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山形 六十里越街道を行く



東北地方はそろそろ雪支度、これからスキーシーズンを迎えるわけだが、そんな晩秋の一日をひなびた山村に足を延ばして見た。
酒田から山形までの山形自動車道もこの秋、庄内あさひ〜湯殿山間約10kmが開通。湯殿山〜月山間を残して自動車道の約8割が利用できるようになった。残る湯殿山から月山までは、国道112号線が新旧2本通じている。
そこでこの新しい湯殿山ICを出て、大型トラックの行き交う新道を避け旧道へ。旧道はかつては湯殿山神社への巡礼路であり、近代は山形から日本海側に通じる主要街道であった。街道沿いには即身仏で名高い注連寺や山岳信仰の湯殿山神社がある。





酒田−(山形自動車道)−湯殿山IC−注連寺−湯殿山神社−月山IC−(山形自動車道)−山形
全行程 約150km、日帰り。




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●酒田から湯殿山へ

酒田市から国道7号線を南へ、間もなく山形自動車道の酒田ICへ。約30kmでまだ開通したばかりの湯殿山ICに着く。ここからは、いったん国道112号線を辿ることになる。

●湯殿山 注連寺

月山の西、新潟との県境に広がる朝日村一帯は、出羽三山の一つである湯殿山を拝し寺院も多く点在、古くから山岳信仰と深い関わりのあるところである。
その一つ、即身仏で有名な注連寺は、国道112号線へ出て間もなく大日坊や注連寺と書かれた看板に従って山道を辿る。細い道を10分ほど上ると樹木に囲まれた古い寺に着く。
現在、庄内地方には6体の即身仏がある。その内の一体がここ注連寺にある。

もともと注連寺は、古代インドで生まれた密教を伝えた空海がここ朝日村を訪れ、湯殿山大権現を勧請して堂宇を建て、諸人の祈祷所としたのが開創であるといわれている。
昔は湯殿山は女人禁制であったため、女人を哀れみ女人にも祈祷を行い、お注連(しめ)をいただけるようにしたのが注連寺の信仰の特徴という。
後世、徳川十代将軍の治世、武士を殺めて注連寺に逃げ込んだひとりの若者、後の“鉄門海上人”が生きながらに仏となった寺である。
1,000日行を5回、(5,000日行)という荒行を成し終え1829年、62歳のとき信者の見守る中、入定(生きながらミイラとなって仏になる“即身仏”になる)したという。
このようにして即身仏となった仏は数十人を数えたが、明治に入って禁止された。
注連寺の近くにある本明寺、酒田市の海向寺などの即神仏も有名だが、万人を救い社会事業にも尽くし難行を行ったこの注連寺の鉄門海上人は、特に多くの信仰者を集めている。

注連寺では“鉄門海上人の即身仏”を参拝だけして帰る人も多いが、絵画の美術品もまたすばらしい。
本堂の天井に描かれた「飛天の図」や観る位置で親子または夫婦と姿を変える不思議な技巧で描かれた絵画、また現代作家4人による天界と俗界の接点を描いた作品などはなかなかのもの。
さらに酒田市の豪商本間家から寄贈されたという壺など、寺の方が案内解説してくれる。
その他、境内にある「森敦文庫」はこの寺を舞台にした昭和49年の芥川賞受賞作品、森敦の「月山」にちなんで開設された。作者はこの注連寺でひと冬を過ごし、人間の生と死をみつめて天上の世界のメッセージともいわれる作品を残した。

●道の駅月山

国道沿いにある「道の駅月山」は、ドライブの休憩所や観光情報の基地であるばかりでなく、人気のバンジージャンプも楽しめる。
高さ約32mの吊り橋から川面への垂直落下は大迫力、そしてスリル満点だ。
問い合わせ/日本アウトドアシステム TEL 0235-53-3777

その他にジャングルの世界が見ることができるアマゾン自然館や月山ワインの製造工程が見学できる「山ぶどう研究所」などがある。

●田麦俣村

新旧の国道112号線の分かれ道を旧道へ入ってすぐ、田麦俣村に出る。
この深い山里には素朴な茅葺き民家が2軒残っている。兜造多層民家と呼ばれ、外見は1階建てだが、内部は3層の構造になっている。
上階は養蚕などの仕事場で1階は生活の場と、雪国ならではの建物だ。築300年を数える1軒は資料館で、昔の生活用具などが展示されているが、もう1軒は今も囲炉裏のある居間でくつろげる民宿として使われている。
田麦俣村はかつては六十里越街道の宿場町として栄えたところ。旅人がほっと一息ついた昔の面影をしばし偲んでみるのもいいだろう。
/資料館 入館料250円

●六十里越街道

田麦俣村で分かれた旧道は、途中湯殿山への道と分岐しているだけで、山形自動車道月山ICまで約30km続く。
開山1400年の歴史を持つ出羽三山の一つ、湯殿山神社への道六十里越街道は、昔は難儀な山越えの道だった。今はなんの変哲もない曲がりくねった長い山道で、行き交う車もほとんどない。
だが、覆い被さるような鬱蒼とした樹木の中を走る道は、新緑や紅葉の季節は見事だ。自然をひとり占めしながらのんびりと走れる道といえよう。
最近は新道国道112号線の交通量の多さを避けて迂回路利用する車もあるというが、長い間人々が利用してきたこの道も山形自動車道の開通によっていずれ忘れ去られてしまうのではないかと思うほど寂しいところでもある。
田麦俣村から約15km、湯殿山への分岐点に着く。分岐点には湯量豊富な温泉で知られる湯殿山ホテルがあるが、シーズンはずれのせいかひっそりと静まり返っていた。

●湯殿山神社

出羽三山の奥の院と呼ばれる湯殿山神社は、羽黒山神社や月山神社と異なり古来から全く手を加えられていない神域で、本殿や拝殿などの社殿はなく、黄褐色の巨石と石の下から熱湯が湧き出す温泉が御神体だ。
“語られぬ 湯殿をぬらす 袂かな”と芭蕉が詠んだ湯殿山神社には、この場所の様子や出来事を「言うなかれ、語るなかれ」と戒められた厳しい掟があった。それだけに、一般の人にとって神秘性の高い信仰対象でもあった。女人禁制だった昔とは違い今では誰でも参拝できるが、現在も写真撮影は禁止である。
入り口でカメラなどの撮影機材を預け、履き物を脱ぐ。素足になって人々は熱い湯が流れる岩肌を歩き、御神体に祈る。素足の裏から伝わる熱い湯と岩の感触がなんとも気持ちいい。参拝料 500円。
なお、湯殿山神社は冬期は閉鎖となるため、問い合わせをしてから出かけたい。
問い合わせ/出羽三山神社社務所 TEL 0235-62-2355

間もなく訪れる雪の季節には湯殿山ではスキー場がオープンする。
5つのコースを持つ湯殿山スキー場は降雪量の多さで人気が高い。また、すべてのコースでスノーボードの滑走もOKだ。
標高1,500mの頂上付近からは360度の大パノラマ展望が楽しめる上、初心者でも滑れる林間コースもある。

途中、月山志津温泉を抜けて山形自動車道月山ICに着く。ここから山形市へは約40kmだ。



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朝日村
村の紹介のほか、美しい自然の見どころマップや観光のお勧めコース、月山の登山案内などが掲載されている。
湯殿山注連寺
鉄門海上人や開創の伝え、ゆかりの文学や天井絵画、境内にある大きな七五三掛桜(しめかけざくら)の説明などがある。

取材:2000年10月