伊豆大島(2)島一周みどころ

大島は面積約90平方キロ、その島の97%は自然公園法によって規制され、保護されている。
東京より約120km、熱海より46km、伊東より36km、稲取港より29km。人口約1万人の島の主な港は元町港だが、天候によっては北にある岡田港に着岸する。
岡田港からレンタカーで花が盛りの「椿園」を訪れた後、海から少し離れた“大島一周(約50km)道路”を波浮港へ向かう。

<コース>
岡田港−大島公園−波浮港−元町港−三原山−野田浜−岡田港
行程 約80km、1泊2日
<ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください>
●波浮港
 波浮港 (画像をクリックすると拡大写真を表示します)
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野口雨情作詞、中山晋平作曲の♪磯の鵜の鳥ゃ日暮れにゃ帰る…の出だしではじまる、湖のように静かな港の風景を歌った「波浮の港」で一躍有名になったが、いまではこの歌を知る人も少ない。
かつて火口湖だったが、元禄16年(1703)の大地震と大津波で海とつながった。その後、港口が開削され「波浮の港」と呼ばれるようになった。
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近くには近海有数の漁場があり、沿岸漁業の中心、遠洋漁業の中継港、嵐の避難港として各地から船が集まり隆盛をきわめた。
波浮港には幸田露伴、西条八十、林芙美子などが訪れ、昭和2年(1927)「波浮の港」の歌が生まれ、一世を風靡したが、現在は静かな小さな港としての印象しかない。
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「公共の交通機関は路線バスだけ。その頼りのバスも岡田港や元町港からの直行はなく、いまは観光バスも来ない」と嘆く地元の人に、食堂を尋ねた。だが、教えられた店は定休日、その他、数件の食堂もみやげ物屋らしき店も休業中で、人影もほとんどなく静まりかえっていた。
港に寄り添うように狭い路地で結ぶかつての漁港町のつくり、その町並みの山の中腹に、木造3階建ての建物がある。「旧港屋旅館」だ。
石畳の階段を上ったところに建つ旧館は明治、増築された新館は大正時代に建てられた旅館。いまは川端康成の小説「伊豆の踊子」のモデルになったという“薫”の旅芸人一座が芸を披露した当時の踊り子たちの人形などが展示されている。
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 旧港屋旅館。資料館となっている
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さらに石段を上りつめた山の上に、周囲を大谷石の塀に囲まれた屋敷の中に石造2階建ての海鼠(なまこ)壁の建物がある。明治時代の建築で「旧甚の丸邸」だ。2階は蚕を飼育し、繭の生産をしていた。大島では珍しいといわれる蔵も残る。
かつて港屋旅館には魚業者、観光客などの宿泊客が多く、夜ごと踊り子が呼ばれての宴会客で賑わっていた。また「甚の丸邸」でも主は踊り子のお囃子で客を接待していたという。波浮の港が繁忙をきわめた良き時代が偲ばれる。
港の外れには森繁久弥書による波浮の港の「歌碑」もある。
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 旧甚の丸邸
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 野口雨情「波浮の港」の歌碑。 岸壁のはずれにあった
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●間伏地層切断面
 地層の切断面が三原山噴火の 歴史を示している
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再び一周道路へ出て、大島の中心地でもある元町へと向かう。途中、巨大な地層断層の切断面の中を走る。道路建設で削られた地層面は島の成り立ちを雄弁に語る。
150万年前から三原山の噴火がおこっていたこと、その噴火の数も数百回にも及んでいたことなどが素人目にもうなづけ、自然の驚異を見せてくれる。
火山灰が幾重にも重なってできた地層の一層一層が異なる時代の火山灰や火山礫で形成されている。高さ30m、長さ600m、その縞模様は90層にもなるという。
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残念ながら新しく工事された道路や路肩には駐車場もなく、クルマを止めてゆっくり観察したり、幾重にも重なりあった美しい地層面を眺めることはできない。立派な歩道はあるが一体どこに車を止めて歩いて来るのか。
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●火山博物館
“火山のすべてがここにある”をキャッチフレーズにつくられたこの博物館は「防災展示室」「火山展示室1・2」「シミュレータ・カプセル」「ワイド・スコープ」と5つの部屋に分かれ、1986年の三原山の噴火をモニター画面で再現したり、世界中の火山の脅威の写真や映像などがわかりやすいように解説されたものや、断層や火山岩などが展示されている。
/入館料 500円、TEL 0499-22-4103
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 元町の火山博物館
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●貝類博物館 ぱれ・らめーる
元町に近い大島有数の遊泳浜である「弘法浜」にある。ぱれ・らめーるとはフランス語で“海の宮殿”。日本中の貝、世界中の珍しい貝を約4000種5万個が展示されている。
貝の種類とはこんなにもあるのか、またこれほど美しい色をした貝、その名も“ホネガイ”など骨やトゲだらけのような貝、まるで砂のつぶかと思われるほどの小さな貝と、これほど多種多様な貝が岩礁や海底を飾っていると思うと、自然の楽しさを改めて思う。またこれだけ多くの貝を集めた博物館も珍しい。
/入館料 400円(火山博物館との共通券700円もある)、TEL 0499-22-1441
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 貝の博物館。4万5,000種の貝が展示されている
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 魚の骨?いや、ホネガイです
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●元町浜の湯と御神火温泉
1986年の三原山の噴火で湧いた温泉だ。三原山は火山でありながら、中腹にある三原山温泉だけで、温泉には恵まれなかった。だが18年前、元町の一画に温泉が出現した。
「浜の湯」は元町港より海岸に沿ってすぐ、長根浜公園内にある。目の前の海を見下ろす露天風呂で、対岸の伊豆半島の山々や海まで赤く染める夕日を眺めながらの入浴は人気がある。ただし、この日は強風のため休みだった。
/入浴料 400円
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「御神火温泉」は「浜の湯」の並びにある。温泉プールをはじめ大浴場、うたせ湯、ジャグジー、サウナなどの風呂や休憩室などの設備もある町営の天然温泉だ。
/施設利用料金 1,000円 TEL 0499-22-0909
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 元町の御神火温泉
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●赤門
元町港近くに丸い石を並べた昔の石畳に鮮やかな朱塗りの門がある。その昔、弓の名人と伝えられた源為朝が保元の乱(1156)に敗れて捕らえられ、伊豆大島へ流刑となった。ここは為朝が住んだ館跡と伝えられたいる。
為朝は流人の身でありながら、伊豆の島々を制圧し勢力を張り出したため、やがて朝廷に知れることとなり、征伐されてしまう。
為朝の住居は後に代官屋敷となり、現在はこの格式ある朱塗りの門と屋敷内には「為朝神社」や物見台、抜け穴跡などが残る。
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 源為朝の館跡。赤門がある
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 為朝を祭った祠
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「ホテル赤門」はこの広い屋敷内に建ち、38代目という宿の主人は、名家の生まれというわけだ。よく手入れされ、掃き清められた屋敷には、海まで続く抜け穴があったが、道路建設のためいまでは洞穴のようになってしまった話、1986年の三原山大噴火で屋敷内に温泉が湧いた話などを教えてくれた。
偶然「ホテル赤門」に泊まり会わせ、満点の星空の下で露天風呂を楽しんだ。
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●乳ヶ崎
 乳ケ崎から南方の展望
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大島の最北端の小さな岬に“為朝の碑”があり、為朝古戦場跡と聞いて行ってみた。なんの標識もなく、どこから高台の岬への上り口かもわからなく迷ったが、近くで農作業していた老人に教えてもらった。
背丈の高い葦が茂る中、車がやっと一台入れる小道も間もなく行き止まり、そこから徒歩で約15分ほど山道を登る。
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岬の先端からは青い海を挟んで間近に見える伊豆の山々、遠く三浦半島や房総半島、真下には大島空港の滑走路や島の海岸線と、飽きることのない景色が広がっていた。
為朝は朝廷から命を受けた討伐軍をこの岬で迎え討ったが、自慢の弓も多勢に無勢。この岬で自刀して果てる。時に為朝32歳だった。
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 大島空港など北西日の海岸
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 サンセット・パームライン
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 北からみる三原山
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●リス村
三原山頂口への上り途中にある。面積2,000平方mの園内に数百匹の台湾リスが放し飼いになっている。
餌のひまわりの種、一袋100円を買い求めて園内に入ると、餌を求めて沢山のリスが集まってくる。人慣れしたリスは餌を持つ手に飛びついたり、背中や肩に乗ったりする。
怖がって泣き出す子供もいるが、家族連れには楽しめるところだ。
もともとは大島は牛の放牧地であった。リス園の主人は、牛乳を使ったせんべい屋だったという。いまでも自家製の手焼き牛乳せんべいをつくっている。
/入園料 630円、TEL 0499-22-2543
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 リスと遊ぶ幼女
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 リス村の煎餅屋さん
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●三原山
大島の観光ハイライトである三原山は、伊豆大島そのものでもある。島の中央に位置する標高764mの三原山は“御神火様”として昔からあがめられてきた。
外輪山へは駐車場のある「三原山頂口」より約1時間、お鉢巡りは45分ほどかかる。(車での乗り入れはできない)
元町より岡田港へ向かう途中から三原山頂口へ、標識に従って上ると、いくつかの三原山展望ポイントがある。山腹噴火口と三原山温泉へは寄ってみたい。
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 三原山。噴煙が絶えない
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山腹噴火口は1986年の噴火に溶岩が流れた地域で、真っ黒な穴をいくつか観ることができる。道路沿いには火山灰を防ぐシェルターなどもあって、いまなお活動する火山の様子がわかる。
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三原山温泉には大島温泉ホテルが建ち、このホテルの敷地から、また露天風呂から三原山の全容が見渡せる。
車の終点「三原山頂口」の駐車場からは富士山や伊豆半島を、少し徒歩で上ると、いまなお煙の上がる三原山の全容と、登山ルートが見渡せる。
ハワイのキラウエア火山、イタリアのストロンボリー火山とともに世界三大流動性火山のひとつ、大島三原山の景観を堪能してほしいと思う。
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 三原山温泉の野天風呂。絶景だ
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 大島灯台
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 岡田港には焼きサザエの屋台があった
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伊豆大島(1)いまが見ごろの椿の花(2004/3)
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フリーダイヤル:0800-500-0919
- ・大島町役場
- 島の概要、アクセス方法、観光情報などを掲載している。他の伊豆諸島のホームページにもリンク。
- ・大島町貝類博物館
- 大島町貝類博物館「ぱれ・らめーる」の案内、収蔵資料や「貝の話」などを掲載。
取材:2004年3月
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