがあり、例えば加須市の「加須うどん」、羽生市の「一本うどん」、鴻巣市の「川幅うどん」など、実にバラエティに富んだご当地うどんを楽しむことができる。こうした名物うどんの中には、冬にしか味わうことのできない季節限定メニューもあるという。

  • 川島町近くになると周囲の風景がのびのびと開けてくる

  • 町のいたるところで季節限定ご当地グルメの看板を目にする

川越市の北側、ほぼ県の中央に位置する「川島町」では、11月から3月まで「呉汁(ごじる)」と呼ばれる冬限定メニューを町内各所の飲食店で提供している。川島町では稲作と同時に大豆の栽培も盛んで、肌寒くなってきた秋ごろに収穫し、とれたての新鮮な大豆を生のまますり鉢ですって味噌でとき、芋がら、野菜、油揚げを煮立てた汁に、うどんをからめて食すのが呉汁と呼ぶそうだ。古くから地域の家庭で食べられてきた郷土の味を、10年ほど前から町内の飲食店で提供し、町興しのPRとして活用している。
そんな呉汁を提供する一軒「だるまや」では、グツグツと煮立つ鉄鍋の中に、芋がら、すりたての生大豆のほか店独自のピリ辛の肉味噌、卵をトッピングし「半熟卵の和風担担呉汁」という汁の食感が特徴的な身体が温まるメニューで呉汁を提供している。具材のうま味がとけ出した汁がうどんと良くからみ、一度食べたら止まらないクセになる味わいだ。
川島町では冬の呉汁のほか、5月から9月まではキュウリなどの夏野菜と大葉などの香味野菜、そしてこの地域特産の金ごまをすり鉢でつぶしてうどんに絡める「すったて」も夏限定のうどんとして提供している。こちらも別の機会に試してみたいものだ。

  • すり潰してモロモロとした大豆が汁と一緒に麺にからむ

  • 川島町の呉汁は10種類以上の野菜が必ず入っている

  • だるまやの担担風など、各飲食店でそれぞれ個性のある呉汁を提供

  • 定食にはご飯のほか、うどんまで付いてくる

  • 昼時には満席になる、町で人気の定食屋

埼玉県こども動物自然公園

埼玉県こども動物自然公園

川島町から車を一路東へと進め、20分ほどで到着するのが緑豊かな「埼玉県こども動物自然公園」だ。
東松山市の丘陵地にある約46ヘクタールの広大な園内では、200種類1,600頭もの動物たちが暮らしている。国内で9頭しか飼育されていないコアラのほか、世界最大級のフンボルトペンギンの生態園や、ポニー乗馬や牛の搾乳ができる乳牛コーナー、小動物と触れ合えるなかよしコーナーなど、観て体験できる施設やプログラムが充実している。
そして冬の時期に、埼玉県の新しい風物詩として人気を集めているのが「カピバラ温泉」だ。

コアラやカンガルーが暮らす東園の一角の柵に囲まれた広場では、ワラビーたちが放し飼いにされていて、人懐っこい個体とは触れ合うこともできる。その広場の中央で、11月中旬ごろから翌年3月末までカピバラ温泉を実施している。広場には石造りの風呂が設けられ、期間中は毎日14時ごろから湯船にお湯を張り、次第にカピバラたちが集まりはじめる。平成30年(2018)10月にはカピバラの五つ子が誕生し、大きなカピバラに混じって、まるで湯船に浮かぶタワシのように小さな子供たちが湯につかる、特に愛らしい情景を目撃することができるだろう。
カピバラ温泉は夕方16時ごろまで実施。土・日曜、祝日は、人間も足湯につかりながらカピバラを間近で観察できる足湯体験も行っている。

  • お湯がたまり切らないうちから湯船に集まってくる

  • 大勢で入るのが好きな子もいれば、一人風呂でマイペースな子も

  • 人懐っこいワラビーと触れ合うことができる

  • 2018年に生まれた五つ子ちゃんたちは、いつも一緒に行動している

  • 大人のカピバラは一人お風呂を悠々と楽しむ

  • 小さな桶にジャストフィット。子供カピバラの入浴がチョー可愛い!

荒川大麻生公園

本日の最終目的地、栃木県のあしかがフラワーパークへ向かう途中、ちょっと寄り道をすることにした。荒川の中流左岸にある熊谷市の県営公園荒川大麻生公園あらかわおおあそこうえんでは、この季節シベリアから飛来する白鳥たちが姿を見せるとか。白鳥の飛来というと、東北や北海道などもっと寒い地域のイメージがあるが、昼に立ち寄った呉汁の店の店員さんが、取材スタッフのカメラ機材を見て「白鳥の撮影ですか?」と聞いてきたため、当初予定にはなかった白鳥撮影にチャレンジすることにした。

  • 荒川河川敷に造営された広大な公園

荒川大麻生公園は「野草の広場」と「野鳥の森」という2つのエリアで構成される約160 ヘクタールの広大な敷地をもつレクリエーション公園だ。訪れたのが夕方近くであったためか、人影はほとんどなく、実に静かな公園だった。
敷地の半分は野鳥の飛来地となっており、年間を通じて200種類以上の鳥を観察できるそうだが、取材当日は野鳥はおろか虫の気配さえしない。インターネットの情報によると、白鳥は公園の横を流れる荒川の中州で羽を休めていることが多いらしく、公園のその先の河川敷へと向かった。数日前には公園と川原を隔てるクヌギ林で野焼きが行われたらしく、辺り一帯は真っ黒に焦げ、まるで合戦後の原っぱのようで荒涼とした気分にさせられる。
寒風が吹き抜ける川原に出て、望遠レンズであたりを見渡してみたが、残念ながら白鳥の姿は見つからなかった。幸い今晩の宿は公園近くに取っていたため、「時間が悪いのだろう」と思い直し、明日早朝に再チャレンジすることにした。

  • 野焼きによる一面の焼け野原を歩いて川原へと向かう

  • 訪れたのは1月末の午後4時。白鳥はおろか生き物の気配が感じられない

  • 手前が公園。中央に流れる荒川に架かるのは熊谷大橋だ

あしかがフラワーパーク

車は埼玉県を離れ、栃木県足利市へと北上。県内でも指折りの観光名所「あしかがフラワーパーク」へと向かった。
佐野厄除大師に近い県南に位置する花のテーマパークは、4月中旬から5月中旬に見頃を迎える藤棚が特に有名で、米国CNNが選出する「世界の夢の旅行先10ヶ所」に日本で唯一選ばれている。期間中は150万人以上が訪れる世界が注目する観光スポットで、ほかに早春は牡丹、春はチューリップ、夏はスイレン、秋にはアメジストセージが咲き、年間を通じて季節の花々が来園者を楽しませている。そして近年、藤棚と並び、注目を集めているイベントが、10月上旬から2月上旬まで開催されるイルミネーション「光の花の庭」だ。

  • 昨年のGWに撮影した「大藤・うす紅藤」。栃木県の天然記念物だ

  • 昨年のGWに撮影したライトアップされ妖艶な美しさの「奇跡の大藤」

約450万球のLEDを使ったイルミネーションは、長崎の「ハウステンボス光の王国」、北海道の「さっぽろホワイトイルミネーション」とともに日本三大イルミネーションに数えられている。園内では5,000本の「光のバラ」や水辺に輝く2,000輪の「光の睡蓮」、そしてフラワーパーク一番人気の「奇跡の大藤」と「白藤のトンネル」もLEDの光で再現され、夜風に吹かれて揺れる様子はまるで本物のような見ごたえだ。
平成30年(2018)4月にはフラワーパークのすぐ横を走る両毛線に「あしかがフラワーパーク駅」という新駅が誕生し、ますますアクセスが良くなり来場者を増やしている。週末はかなり混雑する人気イベントだが、平日の遅めの時間は比較的空いているので、時間に余裕のある人はそこを狙って訪れてみてはいかがだろう。

  • 奇跡の大藤を紫のLEDで再現。実際の季節ではありえない光のスイレンとコラボ

  • 全長80mある白藤のトンネルもイルミネーションで体験できる

  • 藤の花の開花から、満開、そして落花まで。音と光でドラマチックに再現

  • 季節の花・牡丹もLEDの光でライトアップ

  • 水面にシンメトリックに映し出される光のピラミッド。人気の撮影ポイントだ

ニッポンレンタカーの車種・料金

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上野東照宮公式ホームページ : ぼたん苑
ぼたん苑公式ホームページです。
埼玉県こども動物自然公園公式ホームページ
埼玉県こども動物自然公園公式ホームページです。
あしかがフラワーパーク公式ホームページ
あしかがフラワーパーク公式ホームページです。

記事・写真:宮崎博 取材:2019年01月

  • ※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。