第10戦ラリー・フィンランド

ドライブライン

◇ソルベルグ(スバル)残念!
  グロンホルム、ローブの連勝を止めた。


2005年世界ラリー選手権(WRC)第10戦のラリー・フィンランドは、4日から7日までヘルシンキ北方、約200キロのユバスキラを起点に行われ、マーカス・グロンホルム(フィンランド、プジョー307)が優勝。今季7勝、6連勝中のセバスチャン・ローブ(フランス、シトロエン・クサラ)にストップをかけた。
グロンホルムはSS21か所の合計、355.59キロを通算2時間54分11秒0で走破。ローブに1分6秒7差をつけ今季初勝利。フィンランドラリー2年連続通算5勝で、勝利数ではトミ・マキネン(フィンランド)と並ぶ記録。マルコ・マルティン(エストニア、プジョー307)が3位。
日本車はペター・ソルベルグ(ノルウェー、スバル・インプレッサ)が4位。ハリ・ロバンペラ(フィンランド、三菱ランサー)が7位。スバルではクリス・アトキンソン(豪州)がSS19後にリタイア、ジャンルイジ・ガリ(イタリア、三菱ランサー)はクラッシュしリタイア。
併催のジュニア世界ラリー選手権(JWRC)第5戦はダニエル・ソルド(スペイン、シトロエンC2)が優勝。イルモ・アーヴァ(エストニア、スズキ・イグニス)が2位で、今回から投入の新型スイフトのガイ・ウィルクス(英国、スズキ)は3位。


優勝したグロンホルムのプジョー307
優勝したグロンホルムのプジョー307
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激走するソルベルグのスバル
激走するソルベルグのスバル
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大観衆のSSを走るローブのシトロエン
大観衆のSSを走るローブのシトロエン
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下りコーナーを走る三菱のガリ
下りコーナーを走る三菱のガリ

木陰で一休みのPR嬢たち
木陰で一休みのPR嬢たち

ドライブライン

◇サービスパーク大にぎわい

○…フィンランドの人々はラリーが大好き。ラリー・フィンランドは1951年“1000湖ラリー”として始まり、もう半世紀以上の伝統がある。ユバスキラの街外れのサービスパークには、乳母車を押した若い夫婦、駆け回る子供、老人などがやってくる。

ラリー好きな人々に、各チームのサービスがよく見えるよう、広い“観戦通路”を100メートルほど通し、その両側にラリー車がサービスに入ってくる通路、サービステントが並ぶ。
観戦通路には絨毯が敷かれ、ところどころ大きな盛り花が置かれ、ベンチもある。
競走区間(SS)へ出かけない人々は、サービスパークでたっぷり車やドライバーがみられる仕掛けだ。
サービスパークは大にぎわい
サービスパークは大にぎわい

◇ラリー会場で子供の運転教室

○…サービスパークはラリー車の修復やドライバーの休息、作戦基地であると同時に、主催者にとっては観客への重要なサービス拠点でもある。フィンランドは国を挙げてモータースポーツを推奨。F1、WRCなどに数多くのチャンピオン、名ドライバーを送り出してきている。そんなお国柄を反映して、サービスパークには自動車の形をした足踏み式の車の周回路、電動自動車にヘルメット、シートベルトをきちんと締めて、道路標識に従って走る子供運転講習会なども開かれている。
ボランティアの指導員が、付き添い、教えている様子はほほえましい。

子供の運転教室
子供の運転教室
観客に応えるソルベルグ
観客に応えるソルベルグ

◇会場内に標識も

○…広いサービスパークで迷わないよう、標識もできている。いくつものポイントの書かれた標識の方向に向かえば、目的の車やドライバーがSSから帰ってきたときに会える仕掛け。公式グッズも多様で、帽子だけでも5、6種類。Tシャツ、ブルゾン、コート、ベスト、リュック、カッパ、人形、フィンランド国旗…。毎年のことだがこのグッズはなかなか売れ行きがいい。老人が子供だった頃からラリーに親しんでいるので、マナーもなかなかいい。

初めてフィンランドのサービスパークに登場した日の丸
初めてフィンランドのサービス
パークに登場した日の丸

サービスパークの中には道標もある
サービスパークの中には道標もある

公式グッズ販売所
公式グッズ販売所
タイヤ・メーカーの展示場
タイヤ・メーカーの展示場

◇厳罰と寛容

○…SSはどこでも人が一杯。今やほとんどが有料になったが、観客の減る様子は全くない。SS近くには駐車スペースも設けられているが、そこはすぐに満杯。

SS間の移動は快適な道路
SS間の移動は快適な道路
フィンランドの交通警官は厳しいことで知られ、スピード違反には収入によって罰金が科される。一昨年は速度超過で180万円もの罰金を徴収された人がいた。日本人でも“逮捕”され、留置場入りの憂き目にあった人もいる。
しかし、SSの現場近くでは寛容。道路の両側にはずらりと駐車の列。駐車禁止の標識はなくても、交通の障害になることは確か。それでも、SSの間は交通整理に徹し、違反摘発よりスムーズな車の流れ、楽しいラリー観戦を支援していた。

◇誰もがコース横断!

○…フィンランドならではのシーンがSS開催中に見られる。日本では何時間も前からSSのコース横断などしようものなら、役員から厳格に制止される。当局からのお達しもあって、見物人はコースから5〜7メートル以上離れていないといけない。コースを外れた車を観客が押し出すなど、WRCではごく当たり前のことも、日本では厳禁だ。
ラリー中に観客がコースを横切るなど、全くできない相談。
樹林帯を走るラリー車
樹林帯を走るラリー車

しかし、フィンランドでは長い伝統で、危険箇所はあらかじめわかる。そういう場所は30メートルも50メートルも観客をコースから遠ざけるが、そうでないところでは、WRカーが2分おきに走ってくることから、タイミングを見て合成樹脂のフェンスを開け、素早く観客を渡らせる。松葉杖から乳母車もいるのだから驚き。
2分をすぎても次の車が来ないようなときには、遅れてきた車が通りすぎても、渡らせない。その後の車が迫っている可能性が高いからだ。ラリージャパンも回を重ねるうちに、観客とラリーの一体化が進むと素晴らしいのだが…。

◇大所帯のチーム

○…WRCのチームは大所帯だ。大型トレーラー2台、普通トラック2台、小型パネルトラック2台ほどがサービスパークで活躍する。スバルの場合、大型トレーラーは1台が部品倉庫と調理場。もう1台はドライバーの休憩室とラリー車の搭載スペース。屋根からテントを張り出し、VIPなどにお茶や食事のサービスをする洒落たテラスが作られる。
作戦本部は大型テント。部屋は二つに分かれ一つはラップワース監督、東スバル代表、モヤ戦略担当が陣取る。もう一つの部屋にはパソコンがずらり。送られてくるデータの分析や、コース上の車をパソコン上でチェックする。SSのどこで、どんな運転だったかも、このテントのパソコンにはデータとして入ってくる。
このほかメカニック専用食堂兼休憩テント、タイヤ・テント、食器洗い、整理用のテントなどもある。食事は約100人分ほど作られる。

スバルの基地となるトラック
スバルの基地となるトラック
スバルの作戦本部。左からラップワース監督、東スバル代表、モヤ作戦担当
スバルの作戦本部。左からラップワース監督、
東スバル代表、モヤ作戦担当


◇ラリージャパンまで残るは2戦

○…ラリージャパンまで残るのは2戦。ライン川の支流、モーゼル川を囲む山と谷で開催されるドイツ・ラリー(8月26〜28日・トリアー)と湿っぽく、雨も多いウェールズの山地を走るウエールズ・ラリーGB(9月16〜18日・カーディフ)。
昨年ラリージャパンで優勝したスバルのソルベルグは「スバルの母国、日本までに最高の調子に持って行きたい」と張り切っている。スバルはソルベルグとアトキンソンの2台。三菱はロバンペラ、ガリ、それにジル・パニッツイ(フランス)の3台。スズキも新型スイフトを2台投入予定だ。



 ◇Final leaderboard of Neste Rally Finland
1.M. Gronholm/T. Rautiainen(Peugeot 307)2 h 54 min 11 s
2.S. Loeb/D. Elena(Citroen Xsara)+ 1 min 06.7 s
3.M. Martin/M. Park(Peugeot 307)+ 1 min 35.6 s
4.P. Solberg/Ph. Mills(Subaru Impreza)+ 2 min 08 s
5.M. Hirvonen/J. Lehtinen(Ford Focus)+ 2 min 13.6 s
6.T. Gardemeister/J. Honkanen(Ford Focus)+ 3 min 32.4 s
7.H. Rovanpera/R. Pietilainen(Mitsubishi Lancer)+ 4 min 27.9 s
8.F. Duval/S. Smeets(Citroen Xsara)+ 5 min 10.4 s
9.H. Solberg/C. Menkerud(Ford Focus)+ 5 min 45.8 s
10.J. Tuohino/M. Markkula(Skoda Fabia)+ 6 min 42.3 s

   ◇FIA World Rally Championship after round 10
Drivers
1.S. Loeb83 pts
2.M. Gronholm55 pts
3.P. Solberg53 points
4.M. Martin48 pts
5.T. Gardemeister47 pts
6.H. Rovanpera22 pts
7.M. Stohl12 pts
8.C. Sainz11 pts
9.R. Kresta10 pts
10.H. Solberg9 pts
Manufacturers
1.Peugeot106 pts
2.Citroen105 pts
3.Ford69 pts
4.Subaru59 pts
5.Mitsubishi43 pts
6.Skoda8 pts


中島祥和
取材:2005年8月