三河・奥三河探訪(2)鳳来寺山と松平郷

松平東照宮の鳥居と社殿。もとはここに松平氏の館があった旅の醍醐味のひとつは、何といってもその土地々々の温泉だろう。奥三河にもいくつかの温泉が湧き出ているが、中でも1,300年前に開かれたと伝わる「湯谷温泉」は、緑豊かな渓谷沿いに旅館が立ち並ぶ、奥三河を代表する温泉地だ。湯谷の宿に一泊した翌日は、奥三河の歴史や自然を満喫すべく、国指定の名勝・天然記念物「阿寺の七滝」や「満光寺」を訪ねたあと、徳川家康誕生とゆかりが深い「鳳来寺山」へ。
表参道から参拝するには1,425段の石段を登らなければならないが、鳳来寺山パークウェイを走れば、山上の「鳳来寺本堂」や「鳳来山東照宮」へ徒歩10〜15分の近さとなる。その後は山あいの道を西に向かってひた走り、徳川家の源流にあたる松平家発祥の地「松平郷」へ向かった。

ドライブルート

豊橋−(国道259号線・国道1号線・県道495号線など)−豊川−(県道495号線・国道151号線)−設楽原・長篠−(国道151号線)−湯谷温泉−(県道524号線・鳳来寺山パークウェイ)−鳳来寺−(鳳来寺山パークウェイ・県道524号線・県道389号線・国道32号線・国道257号線・国道420号線・県道35号線・国道301号線など)−豊田−(国道301号線・県道39号線・国道248号線)−岡崎−(国道1号線など)−豊橋

全行程 約190km、今回行程 約100km

<赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします>

  • サムネイル1
  • サムネイル2
  • サムネイル3
  • サムネイル4
  • サムネイル5
  • サムネイル6

湯谷温泉郷入口の看板

湯谷温泉郷入口の看板

湯谷温泉

「湯谷温泉」は今から1,300年ほど前、鳳来寺を開山した利修仙人によって源泉「鳳液泉」が発見され、開かれたと伝わる歴史ある温泉地。豊川の支流、宇連川に削られた渓谷の両岸に9軒の温泉宿が営業している。

  • 宇連川(板敷川)両岸の道沿いに温泉宿が立ち並ぶ

    宇連川(板敷川)両岸の道沿いに温泉宿が立ち並ぶ

  • 寛政10年(1798)に立てられた「鳳液泉の碑」

    寛政10年(1798)に立てられた「鳳液泉の碑」

湯谷温泉の上・下流5kmにわたる宇連川沿いは鳳来峡と呼ばれ、その間を流れる川も川底に板を敷き詰めたように見えることから別名・板敷川と呼ばれている。赤い欄干が鮮やかな浮石橋から眺めると、両岸の岩壁と木々の緑、静かに流れる水面、そしてその奥に落ちる湯谷の大滝が見事な景をなしている。
温泉郷の入口には、鳳液泉を100リットル100円で売っている温泉スタンドがあり、ポリタンクを持参すれば自宅で温泉を楽しむことができる。

  • 宇連川(板敷川)に架かる「浮石橋」

    宇連川(板敷川)に架かる「浮石橋」

  • 浮石橋のそばの小高い場所に、寛政12年(1800)に奉安された薬師如来が祀られていた

    浮石橋のそばの小高い場所に、寛政12年(1800)に
    奉安された薬師如来が祀られていた

  • 浮石橋から上流部を眺める。正面の滝が「湯谷の大滝」

    浮石橋から上流部を眺める。正面の滝が「湯谷の大滝」

  • 湯谷温泉郷の看板そばの駐車場には、鳳液泉を100リットル100円で販売する温泉スタンドがあった

    湯谷温泉郷の看板そばの駐車場には、鳳液泉を100リットル100円で
    販売する温泉スタンドがあった

  • 同じ駐車場には、利修仙人の石像が見つめる足湯も

    同じ駐車場には、利修仙人の石像が見つめる足湯も

阿寺の七滝

国道151号線から県道442号線に入り、阿寺川沿いの山あいの道を15分ほど走ると、広い駐車場が現れる。そこに車を停め、清流沿いの気持ちのいい遊歩道を歩くこと15分。国の名勝・天然記念物や「日本の滝百選」にも選ばれている「阿寺の七滝」に着く。
滝の全長は約64m。七滝と呼ばれるのは、礫岩の断層崖が7段の階段状になり、滝がその段々に合わせて屈曲しながら流れ落ちているため。下段より「霹靂(へきれき)滝」「虎嘯(こしょう)滝」「龍攘(りゅうじょう)滝」「長霓(ちょうげい)滝」「雄飛(ゆうひ)滝」「素練(それん)滝」「敲壺(こうこ)滝」という名もある。
滝の左側には階段が設置されており、登っていくと中段あたりから滝を間近に眺めることができる。

  • 駐車場から阿寺の七滝へは、清流沿いの林道を15分ほど歩く

    駐車場から阿寺の七滝へは、清流沿いの林道を15分ほど歩く

  • 林道の分岐に立つ道標。滝への道は東海自然歩道の一部でもある

    林道の分岐に立つ道標。滝への道は東海自然歩道の一部でもある

  • 七滝を見上げる。下からは7つの滝のうち、4つが見える

    七滝を見上げる。下からは7つの滝のうち、4つが見える

  • 滝の中段あたりから下を見下ろす

    滝の中段あたりから下を見下ろす

満光寺

三河・奥三河地方は戦国時代には徳川家の領地だったため、徳川家康ゆかりの地が多いが、ここ「満光寺」もそのひとつである。
元亀年間(1570年ごろ)、武田信玄との戦に敗れて落ち延びてきた家康は、満光寺に一夜の宿を求めた。その際、住職に「明朝早立ちをしたいので、一番鶏が鳴いたら起こしてほしい」と頼んでおいたという。そして、その夜。不思議なことに、その日にかぎって寺の鶏が真夜中に刻を告げ、住職に起された家康たちは大急ぎで闇の中を出発していった。彼らが去って間もなく、寺にやってきたのは武田軍の一隊。家康は鶏のおかげで間一髪危機を脱することができたのだ。のちに天下統一を果たした家康は、自分を救ってくれた恩返しとして、満光寺の鶏に三石の扶持を与えたと伝わっている。

  • 満光寺の山門

    満光寺の山門

  • 本堂。堂内の見学もできる

    本堂。堂内の見学もできる

愛知県の名勝指定を受けている書院裏の庭園は、高くそびえる裏山の斜面を利用した造りで、山岳の景観を表現しているという石組みは見事。また、寺の前には道の駅「三河三石」があり、鳳来地区の特産品や産直野菜などを買うことができる。
/見学料お志(1人100円程度)、TEL 0536-34-0116

  • 庭園は小堀遠州流。サツキの刈り込みが多く、開花する5月下旬はもっとも美しいという

    庭園は小堀遠州流。サツキの刈り込みが多く、
    開花する5月下旬はもっとも美しいという

  • 満光寺の前には、道の駅「三河三石」がある

    満光寺の前には、道の駅「三河三石」がある

鳳来寺山(鳳来寺・鳳来山東照宮)

鳳来寺山パークウェイ山頂駐車場に車を停めて少し歩くと、すぐに景色が開け、岩肌が露出する峻嶮な山の斜面に建物がへばりつくようにして建っているのが見える。眺望図によれば、その建物は鳳来寺の鐘楼であり、その右側に本堂も見えるはずだが木々の枝葉に遮られて見えなかった。

  • 鳳来寺山パークウェイ山頂駐車場。まさに山の上の駐車場で空が広い!

    鳳来寺山パークウェイ山頂駐車場。まさに山の上の駐車場で空が広い!

  • パークウェイ駐車場から鳳来寺への道の途中、峻嶮な鏡岩を背にして建つ鐘楼が遠望できた

    パークウェイ駐車場から鳳来寺への道の途中、
    峻嶮な鏡岩を背にして建つ鐘楼が遠望できた

「鳳来寺」は文武天皇の大宝3年(703)、利修仙人によって開山された真言宗の名刹で、利修仙人作の本尊薬師如来を祀り、薬師信仰と山岳修験道の霊山として信仰を集めた。古くから子授けのご利益で評判高く、戦国時代、三河国岡崎城主・松平広忠と正室・於大の方も鳳来寺の薬師如来に祈願して、男の子を授かったと言われている。この男子がのちの徳川家康である。

  • 鳳来寺本堂。表参道から登ってきた人はみな、登山の格好をしていた

    鳳来寺本堂。表参道から登ってきた人はみな、登山の格好をしていた

  • 上から表参道の石段を見下ろす。石段は下から1,425段もある

    上から表参道の石段を見下ろす。石段は下から1,425段もある

  • 本堂前の東屋からの展望

    本堂前の東屋からの展望

江戸時代の慶安元年(1648)には、3代将軍徳川家光が祖父家康誕生の報恩のために数多くの堂坊を再建するとともに、この山に「鳳来山東照宮」の建設をはじめた。その後、4代家綱のときに完成し、現在は国の重要文化財に指定されている。
/TEL 0536-35-1004(鳳来寺)、0536-35-1176(鳳来山東照宮)

  • 正面階段下にはかつて番所があり、通行手形を持っている人だけが石段を登って参拝でき、持っていない人はここから東照宮にお参りをした

    正面階段下にはかつて番所があり、通行手形を
    持っている人だけが石段を登って参拝でき、
    持っていない人はここから東照宮にお参りをした

  • 鳳来山東照宮の社殿

    鳳来山東照宮の社殿

  • 県道32号線と交わる表参道の門前町入口。駐車場やバス停があり、ここから本堂目指して歩きはじめる人も多い

    県道32号線と交わる表参道の門前町入口。駐車場やバス停があり、
    ここから本堂目指して歩きはじめる人も多い

  • 門前町入口には、奥平仙千代の墓が建つ。仙千代は奥平貞能の次男で、武田氏に人質に出されていたが、貞能が武田に背いて徳川についたため、この地で処刑された

    門前町入口には、奥平仙千代の墓が建つ。
    仙千代は奥平貞能の次男で、武田氏に人質に出されていたが、
    貞能が武田に背いて徳川についたため、この地で処刑された

鳴沢の滝

新城市の北端、設楽町と境を接するあたりにある「鳴沢の滝」は、落差15mの迫力ある名瀑。もともと奥三河でも随一の水量を誇ることで知られているが、訪れた日の前日に雨が降ったためだろうか、写真などで見るよりもその勢いをさらに増しているような印象を受けた。
滝つぼは悠々と泳げそうなほどに広く、ぐるりと取り囲む岩崖はところどころ深緑の苔に覆われていた。川辺の岩を伝い、滝つぼのそばまで行くと、頬や手に霧状になった水しぶきが触れて気持ちがいい。滝のそばにある階段の上には鳴沢不動明王が祀られていた。

  • 轟音を響かせ流れ落ちる、鳴沢の滝

    轟音を響かせ流れ落ちる、鳴沢の滝

  • 駐車場のそばの「はれはれ庵」は昨年2015年4月にオープンしたばかりのカフェと雑貨の店

    駐車場のそばの「はれはれ庵」は昨年2015年4月に
    オープンしたばかりのカフェと雑貨の店

松平東照宮

江戸幕府を開いた徳川家康が、20代半ばまで松平姓(松平家康/元康)を名乗っていたことはよく知られているが、その松平氏の起源をたどると現在の豊田市松平町へと行きつく。
伝承によれば、時宗の遊行僧・徳阿弥が諸国を流浪中、ここ三河国松平郷で土豪在原信重の婿となり、還俗して松平親氏を名乗って松平城を本拠としたのが、松平氏の発祥とされている。その後、3代信光のとき、岡崎など西三河一帯に進出した松平宗家と松平郷に残った松平太郎左衛門家にわかれ、松平宗家がのちに徳川将軍家へと発展していった。

  • 松平東照宮の鳥居と社殿。もとはここに松平氏の館があった

    松平東照宮の鳥居と社殿。もとはここに松平氏の館があった

奥宮の前にある「産湯の井戸」

奥宮の前にある「産湯の井戸」

松平郷には松平氏ゆかりの史跡などが数多く残っている。「松平東照宮」は、もともと松平家初代親氏がこの地に居を構え、氏神として若宮八幡を祀ったことが始まりと伝わる。その後、9代尚栄が館の整備とともに元和5年(1619)に久能山東照宮より家康公(東照公)の分霊を勧請して奉祀した。以来、「松平の権現様」「松平の東照宮」と呼ばれ、現在に至っている。
境内には、松平家が代々産湯に用いた「産湯の井戸」がある。天文11年(1542)に岡崎城で松平宗家8代広忠の子・竹千代(のちの家康)が生まれたときには、この井戸の水を竹筒に詰めて早馬で届けたと言われている。
/TEL 0565-58-1621

  • 奥宮。この建物はかつて社殿として使われていた

    奥宮。この建物はかつて社殿として使われていた

  • 作曲家松平信博の碑。信博は松平太郎左衛門家20代当主であり、作曲家として活躍した

    作曲家松平信博の碑。信博は松平太郎左衛門家
    20代当主であり、作曲家として活躍した

園地入口に立つ、松平家初代親氏の銅像

園地入口に立つ、松平家初代親氏の銅像

松平郷園地

松平東照宮から高月院にかけての2ヘクタールの土地は、「松平郷園地」として整備されている。園地の入口に立つのは、松平八代を象徴する石柱と、松平家初代親氏の銅像。髭をたくわえ、胸をはだけた荒々しい姿が印象的だ。高月院に至る250mの道沿いには室町塀や冠木門(かぶきもん)が再現されて、室町期の歴史景観を醸し出している。
園内では四季折々の自然と触れ合うこともでき、春はサクラ、初夏にはハナショウブやアジサイ、秋にはハギの花や紅葉などが訪れる人を迎えてくれるという。冠木門から入ったすぐのところには武家屋敷風休憩所「天下茶屋」があり、軽食や和菓子を提供している。

  • 再現された冠木門

    再現された冠木門

  • 天下茶屋は、武家屋敷風の休憩所

    天下茶屋は、武家屋敷風の休憩所

高月院

貞治6年(1367)、寛立上人が松平郷主・在原信重の援護を受けて、はじめは寂静寺として創建。そののち、永和/天授3年(1377)に松平家初代親氏が、本尊阿弥陀仏をはじめ、堂や塔のすべてを寄進して「高月院」として改め、松平氏の菩提寺となった。境内の奥には、国指定文化財である「松平氏墓所」があり、ひと際高い石垣上に初代親氏、2代泰親、4代親忠夫人の3つの墓塔が配されている。また、境内には家康が自ら植えたと伝わる枝垂れ桜や松があるのも、先祖発祥の地ゆえだろう。

  • 高月院本堂

    高月院本堂

  • 元信(徳川家康)手植えの枝垂れ桜

    元信(徳川家康)手植えの枝垂れ桜

  • 石塀で囲まれた立派な松平氏墓所

    石塀で囲まれた立派な松平氏墓所

  • こちらは家康手植えの松

    こちらは家康手植えの松

ニッポンレンタカーの車種・料金

詳しくは車種・料金一覧表をご覧ください。

愛知県内のニッポンレンタカー営業所

ニッポンレンタカー ホームページの営業所検索で、愛知県の営業所リストをご覧いただけます。

愛知の公式観光ガイド AICHI NOW
愛知のおすすめスポットなどさまざまな観光情報が見られるほか、選んだスポットをまわる「Myルート作成」機能もある。
湯谷温泉発展会
湯谷温泉周辺案内図や「本日の立寄り湯情報」をはじめ、湯谷温泉の宿、店、歳時記などが見られる。
松平郷
松平東照宮、松平郷園地、高月院など松平氏ゆかりの史跡が紹介されている。

記事・写真:谷山宏典 取材:2016年3月

  • ※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。