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伊豆の国と修善寺から西伊豆へ(2)
伊豆の国と修善寺から西伊豆へ(2)
<コース>
(東名高速道路)−沼津−柿田川湧水群−(国道414号線)−内浦−(国道136号線)−伊豆の国市−
修善寺−(県道18号線)−達磨峠−戸田−(県道17号線)−土肥−(国道136号線)−宇久須−堂ヶ島−松崎−石部−雲見−戸田−三津−沼津−(東名高速道路)
全行程 約450km、2泊3日
<ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください>
●修善寺温泉
弘法大師が開基したという「修禅寺」を中心に、桂川沿いに古い宿が並び、河原に湯が湧く町。多くの文人墨客が愛した自然や宿もいまに残す温泉街は、今年、開湯1200年を迎えた。町にはその歴史を誇るように記念ののぼりがはためき、シーズンには多くの記念の催しが行われるとか。
修善寺に幽閉された源頼家、頼朝に謀反の疑いかけられた範頼の悲劇や、華やかな温泉街の物語、また文人の句碑やゆかりの品などを残す修善寺の町を歩いてみた。(狭い道が多く、駐車場が少ないため)
修善寺川と古い旅館
修善寺の新井旅館
今年は開湯1200年だという
●修禅寺
修善寺温泉発祥の寺で、大同2年(807)弘法大師が開基し、当時は桂谷山寺といわれ、伊豆国禅院一千束と記された格式の高い寺だった。修善寺温泉の名もこの
修禅寺
からついたといわれている。
鎌倉時代初期に作られた高さ1.3mの本尊、大日如来が、昭和59年(1984)修復解体の折3束の黒髪と経文が発見され、歴史論争となった。現代の科学で解明をはかった結果、2人の女性であることがわかり、ひとりは北条政子か、と考えられたが結論が出ないまま再び仏像の体内に納められた。なかなかミステリアスな歴史を秘めた寺である。
修禅寺本堂
(画像をクリックすると拡大写真を表示します)
修禅寺境内のだるま像
修禅寺に隣接する日枝神社への階段下、右側は源範頼が幽閉されていた信功院跡だが、昔を伝えるものは庚申塔だけだった。
●独鈷(とっこ)の湯
修善寺の湯は源頼家が入浴中に暗殺されたという言い伝えから、すでに温泉が利用されていた。その後、豊臣秀吉の古文書にも温泉入浴が記されていたが、徳川中期になって、
独鈷の湯
をはじめ石湯、箱湯、稚児の湯など9つの施設が整い湯治場として知られるようになった。現存するのは、独鈷の湯のみだ。(筥湯(はこゆ)は7年前に共同浴場として生まれ変わっている)
桂川の河原に湧きだした温泉で、四阿屋(あづまや)に囲まれた中に自然石で作られた小さな湯船がある。いまは入浴は禁じられているが、足湯として利用。この風情は修善寺温泉のシンボルであり、ここを訪ねる人にはなくてはならない風景だ。しかし、平成16年(2004)の台風で、桂川の中に突き出た独鈷の湯が水の流れを変え、川沿いの老舗旅館に被害が出たという。1200年続いた自然の温泉が、20mの移動を余儀なくされるのだ。
独鈷の湯
公園には飲用の湯が出ている
この1200年の歴史ある温泉も、戦後、増掘競争で自噴泉はすべて枯渇。現在は利用できる温泉井戸を集中管理したことで保っているそうだ。10年ほど前までは40数軒あった旅館も半分に、半循環式になったと宿の女将が小さな声で教えてくれた。
●指月殿
独鈷の湯の対岸の山にある伊豆最古の木造建築といわれる古刹。源頼家の菩提寺で北条政子が息子である頼家の冥福を祈って建立した寺。
近くには「十三士の墓」がある。頼家が殺害された6日後、謀反を企て失敗した頼家の家臣の墓と伝えられる。
指月殿と源頼家の墓
指月殿の釈迦如来座像
●源範頼の墓
竹林の小径を歩き、楓橋を渡って約10分住宅街の狭い道を登ると小さな森の中に墓があった。治承4年(1180)、兄である頼朝と木曽義仲が対立したとき、弟義経とともに義仲を征伐、一ノ谷の合戦では平家を破った範頼は、義経とともに頼朝との仲が険悪になり、修禅寺に幽閉、信功院で自刃したと伝えられている。
小さな墓は近年造り替えられている。
竹林の散歩道
(画像をクリックすると拡大写真を表示します)
源範頼の墓
修善寺の筥湯
修善寺温泉といえば伊豆の「小京都」とまでいわれて由緒ある老舗の温泉街だ。
町は2000年に共同浴場として生まれ変わった「筥湯」(はこゆ)の他、昔の温泉場も復興を予定しているという。
●達磨山高原
修善寺から戸田を結ぶ県道18号線の中程にある高原に、富士山を眺める絶好の展望台がある。眼下には三津の入り組んだ海岸線や青く広い駿河湾を見渡す、その空に浮かぶ富士。まさにここは日本一の山を見る場所である。(これからドライブする西伊豆は随所に、ここが一番というビューポイントがあるのだが、その度、ここからの富士の眺めは日本一と思う)
雪を頂き、雲を巻く姿にしばし見とれ、思わぬ時間が過ぎていた。
達磨山ドライブインからの富士山
(画像をクリックすると拡大写真を表示します)
●戸田峠
西伊豆スカイラインと合流する峠からわずかに下り、三体の地蔵が祀られた地点に出る。
昔、三味線を弾きながら農村や山村を巡る盲目の瞽女(ごぜ)と呼ばれた女性遊行芸人がいた。一年のほとんどが旅暮らしであった。
暖かい伊豆とはいえ、冬には山には雪が降る。長い峠道、雪に行く手を阻まれ、行き倒れた瞽女の供養塔と書かれた表示板がある。いま海辺では桜の花もほころぶ季節であったが、峠は前夜降ったと見られる雪がわずかに残っていた。
戸田港(左下)を見下ろす峠道に
瞽女(ごぜ)の供養塔
●戸田港
戸田の漁港。白く見えるのは南アルプス
戸田港
は、腕のように延びた御浜岬に囲まれて、駿河湾の荒波をさえぎる天然の好漁港だ。岬から眺める富士はまた格別だ。圧倒されるほど大きく、海面から湧き上がるようにそびえるその姿には威圧感すら覚えるほどだ。遙かに南アルプスの連なりが見える。
岬の先端では、釣り客が放置した釣り糸やゴミなどを地元の漁師たちが拾い集めていた。ゴールデンウィークには、釣り客と家族連れの行楽客で込み合うと、民宿を営むひとりの漁師が嬉しそうに笑って言った。
●土肥港
港を覗いて見ると、漁業組合の鮮魚店では、捕ってきたばかりだという“さざえ”が大量にあり、生け簀のほかにプラスチックのかごもいっぱいだった。
「今日、捕ってきたものだよ。刺身にするなら大きい方、焼くなら小ぶりの方がいいよ」威勢のよい若い女性の高い声が響く。
「刺身にするとき、殻からどうして身を出すの?」と訊ねたら「金槌で殻を割ればいいんだよ」いう。荒っぽいが、手っ取り早い方法だと思った。東京のデパートでは1つ1,200円ほどの大ぶりのさざえが500円だ。
「今年は水温が高いせいか、さざえはよく育っているよ」という。季節、漁獲量で価格は変化する。
鯵寿司はなかなかおいしい
土肥漁港のサザエ
土肥の町を過ぎると若者たちのスポット「恋人岬」への派手な看板や黄色と紫のパンジーの花でハートに彩った花壇があった。これより宇久須港を回り込むと、夕日の美しさで知られる景勝地
「黄金岬」
だ。青い海、岩に砕ける白波、そして遊歩道を5分ほど歩いたその先に、富士の雄姿を正面に見る。断崖が夕日を浴びて黄金の輝くことから、この名前がついたというが、夕日の赤く染まる富士山も見事だろう。
恋人岬にはパンジーでハートが描かれていた
黄金崎周辺の岸壁。水が綺麗だ
(画像をクリックすると拡大写真を表示します)
●沢田公園露天風呂
入り組んだ海岸線、大小さまざま岩が浮かび、神秘的な洞窟めぐりで有名な
堂ヶ島
、その堂ヶ島温泉の外れにある露天風呂。
湯船の下は断崖絶壁、約20mの眼下に散る波、目線を上げれば伊豆の松島と称えられる堂ヶ島を眺める。駿河湾の雄大な風景の中に身を沈める醍醐味は「伊豆に数ある露天風呂の中でも最高」と地元の人の言葉だった。
だが、あいにくこの日(火曜日)は定休日。湯を抜かれた湯船から、入浴シーンをイメージしてみると、確かに見晴らしは最高の温泉と想像つく。4〜5人(男女各)でいっぱいになる湯船を待って、時には長蛇の列ができたりもするそうだ。
/入浴料 500円、TEL 0558-52-0057
沢田公園野天風呂から堂ヶ島方面
(画像をクリックすると拡大写真を表示します)
堂ヶ島周辺は岩の小島が多い
●松崎町の神明水と大銀杏
松崎町
といえば、明治時代のなまこ壁の素朴な町並みで知られる観光地だ。なまこ壁などの漆喰装飾師であった入江長八の作品が展示されている「長八美術館」と、道をはさんで伊那下神社が鎮座する。平安時代に創建されたという神社には、源頼朝寄進の国宝松藤双鶴鏡などが所蔵されている。
この神社の境内には「神明水」という水が湧く。「渓谷断崖の岩間より湧き出る霊泉にして、清冽珍瓏玉を吹くきてきわまりなし……」と説明文があり、人々がうやうやしく水を汲んでいた。また鳥居の脇には樹齢1000年の大銀杏がそびえている。周囲8m、樹高20mもあり、県指定天然記念物である。
ときわ大橋
昔を偲ばせる商家。今は資料館になっている
伊那下神社の大銀杏
神明水を汲みに来たお婆さん
●平六地蔵露天風呂
松崎町石部港の中にある。名前のごとく湯船の岩の上に地蔵さんが鎮座し、湯に浸る人々を見守っている。コンクリート造りで20人くらいが一度に入れる大きさで、かけ流し。湯量はかなり豊富だ。
混浴で、最近は夏場は水着着用とあるが、小さな脱衣所もある。シーズンオフは本来の裸入浴する人が多いとか。ただし、シーズン以外は掃除はされていないようで、入浴する人はそのつもりで。泉質 カルシウム・カリウム塩化物。
地蔵さんが見下ろす平六地蔵野天風呂
/入浴料 無料、問い合わせ 松崎町観光協会 TEL 0558-42-0745
●雲見温泉露天風呂
雲見町
の入り口に小さな看板があり、人ひとりがやっと通れるような山道を海へ向かって100mほど下ると、小さな小屋の脱衣所の外にコンクリート製の湯船があった。小さな風呂だが、今の季節はひとり占め。温度は少し低めだが、白波や時折姿を見せる漁船を眺めながらの湯浴みは、のどかなひとときである。
夏は目の前の海で泳いだり磯遊びしたり。冷えた体を温泉で温める。だが、思いは皆同じで込み合うそうだ。
(西伊豆については、2003年1月
「冬の西伊豆」
を参照)
雲見温泉露天風呂
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取材:2007年3月