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トルコの旅(4)トロイ周辺

ドライブライン

トロイには冗談かと思ったが本当に木馬が作られていた かつてまだトルコという国がなかった昔はこの沿岸はほとんどがギリシャの植民であった。そしてアレキサンドロス王の死後からはじまったヘレニズム時代に、アクロポリスが次々に建設されたが、ギリシャにポリスが誕生する以前にもミケーネ(ミノア文明、前16〜12世紀)時代に興ったトロイア戦争の舞台であったこともある。
これから訪ねるベルガマはアレクサンドロス王の財宝を継ぎ、ベルガモン王国を築たその王国の都の跡であり、また「トロイの木馬」で知られるトロイは紀元前3000年ごろから前350年ごろまでの遺跡が9層にも積み重なって広がっている。時代は異なるが繁栄と衰退の都市跡を中心に写真でにまとめました。


サムネイル1 サムネイル2 サムネイル3 サムネイル4 サムネイル5 サムネイル6

ドライブライン

<コース>
クシャダシ(Kusadasi)−イズミール(Izmir)−チェシメ(Cesme)−ベルガマ(Bergama)−トロイ(Truva)−チャッカレ(Canakkale)−イスタンブール(Istanbul)
全行程 約1,000km、4泊5日

ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください

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●チェシメ(Cesme)

トルコ第三の都市イズミールを素通りし、ギリシャのヒオス(Hios)島を目の前に望む小さな港町へ来た。イズミールより西、約100km。
同じエーゲ海に面したイズミールだが、大型船が停泊するため、一般には海水浴には適さない。したがってチェシメ周辺はイズミールの人たちばかりか、ヨーロッパなどから訪れる観光客で賑わう。とくにこのあたりには温泉地としても有名だ。
取材者は温泉と聞いて、迷わずハンドルを向けた。

イズミールへの標識
イズミールへの標識
チェスメの町の魚屋
チェスメの町の魚屋

高速道路と平行して走る国道300号線を海岸沿いに走り、その道の終ったところに小さな入江に囲まれたチェシメの港があった。この港からギリシャの島や遠くイタリアのブリンディシ(Brindisi)へと発着する船があるという。古代ローマとギリシャを結んだ航路は、エーゲ海をはさんでトルコへも往来していたのだろう。
チェシメ港より10kmほど手前のウルジャ(Ilrca)の美しい砂浜のビーチ沿い付近にある温泉が湧く地域には、スパ、泥風呂、トルコ式風呂、プールなどを備えたホテルがある。だが、温泉は冷泉で日本人が連想するホットスプリングではない。

チェシメの港。すぐ先はギリシャのヒオス島
チェシメの港。すぐ先はギリシャのヒオス島

●ベルガマ(Bergama)

再び大都市イズミールをパスし、E87号線を北上、ベルガマへ。
30年にも及ぶペロポネソス戦争でスパルタに負けたアテネは衰退をたどるとマケドニアの王アレキサンドロスが台頭、その王が倒れるとマケドニア、エジプト、シリアの三国に分裂したが、その大王の遺産を手にしたリシマコスによって、新王朝ベルガモンが誕生。
その王国の都はローマとともにシリアと戦い、小アジアにおける交易権を獲得、後にローマの属州になったが、典型的なヘレニズム都市として繁栄が続いた。やがてアラブの攻撃を受けて崩壊した。19世紀に入って神殿などをドイツに持ち去られてしまった。

ベルガマ市街から山の上のアクロポリスまでは徒歩では2時間。もちろんクルマは通れるが、すれ違いに困難なところもある狭い急な道だ。ポリス下には駐車場もある。
最初に目につくのは、王宮跡に造営されたトラヤヌス神殿の白い大理石の石柱だ。ローマ皇帝ハドリアヌスが、先の皇帝トラヤヌスに捧げたものでコリント様式の15本の石柱を残す。

神殿は一部修復されている
神殿は一部修復されている
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神殿を飾る刻像
神殿を飾る刻像

大劇場は急な山の斜面を一気に削いだような形で、古代の数ある劇場の中でも一番傾斜の急な観客席という。山の下を流れるベルガマ川をはさんでスタジアム、小劇場、古代の総合ヘルスセンター、アスクレピオン(Asklepion)跡や現在の街が見おろせる。観客席の上段に立つと足がすくみそうだ。ちょっと足を滑らせたら、舞台まで真っ逆さまに落ちていきそうで怖いほどだ。
急斜面だけに音響効果は抜群だったそうだ。

数ある遺跡の中で最も急な観客席の劇場
数ある遺跡の中で最も急な観客席の劇場
山上から劇場・観客席へのトンネル
山上から劇場・観客席へのトンネル

アスクレピオンは紀元4世紀から800年ほど使われた古代の総合医療センターだ。聖なる泉で体を清め、診療所まであった。
ここには医学書などをはじめ20万冊ももの蔵書を集めた図書館もあり、伝えられるところによると、この図書館に脅威を感じたエジプトがパピルスの輸出を禁じたたという。
そのため困った時の王エウメネスは、紙に代わる羊皮紙を発明したと言われている。
そのほかベルガマにはゼウス大祭壇やいくつかの神殿があったが、価値ある多くの建築物や美術品はドイツによって運び去られ、現在はベルリンの博物館にある。

山上の遺跡からベルガマの街
山上の遺跡からベルガマの街
家路(ベルガマ)
家路(ベルガマ)

●トロイ(Truva)

ベルガマからさらに北西へ約200km。トロイはトルコの数ある歴史遺産の中でも最も古い時代に文化や芸術などの最盛期を迎え、ローマ時代まで2500年以上もの間、都市や王国の興亡を繰り返し、それぞれの時代の跡が9層にもなって残る。

紀元前800年ごろ書かれたというホメロスの叙事詩『イーリアス』(ギリシャ最古最大の英雄叙事詩)の中にある「トロイの木馬」の伝説を信じたドイツ人のシュリーマンが1871〜73年に、トロイの場所を発見し、遺跡調査がされた。

トロイの城壁。畑のあたりは昔、海だった
トロイの城壁。畑のあたりは昔、海だった
(画像をクリックすると拡大写真を表示します)

遺跡は積み重なっている
遺跡は積み重なっている

海から城内へ続く石畳の坂道
海から城内へ続く石畳の坂道
トロイ城内に残る石畳の道
トロイ城内に残る石畳の道

トロイはトルコ語ではトゥルワ。『イーリアス』ではトロイの王子パリスがスパルタの王メネラオスの妃である絶世の美女ヘレネを奪ったことから10年にも及ぶトロイ戦争がはじまったとされている。
ヘレネの夫はミケーネ王アガメムノンの弟、兄アガメムノンを大将にギリシャ軍を組みトロイへの攻撃を開始。だが、どうしてもトロイを陥落させることができない。そこで英雄オデゥッセウスが妙案を出して活躍。
ギリシャ軍は戦いを諦めたようにみせ、巨大な木馬を神に捧げるような形でトロイの城宇外に置き、船で全員が引き揚げたように見せかけた。
戦いが終わったと思ったトロイ側は木馬を城内に入れ、勝利の旨酒に酔っていた。木馬の中に沢山のギリシャ兵が隠れていたため、トロイはたちどころに陥落したという。

トロイには冗談かと思ったが本当に木馬が作られていた
トロイには冗談かと思ったが本当に木馬が作られていた
遺跡への道には家畜の水飲み場が沢山あった
遺跡への道には家畜の
水飲み場が沢山あった


いま観光用に巨大な木馬がトロイの遺跡入り口に造られている。シュリーマンの思いには及ばないが「トロイの木馬」には古代の“夢”を抱いて訪れた人をガッカリさせるか、それともこどもの遊園地といって笑うかもしれない。

遺跡に入ると各年代の層の解説板がある。まず遺跡を囲む城壁は第6市(紀元前1800〜1300年)のもの。第8市のアテネ神殿、第6市の塔や城門、住居部屋などがあり、第一市(紀元前3000〜2500年)第2市(紀元2500〜2200年)の部屋(メガロン)城壁、城門などと、あまり形のとどめていないこれらの遺跡から、各時代を確かめるには、その場に立つ解説板で知ることができる。
シュリーマンはこの第2の遺跡からトロイの王の財宝を発掘している。また最後の都市第9市のローマ時代の劇場跡なども見ることができる。

住居跡と路地。道の中央には排水溝もある
住居跡と路地。道の
中央には排水溝もある

トロイにも小劇場跡
トロイにも小劇場跡

●チャナッカレ(Canakkale)

ヨーロッパとアジアを隔てるダータネルス海峡(現在地図上ではチャナッカレ海峡)のアジア側の都市である。アジアとヨーロッパの十字路と言われるイスタンブールからの広いマルマラ海の出入り口は、黒海を結ぶボスポラス海峡とこのダータネルス海峡で、ともに対岸までフェリーで数十分の距離でしかない。
ダータネルス海峡は昔から重要な軍事的な要衝でマルマラ海の沿岸沿いの各街はかつての要塞跡がみられる。チャナッカレはもっとも大きな要塞跡が残るが、多くは近代のもので、フェリー桟橋から大通りへ向かってある大砲は第一次世界大戦のものだ。

タンカーの行き来するダーダネルス海峡
タンカーの行き来するダーダネルス海峡
中世の城壁が港にある
中世の城壁が港にある

ダータネルス海峡を渡るフェリーは季節や時間によって異なるが、だいたい1時間に2往復、所要時間45分くらいだ。この海峡を渡ると“ヨーロッパ”!!(同じトルコなのに)
遠ざかるチャナッカレの街をみながら、長いトルコの旅を振り返る。
今回はギリシャ・ローマ時代の遺跡を主に訪ねたが、もちろんすべてではない。またトルコにはアナトリア地方や黒海沿岸、イラン、イラク国境付近など有史以前脈々と続く人類の歴史遺産がたくさんある。
広いトルコの国土に点在するこれらの遺跡を訪ね歩くには、交通網のまだ未発達なこの国ではレンタカーが絶対お薦めだ。


在日トルコ共和国大使館・トルコ政府観光局
トルコの基本情報や地域別の観光案内、ホテルやトルコ料理の紹介など、ひととおり知ることができる。
The Historic City
トルコをはじめギリシャ、チュニジア、シリアなど地中海沿岸諸国の遺跡や生活情報が掲載されている。

取材:2003年6月