世界ラリー選手権(WRC)第10戦
ラリー・フィンランド

ドライブライン

ラリー・ジャパン直前のラリー・フィンランド(8月17日〜20日)は、地元フィンランドのマーカス・グロンホルム(フォード・フォーカス)が優勝した。グロンホルムはアクロポリスに勝ったあとWRC2ヶ月の夏休み明けのドイツ3位、フィンランドで優勝して、今シーズン4勝目、WRC通算22勝を挙げて絶好調。昨年のラリー・ジャパンでも優勝している。
チャンピオン、セバスチャン・ローブ(フランス、シトロエン・クサラ)は、安定した走りで、今期6勝。優勝しなかった4戦はいずれも2位。落としたラリーなしという強さ。ラリー・ジャパンでの勝ちはないが昨年、一昨年共に2位でキッチリとポイントを獲得している。
一方、迎え撃つスバルのペター・ソルベルグ優勝間違いなしと見られ、残すSSあと1ヵ所というところで、前車の掘り起こした石をヒットしてクラッシュ、リタイヤ。それ以降、今シーズンに入っても勝ちがない。一昨年、スバルのホーム・イベントで優勝した感動を、ファンは期待している。


喜びのフォード。左からグロンホルム、ウィルソン監督、3位ヒルボネン
喜びのフォード。左からグロンホルム、ウィルソン監督、3位ヒルボネン

主な出走者
1. S・ローブ
フランス
シトロエン・クサラ
2. D・ソルド
スペイン
シトロエン・クサラ
3. M・グロンホルム
フィンランド
フォード・フォーカス
4. M・ヒルボネン
フィンランド
フォード・フォーカス
5. P・ソルベルグ
ノルウェー
スバル・インプレッサ
6. C・アトキンソン
オーストラリア
スバル・インプレッサ
7. M・ストール
オーストリア
プジョー307
8. M・ウィルソン
イギリス
フォード・フォーカス
9. L・ペレス
サンマリノ
フォード・フォーカス
10. X・ポンス
スペイン
シトロエン・クサラ
11. 新井敏弘
日本
スバル・インプレッサ

▽グループN
FIAのプライオリティー・エントリーでは、日本の奴田原文雄(三菱ランサー)が33番、スバル・インプレッサの鎌田卓麻の名前が挙げられている。


ドライブライン

◇グロンホルム首位に立つ。ラリー・フィンランド第1レグ

【ユバスキラ(フィンランド)18日】2006年世界ラリー選手権(WRC)第10戦のラリー・フィンランド第1レグは、17日夜のスーパースペシャル(SS1=2.06キロ)に引き続き18日、SS8ヵ所、SS合計146.49キロを行い、フォード・フォーカスのマーカス・グロンホルム(フィンランド)がトップ。12秒差でセバスチャン・ローブ(フランス、シトロエン・クサラ)が追っている。3位はミッコ・ヒルボネン(フィンランド、フォード・フォーカス)、4位にスバル・インプレッサのペター・ソルベルグ(ノルウェー)がいる。

優勝へ走るグロンホルムのフォード
優勝へ走るグロンホルムのフォード

朝から雨が降った。地元グロンホルムは午前中のウェット・コンディションの中で、4ヵ所のSSのうち、3ヵ所を制し首位に立った。濡れた高速コースに手こずっていたローブは、午後に入って路面が乾き始めると順位を上げ、グロンホルムの12秒あと、射程内に捉えて初日を終わった。
グロンホルムはフィンランドに強く、過去6年間に5度も優勝する強さだが、初のフィンランド制覇を狙うローブとの勝負が面白くなった。
「最初のいくつかのSSタイムはとてもよかったが、午後になってほかのドライバーも“目覚め”たようだ。午後のジャンプで注意しすぎた。もう少しリスクを冒さないと勝てない」とグロンホルムはいっている。

一昨年までスバルの第2ドライバーだったヒルボネンは、フォードに乗って勢いを増している。グロンホルムに43秒5遅れてはいるが、ソルベルグを抑えて3位を確保している。2004年のチャンピオン、ソルベルグは今年勝ちがない。SSで前の車に追いついてしまう不運などもあったが、グロンホルムに52秒9遅れている。
「前の車に追いつくなどでタイムロスしたのは痛いが、車には問題はない。ジャンプなどでこれまでより安定していることがはっきりした」とソルベルグ。去年は初日に大ジャンプし、リアサスを壊したため、今回は慎重なスタートだった。
スバル・インプレッサ
スバル・インプレッサ

ソルベルグ
ソルベルグ
アトキンソン
アトキンソン
新井敏弘
新井敏弘

Day One Classification
1. Marcus Gronholm (Fin) Ford
1:12:59.600
2. Sebastien Loeb (Fra) Citroen
+00:12.000
3. Mikko Hirvonen (Fin) Ford
00:43.500
4. Petter Solberg (Nor) Subaru
00:52.900
5. Henning Solberg (Nor) Peugeot
01:47.200
6. Chris Atkinson (Aus) Subaru
02:17.100
7. Daniel Sordo (Sp) Citroen
02:45.000
8. Gianluigi Galli (Ita) Peugeot
02:49.600
9. Jussi Valimaeki (Fin) Mitsubishi
03:02.300
10. Janne Tuohino (Fin) Citroen
03:06.000


◇スバル・ソルベルグ脱落 ローブもパンクで苦闘

【ユバスキラ(フィンランド)19日】WRCのラリー・フィンランド第2レグは19日、ユバスキラ南西でSS8ヵ所、144.90キロを行い、フォード・フォーカスのマーカス・グロンホルム(フィンランド)が首位をキープしている。1分07秒差で2位にはセバスチャン・ローブ(フランス、シトロエン・クサラ)がいる。3位はミッコ・ヒルボネン(フィンランド、フォード・フォーカス)。スバル・インプレッサのペター・ソルベルグ(ノルウェー)はリタイヤ。

グロンホルムとローブの戦いは、12秒差の接戦で2レグをスタートした。ローブにとってフィンランド初勝利を狙うチャンスだったが、2レグの3本目、SS12で岩をヒット。約30秒をロスした。
「狙い通りにコーナーを走っていたが、そこに岩があった。全く気づかなかった。岩は完全にタイヤを裂き、車は2輪駆動の状態になってしまった」とローブはいった。30秒のロスは大きい。グロンホルムとの差は一気に開いた。
トップを走るグロンホルムはローブのパンクを知ってからもペースを緩めることはなかった。
「午前中は出来るだけ速く走った。セバスチャンのパンクを知ったあとも、100%の力を出したつもりだ」
最終日に残されたSSは4ヵ所、60.22キロでグロンホルムはフィンランド6勝を目前にした。
「パニックになることはない。ドライブは良い調子だ。リスクを冒さず、集中して走る」と話している。
シトロエン
シトロエン

ローブ
ローブ
ソルド
ソルド

ローブは2位を確保すれば、グロンホルムとのポイント差が2点縮まるだけ。31点のリードを保てる。67秒差を逆転するのはグロンホルムに大きなミスや、トラブルがない限り不可能。こちらもリスクを冒すことはないと見られる。
プライベートのプジョー307に乗るヘニング・ソルベルグ(ノルウェー)、ジジ・ガリ(イタリア)は4,5位。三菱ランサーWRCのユッシ・バリマキ(フィンランド)が7位。

Overall standings
1. Marcus Gronholm (Fin) Ford Focus RS
2hr 23min 51.2sec
2. Sebastien Loeb (Fra) Citroen Xsara
at 1:07.8
3. Mikko Hirvonen (Fin) Ford Focus RS
1:42.5
4. Henning Solberg (Nor) Peugeot 307
3:37.0
5. Gigi Galli (Ita) Peugeot 307
4:45.9
6. Janne Tuohino (Fin) Citroen Xsara
5:38.1
7. Jussi Valimaki (Fin) Mitsubishi Lancer
5:58.6
8. Jan Kopecky (Cze) Skoda Fabia
8:50.5
9. Manfred Stohl (Aut) Peugeot 307
12:35.2
10. Matthew Wilson (GB) Ford Focus
13:14.5


◇グロンホルム地元で6度目の勝利 ローブは確実に2位確保

【ユバスキラ(フィンランド)20日】2006年世界ラリー選手権(WRC)第10戦のラリー・フィンランドは20日ユバスキラにゴール。フォード・フォーカスのマーカス・グロンホルム(フィンランド)が、フィンランド3連勝、6度目。今期4勝目を挙げWRC通算22勝とした。2位はセバスチャン・ローブ(フランス、シトロエン・クサラ)、3位はミッコ・ヒルボネン(フィンランド、フォード・フォーカス)だった。

グロンホルムのリードで迎えた最終日はユバスキラ西方でSS4ヵ所、60.22キロを行い、1分7秒のリードでスタートしたグロンホルムが、前日までのリードをほぼそのままキープして優勝した。
グロンホルムはモンテカルロ、スウェーデン、アクロポリスに次ぐ今期4勝目の勝利で、ほかの6戦はローブが優勝。今期のWRCはこの2人が勝利を分け合う形となった。
「車は3日間のラリーを通じて完璧だった。チームと私にとって、素晴らしい結果だ。10年前にこのラリーを初めて走った時には、これほど勝てるとはとても思えなかった」と話している。
38歳のグロンホルムは初日にスパートしてリードを奪うと、22ヵ所のSSのうち、12ヵ所でトップタイムをマーク。「スカンジナビアンでなければ勝てない」といわれるグラベルの高速ラリーで、確実な走りを見せつけた。
2位になったローブは2日目のSS12までグロンホルムを12秒差で追っていたが、コース上の岩でタイヤが裂けて約30秒をロス。その遅れを取り戻すにはグロンホルムの速さからリスクが高すぎ、2レグ後半から最終日を2位キープの走りに切り替えた。
「2位を確保し、8ポイントを獲得できたことで満足だ。チャンピオン争いではリードを保てた。しかし、フィンランドは優勝出来ないラリーだ。ほかに勝ってない所は2ヵ所かな…。いつの日にかマーカスにここで勝ちたい」とローブはいっている。
3位に入ったヒルボネンはユバスキラの住人。
「子供の頃から憧れていたWRCを走り、ここで表彰台に立てるなんて、最高の感激」と大喜びだ。
ローブ92点、グロンホルム61点。スバル・インプレッサのペター・ソルベルグ(ノルウェー)は20点で6位。今期はまだ1勝もしていない。9月1日からのラリー・ジャパンでの一発に期待したい。

Rally of Finland result:
1. Marcus Gronholm (Fin) Ford
2:52:50.3
2. Sebastien Loeb (Fr) Citroen
+1:06.7
3. Mikko Hirvonen (Fin) Ford
+1:34.5
4. Henning Solberg (Nor) Peugeot
+3:57.8
5. Gianluigi Galli (It) Peugeot
+5:39.9
6. Janne Tuohino (Fin) Citroen
+6:05.0
7. Jussi Valimaeki (Fin) Mitsubishi
+6:55.4
8. Jan Kopecky (Cze) Skoda
+10:15.0
9. Manfred Stohl (Aut) Peugeot
+13:28.0
10. Matthew Wilson (GB) Ford
+14:47.4

Overall driver standings:
1. Loeb
92 pts
2. Gronholm
61
3. Daniel Sordo (Sp)
41
4. Hirvonen
27
5. Stohl
24
6. Petter Solberg (Nor)
20
7. Toni Gardemeister (Fin)
16
8. H Solberg
16
9. Galli
15
10. Xavier Pons (Sp)
11


中島祥和
取材:2006年8月