神話の国・海と湖の町 島根・鳥取(1)

鳥取といえば砂丘、島根といえば出雲大社を思い出すが、山陰は『古事記』や『日本書記』、『出雲風土記』などで知られる神話の世界。もし、竜宮城がこの世にあるとしたらと思わせる神秘に満ちた鳥取の海岸線。日本で7番目に大きい宍道湖や城下町松江、朝鮮人参の産地大根島など、ドライブコースも奥が深い。今回は天気予報がはずれて、ほぼ全行程が雨の中だった。
「山陰の空は気まぐれだ」と地元の人の言葉に一瞬の晴れ間を期待しながらの旅だったが、最終日、中国地方の最高峰大山の雄姿が望まれた。

<コース>
鳥取空港−鳥取砂丘−浦富海岸−鳥取市内−(県道22〜29号線)−三朝温泉−(国道179号線)−倉吉−(国道9号線)−米子−松江市内−出雲大社−(国道431号線)−松江−大根島−美保関−境港−米子
全行程 560km
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●鳥取砂丘
日本一の大砂丘へは空港から約10km、市内からは4km程度の距離にある。長い歳月が生んだ砂丘は、日本海から吹き上げる風のアートだ。砂塵が舞ってできる風紋や、雨の伴う強風の吹く冬にみられるスカブラ状、そして雪化粧をする砂丘は季節や朝夕の光で自在に変化する。その美しさは詩や歌、写真や絵画などで沢山表現されている。
この日は残念ながら雨、水を含んだ砂は硬く、人々に踏み固められた砂丘は哀れな土の山にしか見えなかった。こんな日もあるのだと諦め、名物ラクダの登場を待ったが雨のためか姿をみせなかった。
そこで、ラクダについての看板をみつけた(写真参照)。強さを増した雨足に身も心も冷え、砂丘をあとにした。
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 エジプトでもラクダを撮影すると 金をせびられた
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砂丘から道路を挟んだ食堂や土産物店の裏に新砂丘と古砂丘がはっきりとわかる地層がある。古砂丘は、約5万年前に大山の大噴火で堆積した軽石の層で、その上に新砂丘がある。世界でもこれほど新旧がはっきりとわかる地層は珍しいそうだ。
「ついこの間までは、店の裏に学術的に貴重なものがあったなんて誰も知らなかった」と店の人の話。
砂丘の周囲は樹木があっても砂の層で、切り開かれた広々とした砂地の畑には、名物のラッキョウが栽培されている。
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 ドライブインの裏には古い地層がくっきり
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 名産のラッキョウ。砂丘を利用している
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●浦富(うらどめ)海岸
砂丘を東に約10kmにある海岸で、大小166の小島と16の洞門、6つの洞窟からなる、山陰を代表する景勝地。透明度も高く水深約25mまで肉眼で見ることができる。島村藤村が「神秘の霊境」と絶賛したとある。
あいにくの小雨まじりの空模様だが、海の青さと黒い奇岩が美しい。時折、荒々しい冷たい冬の海を思わせるような白波が岩を砕く。
シーズンには島巡り遊覧船が出て、奇岩や洞門、小島などが見て回れる。また澄んだ海の中をのぞくこともできる。
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この浦富海岸には自然探勝路があり、約3kmにも及ぶ遊歩道が続く。片道約1時間30分のコースだが、エメラルドグリーンの海に浮かぶ島々や入り組んだ海岸線、そこに見る奇岩などに足を止めながら歩く時間は短く感じるほど変化に富んでいる。
浦富には網代・田後の2つの漁港があり、田後漁港は昔の漁師町の面影を残している。
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 浦富海岸の遊歩道
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 浦富海岸には静かな漁港がある
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●鳥取城跡
 鳥取城への門
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鳥取市内の観光の名所である鳥取藩主池田氏の居城跡と別邸、仁風閣だ。
16世紀半ばに山名氏によて築城され、城主吉川氏などを経て慶安元年(1648)池田光仲氏が鳥取城主となる。江戸城内で将軍家光の前で元服の式が行われ、官位と将軍の名の一字を賜る名誉ある大名は、加賀の前田家、薩摩の島津家、長州の毛利家など「殿上元服家」が15家あり、鳥取の池田家も含まれている。
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明治4年(1871)廃藩となり城は壊され、池田家は東京へと移った。
現在は石垣、櫓、堀の一部を残すのみだが、鳥取藩主池田家因幡伯耆32万石の栄華をいまにしのばせる。
政治の中心として明治まで12代にわたり栄えた山城は、現在、周囲は久松公園として整備されている。
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●仁風閣
池田藩主城跡だった久松公園内にフレンチルネッサンス様式の洋風建築がある。明治40年、池田藩の別邸として建てられたもので、明治洋風建築最高傑作といわれる赤坂離宮をはじめ数多くの有名建築を設計した片山博士によるもの。
白亜の木造瓦葺き2階建てで、バロック風な軒飾りがあり、正面右には螺旋階段のための角尖型の塔が、この建築の特徴といわれている。また6本の赤レンガの煙突は、室内のマントルピースのためのものだ。
完成と同時に、この仁風閣は、時の皇太子殿下(後の大正天皇)の山陰地方行啓の宿舎として使用された。
仁風閣の建築費は、当時の金額で4万4千円、市役所の1年の予算額が5万円だったというのだから大変なものだった。山陰に残る唯一の洋館建であり、国の重要文化財だ。
/入館料 150円、TEL 0857-26-3595
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●宝隆院庭園
文久3年(1863)最後の鳥取藩主池田慶徳が先代藩主慶栄の夫人宝隆院が若くして未亡人になったため、彼女を慰めようと造営されたもの。
江戸末期の典型的な池泉庭園。
久松公園入口には、鳥取が生んだ名作曲家・岡野貞一の代表作、文部省(現・文部科学省)唱歌「ふるさと」の歌碑がある。
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 岡野貞一の歌碑
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●玄忠寺
剣豪・荒木又右衛門の墓があることで名高い。
寛永7年(1630)岡山藩主池田忠雄の小姓渡辺源太夫が、同藩の藩士河合又五郎に殺されるという事件がおきた。江戸の旗本にかくまわれた又五郎を巡って、引き渡しを求めた池田家と、それを拒む旗本家との対立。荒木又右衛門は、仇討ちを悲願とする源太夫の兄、渡辺数馬を助け、寛永11年11月7日、伊賀上野鍵屋の辻において首尾よく本懐を遂げさせた。
講談や芝居では荒木又右衛門36人斬りの見せ場だが、実際には2人しか斬っていないらしい。その後、藤堂家に預けられが、鳥取藩の強い希望で寛永15年8月数馬とともに鳥取に迎え入れられた。
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 又右衛門の折れた刀
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境内の遺品館には遺品の数々が展示されている。庫裏には高木百拙筆の墨一色の羅漢襖絵があり、僧侶が案内をしてくれる。
もう一つ見逃せないのが「一富士・二鷹・三なすび」の意味を書かれたもの。これは日本三大仇討ちのことだという。なるほど目から鱗だった。
一富士とは、富士の裾野の曽我兄弟(親の仇)
二鷹とは、浅野の紋のタカの羽根(忠臣蔵)
三なすびとは、伊賀で仇ナス又右衛門(大名対旗本)
/遺品館・庫裏見学料 300円、TEL 0857-22-5294
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 荒木又右衛門の記念館、墓地のある玄忠寺
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 荒木又右衛門の鎖帷子
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●景福寺
玄忠寺にほど近いところにあるこの寺の墓地には戦国時代の豪傑、後藤又兵衛基次と妻子の墓がある。かつては樹木で覆われていたであろう寺の境内はコンクリートで敷き詰められた駐車場と、むき出しになった墓石が並んでいた。その墓石群の中にひときわ古い墓があった。
大阪夏の陣合戦で戦死した夫の遺髪を胸に、夫人はその子為勝(当時2歳)を連れて岡山の実家、三浦家に落ち着いた。寛永9年(1632)、池田光仲により池田家の家臣である三浦家は鳥取に移ることとなり、夫人はここに夫の遺髪を埋葬し、後9代までがこの墓を守っていたという。
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 後藤又兵衛の墓地
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●白兎海岸
 白兎海岸はあいにくの雨
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鳥取空港から西に3kmほどに美しい砂浜の海岸がある。神話「因幡の白兎」の舞台だ。ワニ(鮫)をだまして仕返しに、皮をむかれ赤裸になった兎、そこへひとりの神が通りかかり「海水で洗い砂に体をまぶし」と教えられ、いっそう痛みを増して泣いているところに大国主命に出会う。「真水で体を洗い、蒲の穂に身を包み休むとよい」といわれて元の体になった兎の話は、子供に頃に誰でも語り聞かされた話。
水がきれいな浜として知られ、日本の渚百選にも指定されている。現在は国道9号線を隔てた敷地に「道の駅」を建設中。
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●白兎神社
「古事記」や「日本書紀」にも記載されている古社。境内には神話「因幡の白兎」が大国主命にいわれたように真水で体を洗ったという池もある。
周囲には天然記念物の樹叢(じゅそう)がある。
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 白兎神社
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 白兎が身を洗った池と蒲 (対岸のアシのような草)
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 白兎神社樹叢は天然記念物
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 古い神社があちこちにあった (写真は白兎神社ではありません)
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●鳥取の松葉ガニ
11月6日に解禁になった日本海特産の蟹、松葉ガニは福井県周辺では越前ガニという。同じものだが、松葉ガニに比べて越前ガニは早くからブランド登録していっそう高価になった。
もともと安いカニではなかったが、昔は旅行者が気軽に食べることができた日本海の冬の味覚だったが、いつのころからか超高級品になった。地元の人でもとても簡単に口には入らないそうだ。そのせいか、地元鳥取でも本場の松葉ガニを食べさせる料理屋は少ない。
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 松葉ガニ
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今年は初ゼリが昨年より安かったそうだが、いっぱい1万3,000円だ。料亭ではいっぱい2万8,000円と化す。旅館では一泊おひとりさま3万円〜5万円を目安ではないと、本場の松葉ガニには味わえない。それでも、旅館や料亭が予約で満室になる。旅館の女将曰く「カニ貯金をして一年に一度の贅沢を楽しむ庶民があってこそ」という。
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○ニッポンレンタカーの車種・料金
詳しくは車種・料金一覧表をご覧ください。
○鳥取県のニッポンレンタカー営業所
ニッポンレンタカー ホームページの営業所検索で、鳥取県の営業所リストをご覧いただけます。
- ・鳥取県観光連盟
- 鳥取県の観光情報を掲載。「特選・旅プラン」やキーワードで検索できる「観光案内検索」もある。
- ・砂丘王国(福部町)
- 鳥取砂丘の詳しいガイドのほか、周辺のみどころを含めたおすすめ観光コースなども紹介している。
取材:2005年11月
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