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冬のスペイン 地中海沿岸

ドライブライン

ビーチに面して真新しいホテル、アパートが建ち並ぶスペインの地中海の長い沿岸は、紺碧の空と青い海、砂浜や岩礁の海岸線には白い家々が並ぶ。庭や路地には色とりどりの花が咲き、陽気な人々が集う。そして春から秋には世界各地から訪れる観光客でどこも大賑わいだ。もちろん日本人にも地中海の村や町はどこも人気のスポット。
だが、まだ日本には知られていないリゾート地を訪ねながらバルセロナからマラガまでの約1,200kmをたった4日で往復するという強行軍だった。

訪れたのは冬といってもまだ晩秋の11月である。すでにホテルやレストランはほとんどが店を閉め、春までの休業に入っていた。場所によってはわずかに営業中のホテルも11月第一日曜を最後に閉め、リゾート地はどこも静まり返っていた。
しかし、昔からそこに住み生活を営む人々の村や町もあり、漁をする人、海辺を散歩する人、またこの静けさを好んで周辺の観光地を訪れる人の姿もある。

バルセロナ近郊、コマルガの夕暮れ ユーロで一つの貨幣圏になったヨーロッパの国々はとても速いスピードで経済環境が移り変わっている。山が削られ荒野が耕され、家々が連なり立派に舗装された真新しい道路がいくつも開通し、大型トラックが地響きをたてて走る。とくに温暖な気候と一年の半分以上が太陽のふりそそぐ南スペインの変貌には驚かされるものだった。
カタルーニア地方からバレンシア、アンダルシアと2,000km近い海岸線のほとんどが、赤いレンガ色の屋根と白壁の家や大型ホテルから高層リゾートマンションで埋め尽くされたといっても過言ではない。そしていまなお建築ラッシュが続く。

国境がないに等しいヨーロッパは同じ貨幣価値では比較的物価の安いスペインは、太陽の光が少ない北の国の人々のリゾート地として開発に力を入れている。とくにバレンシア地方はオレンジと並んで、いまや北ヨーロッパの野菜の供給地でもある。
数年前までのオレンジとオリーブの畑と遠く近くに点在する村や町の風景は一変し、高速道路から見える風景は見渡す限りの広大なビニールハウス群であり、その距離約400km以上も続いていた。
もともと乾燥地で痩せた土壌だったところだが、ビニールハウスの中は土をほとんど使わない最新の栽培法だという。
そこには主にキュウリやトマトが植えられ、またサラダ用の野菜や南国の果物までが栽培されていた。長く寒い冬の北ヨーロッパでは生野菜を食べる習慣はなかったが、いまでは北欧のスーパーマーケットでも野菜が豊富に売られている。車窓に見えるこの広大なビニールハウスに冬のフィンランドで食べた野菜サラダが思い出された。


サムネイル1 サムネイル2 サムネイル3 サムネイル4 サムネイル5 サムネイル6

ドライブライン

<コース>
バルセロナ(Barcelona)−高速道路E15−タラゴナ(Tarragona)−バレンシア(Valencia)−ベニドルム(Benidorm)−アギラス(Aguilas)−ガルーチャ(Gallucha)−アルメリア(Almeria)−E15−A92−プルレナ(Purullena)−グラナダ(Granada)−A359−マラガ(Malaga)
全行程 約2,500km

ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください

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●バルセロナ(Barcelona)の近郊シッチェス(Sitges)

シッチェスの海岸。新しいホテルが林立する
シッチェスの海岸。新しいホテルが林立する

バルセロナのお金持ちの別荘地として有名なところ。また別荘の住民が芸術家の卵たちのパトロンとなって、才能ある芸術家たちを多く育てるという町でも知られている。

隣接するガラッフ(Garraf)は、バルセロナっ子の海水浴場であり、海岸通りに並ぶレストランやカフェで休日を過ごす人で冬でも賑わっている。
シッチェスの海に立つ教会
シッチェスの海に立つ教会

●コマ・ルガ(coma-ruga)

バルセロナの中心部から約80km、コスタ・ドラダ(黄金海岸)と呼ばれる地中海沿いは夏にはバルセロナっ子で賑わうリゾート地だ。長い砂浜の続く海岸で干潮時には広い砂浜も満潮時には白波を立てて潮は砂浜を埋め尽くす。

バルセロナ近郊、コマルガの夕暮れ
バルセロナ近郊、コマルガの夕暮れ
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5月〜10月初旬頃までは静かな波も、冬の嵐では浜に植えられた椰子の木も打ち寄せる波の中。この日も数日続いた雨風に、満潮を迎えた夕方には椰子の幹が半分も海水に浸っていた。
さっきまで黒雲に覆われていた西の空に夕日の赤い一本の線が走ったかと思う間に、夕焼の帯は大きく広がった。茜色に染まる海中に揺れる椰子の木は実に幻想的で不思議な光景だった。

●タラゴナ(Tarragona)

コマ・ルガから約20kmのところにあるタラゴナは、紀元前ローマ人によって造られた町だ。当時は100万人も人口を有した地中海西部の最大の都市だった。いまもこの町には紀元前からの建物に人が住み、また古代の土台や城壁を利用し続けた家の窓には洗濯物がぶら下がり、鉢植えの花が咲く。
狭い石畳の道、石造りの家々の扉の向こうには古代ローマ人が集い、飲み食い、語りあったであろう中庭がある。そこには古い彫刻やリレーフもあり、水飲み場もそのまま使われていた。

タラゴナの旧市街。ローマ時代の建物に人が住む
タラゴナの旧市街。
ローマ時代の建物に人が住む

タラゴナ旧市街の家にある扉
タラゴナ旧市街の家にある扉

古代ローマの都市には必ず造られた公共施設である神殿、競技場、広場、野外劇場などの遺跡も残る。ここは古代ローマの町がそのまま残されていて、しかも今も人々に生活があるのだから驚く。

みどころは、古代の大都市を潤した「ローマ水道」だ。町から4kmほど北、高速道路A7上にこの“悪魔の橋”と呼ばれる水道橋を見学するためのエリアがある。パーキングから徒歩数分で、写真のような水道橋を見ることができる。
紀元前200年頃造られたというこの水道橋は、全長217m、完璧に近く残る橋の上を歩くこともできる。水を流した水路は約幅70cm、深さ60cmくらいだ。

タラゴナの水道橋。ローマ時代に作られた
タラゴナの水道橋。
ローマ時代に作られた
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海に面した野外劇場
海に面した野外劇場

高速道路A7を南下、遠く近くにリゾート地の高層マンション、山の中腹には真新しい白壁の家々が建つ。また建設中の大型クレーンが天を突くように立つ。人工的な風景の中を駆け抜ける。
やがてバレンシアに近づくと名物のオレンジ畑の懐かしい景色が広がった。ほっとするような眺めの中をクルマは時速120〜130キロの制限速度いっぱいのスピードで走り続ける。そして大都市バレンシア(Valencia)を大きく迂回し、A7でアリカンテ(Alicante)方面へ向かう頃から広大なビニールハウスの白い大地が覆う。

●ベニドルム(Benidorm)

アリカンテの約30km手前にあるリゾート地ベニドルム(Benidorm)へ宿を求めてICを出た。10kmほどで長い砂浜が大きく弧を描いて続く美しい海辺へ。
海岸通りのホテルは閉じていたが、湾のはずれの高台に高層のホテルが開いていた。高台の20階の部屋からは長い浜辺の全容が見渡せ、ベランダから下を覗くとめまいがしそうなほどの高さがある。

ビーチに面して真新しいホテル、アパートが建ち並ぶ
ビーチに面して真新しいホテル、
アパートが建ち並ぶ
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何もなかった岩山の上までホテルが…
何もなかった岩山の上までホテルが…

ロケーションは最高だ。砂浜には3〜4本ずつ植えられた椰子の木が単調な海岸に彩りを添えている。同じ光景はすでにいくつもの海岸で目にしてきた。たぶん浜辺を一層美しくリゾート客を楽しませるというスペインらしい演出かもしれない。
シーズンにはこの椰子の緑に白いデッキチェア、青や赤のビーチパラソル、そしてさまざまな色やデザインの水着姿の人々が、この褐色の砂の世界を色彩豊かに染め上げるのだろう。

山上の古い村と麓に広がる新しい街
山上の古い村と麓に広がる新しい街
ベニドルムの夜景。寂しい海岸はリゾート地に変貌していた
ベニドルムの夜景。
寂しい海岸はリゾート地に変貌していた


●ガルーチャ(Garrucha)

岬には決まったように保塁があった
岬には決まったように保塁があった
翌日はアリカンテまでの約45kmは国道N332を海岸と古い町並みの中を走り、再びアリカンテの都会を迂回しながら高速道路A7を約100km、ロルカ(Lorca)のICを出た。海辺のレストランでおいしい魚が食べたいと思ったからだ。
リゾート地のレストランは閉鎖されているので、古くからの港町を探す。海岸へは約40km、アギラス(Aguilas)から海辺の狭い道を辿る。地元の観光パンフレットによるとこの海沿いは景勝地のはずだ。だがどんよりと沈んだ雲の下では、心が先を急いでしまう。
アギラスからさらに40km、ガルーチャ(Garrucha)という港町についた。

リゾート海岸のヨットハーバー に並ぶマストの林ばかりをみてきた目には、油と魚の臭いのする漁船がとても懐かしかった。
町はずれの小さな漁港にはカジキマグロが揚がっていた。「1キロ 30ユーロ(約4,000円)だよ」と漁師がいった。

港には3軒のレストランが開いていた。どこもシーフードの店だ。スペインの昼食時間は2〜3時頃。夕食は夜8時すぎからでないとレストランは開かない。日の短くなった冬でも同じだ。
カキ、ムール貝、エビ、あさり、巻き貝、など大皿いっぱいで2人分28ユーロ(約3,600円)、これにスペイン産の白ワイン一本を加え、デザート、コーヒーで35ユーロ(約4,500円)。
シーフードは豊富
シーフードは豊富

●プルレナ(Purullena)

シエラネバダ山群は新雪をかぶっていた
シエラネバダ山群は新雪をかぶっていた
海と別れ、再び高速道路でアルメリア(Almeria)方面へ。町をパスして山の中を走るA92へと向かう。遠くに雪を頂くシエラネバダ山群をみながら、峠や平坦な高原地帯を高速道路はグラナダ(Granada)へと続く。
そのグラナダの約60km手前あたりから、山肌に穴を掘った横穴式住居の集落が点在する地域があった。なかでも大きな集落がプルレナだ。

プルレナ村の入り口
プルレナ村の入り口
プルレナは岩を抉った住居の村だ
プルレナは岩を抉った住居の村だ

住居はまるで土を盛ったのかと思わせるような山の瘤に穴を掘り、明かりとりの窓とエントツだけの家もある。また新しい家は表面はあたかも普通の家のようだが、ドアを明けたその先は山を削った横穴式住居だ。

横穴から天寿の岩を抜けて煙突が突き出す
横穴から天寿の岩を抜けて煙突が突き出す
岩にすっぽり。窓と庇だけが外にある
岩にすっぽり。窓と庇だけが外にある

ここには良質の粘土が産することから焼き物で生計を立てている人々が住むところ。

極彩色ともいえる染め付けの花や植物をデザインしたもの、動物や人などをイメージまたは抽象化した個性的な絵皿や壺、さまざまな生活用品などを作り出しているアンダルシア独特の焼き物の町であった。夏は観光客も大勢訪れるとか。
焼き物は岩穴で焼かれる
焼き物は岩穴で焼かれる

アルハンブラ宮殿で有名なグラナダやスペインが生んだ偉大な画家ピカソの生誕地マラガ(Malaga)の紹介はまたの機会にしたいと思う。



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スペイン政府観光局(東京)
スペイン政府観光局東京事務所の公式ページ。スペイン基礎知識や観光モデルコースのほか、パラドールのホテルリストや案内図もある。
スペインの旅
各地方の観光情報や年中行事の説明に加え、スペイン各地のライブカメラ画像も見られる。

取材:2003年11月