第11戦ドイツ・ラリー

ドライブライン

2005年、世界ラリー選手権(WRC)第11戦のドイツ・ラリーは8月26日から28日までモーゼル川沿いのトリアーと南東約60キロのボスタルジー湖畔を基点に総走行距離1298.25キロ(うちSS19ヵ所、355.40キロ)を行い、シトロエン・クサラに乗るセバスチャン・ローブ(フランス)がドイツ・ラリー4連勝。今季8度目、WRC通算18度目の優勝で、マーカス・グロンホルム(フィンランド、プジョー307)を抜き現役最多勝となった。
2位もシトロエンのフランソワ・デュバル(ベルギー)でシトロエンの1、2フィニッシュだった。3、4位はプジョー307のマーカス・グロンホルム(フィンランド)、マルコ・マルティン(エストニア)で、フランス勢の支配したラリーだった。


ファンにシャンペンを振りまくローブ
ファンにシャンペンを振りまくローブ
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ブドウ畑を走るスバル・インプレッサ
ブドウ畑を走るスバル・インプレッサ
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日本車では三菱ランサーのジアンルイジ・ガリ(イタリア)が5位、スバル・インプレッサのペター・ソルベルグ(ノルウェー)、ステファン・サラザン(フランス)が7、8位。ハリ・ロバンペラ(フィンランド、三菱ランサー)は10位、クリス・アトキンソン(オーストラリア、スバル・インプレッサ)は11位だった。
ドライバーズ選手権はローブが93点でトップ。2位グロンホルム・61点、3位ソルベルグ・51点。マニュファクチャラーズ得点はシトロエンが123点で首位を奪回。プジョーが117点で続いている。

三菱のガリは頑張って5位
三菱のガリは頑張って5位

ドライブライン

○…モーゼル川とそれに沿ったブドウ畑が美しい1レグ。軍演習地の起伏の多い荒れたアスファルト路面の2レグ。そして最終日は狭いツィスティな丘陵の林道。
ドイツ・ラリーは、今シーズン初の舗装路のラリーだが、3日とも全く様子の違うコースが選択されている。雨はセレモニアルスタートで降ったが、あとは3日とも、珍しく降らなかった。コンディションは悪くはなかった。それが波乱なし、ローブ、デュバルの突出した走りにつながった。
ブドウ畑を走るラリー車
ブドウ畑を走るラリー車
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ローブの速さは群を抜いている。SS19ヵ所のうち、13ヵ所でトップタイム。初日・5ヵ所、2日目・5ヵ所。大きくリードを広げた最終日は、じっくりと走って6ヵ所のうち3ヵ所でトップタイムだ。
「車はパーフェクト。滑りやすい路面だし、泥が舗装面に出ているところも多いので、十分に気をつけて走ったよ」とローブ。同じチームのデュバルこそ接近したタイムで続いていたが、名手グロンホルムも終わってみればローブに2分04秒8の大差をつけられていた。

急坂を下るグロンホルムのプジョー
急坂を下るグロンホルムのプジョー
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第2レグを走るデュバルのシトロエン
第2レグを走るデュバルのシトロエン

○…ソルベルグは“予測外”のトラブルに第2レグで見舞われた。SSの中で全力疾走しているときではない。移動中に油圧が下がり、全部のギアが入らなくなった。これでは車は動かない。オイルタンクを外し、ともかくギア1つだけを繋いでなんとか走り続けたのはさすがだが、タイムコントロールの制限時間に遅れ、1分半のペナルティをうけて4位から12位まで落ちてしまった。

ソルベルグは悪条件でも勝負を捨てない
ソルベルグは悪条件でも勝負を捨てない
「最後までベストを尽くす。ポイント圏内を目指す」と言ったソルベルグは、次第に順位を上げ、最終日には8位に進出。さらに同じスバルのサラザンにドライブシャフトのトラブルが出たため7位、2ポイントを獲得した。
「最終日はステージの道幅が狭く、ツィスティだったので私には良かった。常に全力で走った。激しく攻めると速いことも分かった。ラリーGBまでにやるべきことは沢山ある。GBそしてラリージャパンでは勝ちたいね」とソルベルグは勢いを取り戻している。

○…WRCのトップクラスは20キロ、30キロのSSを秒差で走る。時には同タイムなど信じられないような結果もある。1分以上の差はもう“論外”の世界で、ローブがドイツで見せた走りは近来にない快走ということになる。
フランス生まれだが北部のドイツ国境に近い町。トリアーへの直線距離は130キロほどしかない。ローブ、エレナ・コンビの名をフランス国旗に染め抜き、サービスパークやSSに陣取るのは「多くの友人や知り合いです。ここまで遠くないので、ドイツにはいつも応援に来てくれます」とローブは言っている。
村にはその地方の紋章が
村にはその地方の紋章が

○…ドイツ・ラリーはSSで公道を使わない。自然保護、環境整備に神経を遣うこの国では、農道、林道、演習地などがSSのフィールドとなる。山の林道も指定されたところ以外は乗り入れを禁止されているので、オフロード・バイクや車はほとんどない。

以前はモトクロスなどを牧場や畑を借り切り、特設コースを造って開催していたが、モトクロスの世界GPが開催されなくなって久しい。
BMW、VW、ポルシェなどのクロスカントリーカーも大きなホイールに扁平タイヤのロードカーに仕立てて販売されている。
環境保護にはことのほかうるさい国で、猛烈に盛り上がるラリー人気は、環境保護とモータースポーツを巧みにマッチングさせた関係者の“智慧”だろう。
ラリー車はこういう村を抜けて移動する
ラリー車はこういう村を抜けて移動する

○…ラリージャパンのすぐ前、ラリーGBはグラベル。滑りやすいウェールズの森林地帯や、ドイツと同様にやはり軍の演習場などを使う。十勝の林道とは様子が異なるが、ここで各チームがグラベル仕様をどこまで仕上げているかは、ラリージャパンの行方に大きく影響する。
スバルは2台、三菱は3台、そしてWRカーではなくスーパー1600だが、スズキも2台を送り込む。



 ◇ドイツ・ラリー最終日
1.LOEB/ELENACITROEN TOTAL3:27:13.2
2.DUVAL/SMEETSCITROEN TOTAL+00:37.4
3.GRONHOLM/RAUTIAINENMARLBORO PEUGEOT TOTAL+02:04.8
4.MARTIN/PARKMARLBORO PEUGEOT TOTAL+04:09.4
5.GALLI/DAMOREMITSUBISHI MOTORS MOTOR SPORTS+05:03.6
6.KRESTA/MOZNYBP FORD WORLD RALLY TEAM+05:12.3
7.SOLBERG/MILLSSUBARU WORLD RALLY TEAM+07:48.1
8.SARRAZIN/GIRAUDETSUBARU WORLD RALLY TEAM+08:34.1
9.PONS/DEL BARRIOXSARA WRC+09:09.2
10.ROVANPERA/PIETILAINENMITSUBISHI MOTORS MOTOR SPORTS+09:11.6
11.ATKINSON/McNEALSUBARU WORLD RALLY TEAM+10:33.0
12.SOLA/AMIGO COLONBP FORD WORLD RALLY TEAM+16:43.11

ドライバーズ得点
1.Loeb93
2.GRONHOLM61
3.Solberg55
4.MARTIN53
5.Gardem47
6.Rovanp22
7.Duval16
8.Kresta13
9.Stoh12
マニュファクチャラーズ得点
1.Citroen123
2.PEUGEOT117
3.Ford72
4.Subaru62
5.Mitsubishi47
6.Skoda8


中島祥和
取材:2005年8月