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イングランド東部から
ウェールズへの旅(3)



ウェールズの農村 同じイギリスなのにセヴァーン(Severn)河を越えると道路標識の地名が突然ウェールズ語と英語と2ヶ国語で表示される。しかもウェールズ語の方が優先だ。ケルト人の国ウェールズは1世紀にはローマの支配を受け、いまから700年以上も前(1284年)にイギリスに併合されたにもかかわらず独立心が強く、独自の文化と伝統を守り続けた人々の住む地方なのである。
その上、ウェールズの自然、風土もイングランドとは異なる。闘牛の頭のように突きだしたこの半島は、なだらかな丘陵地帯とともに森林や湿原、また標高は1,000m前後と高さはないが、険しい山岳地帯と変化に富んでいる。
その首都カーディフ(cardiff)は2000年近い歴史を誇る町だがウェールズの首都となったのはわずか50年ほど前の1955年である。
ロンドンより西へカーディフまで約170マイル(約270km)、南北に細長いこの地方は北部を「北ウェールズ」、首都カーディフのある南部を「南ウェールズ」といい、南北約100マイル(160km)の半島に3つの国立公園がある。

コッホ城は深い森の中 ローマ軍が築いたという砦からはじまり中世から近世まで長い歴史を経てきたカーディフ城をはじめ南北ウェールズにはローマ時代の遺跡や中世の城が多く点在し、美しい自然とともに訪れる人々を魅了するところである。
今回は南ウェールズ地方で行われたラリー・オブ・グレートブリテン(世界ラリー選手権“WRC”)の観戦とそのコースを追ってカーディフと半径約50マイル、ブレコン・ビーコン(Brecon Beacons)国立公園周辺の田舎道や古城を訪ねた。必ずしもルートマップ通りに走ったわけではないので参考程度としてください。





<コース>
カーディフ(Cardiff)−ケールフィリー城(Caerphilly)−ブレコン・ビーコン・ナショナルパーク(Brecon Beacons National Park)−クライチャンの森(Crychan Forest)−ブラック山地(Black Mountain)
約250マイル(400km)、3泊4日
道路の種類: Mは高速道路、Aは国道。Bは日本でいう県道にあたる。これらの道路標示の数字が小さいほど重要道路だ。

ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください

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●カーディフ(Cardiff)

カーディフ市庁舎
カーディフ市庁舎
(画像をクリックすると拡大写真が表示されます)
ローマ時代からさまざまな歴史を経て19世紀には石炭の積み出し港として栄え、近年は造船業、現在はウェールズの首都としてまた商業都市として発展。
町の中心にはカーディフ城があり、外見も内装も豪華なシティホールに隣接するようにショッピングセンターがある。

城の向かいには15世紀に建てられたノルマン様式の重厚なセント・ジョン教会の塔が高くそびえ、教会の周辺には100年の歴史を誇るマーケットや古い石造りの商店が軒を連ねている。
カーディフのマーケット
カーディフのマーケット
カーディフのセント・ジョン教会
カーディフのセント・ジョン教会
また2000年に新しくオープンしたカーディフ・ベイは規模こそ小さいが、アメリカ西海岸に見る“フィッシャーマンズワーフ”のように木造の遊歩道やブティック、レストラン、ティーサロンなどが並ぶオシャレな町がある。
ここはヨーロッパで一番サーモンの集まるところだという。古さと新しさが渾然とした人口30万弱の町だ。

○カーディフ城

堅固な城壁に囲まれた城門をくぐると広い敷地に緑の芝生の中に中世の壮大な城がそびえる。ローマ軍の砦だった塔や大広間の一部は12〜14世紀、ノルマン軍が建て直したものだが、現存する城の建物のほとんどは19世紀、ビクトリア朝時代のもの。
19世紀造船業で巨万の富を築いたビュート家公爵が再建。贅を尽くした内装は必見だ。クジャクを放し飼いにした中庭があり、いくつもの建物がある。
カーディフ城
カーディフ城
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カンタベリー物語を描いたステンドグラスのある八角塔やアラビアン・ルームのハーバート塔、シンデレラのおとぎ話が壁に描かれたビクトリア時代の子供の部屋、そのほか蔵書豊富な図書館など、当時の貴族の生活を知ることができる。
ガイド付き(英語のみ)城内ツアー もある。

筆者がこの城を訪れた日の夜はラリー・オブ・グレートブリテンの表彰式が行われた。優勝した車は日本車のスバル。ノルウェーのドライバー ぺター・ソルベルグの国歌演奏や国旗とともに、ライトアップされたカーディフ城を背景に日の丸と君が代が演奏され、感動的なシーンを観ることができた。

●コッホ城(Castle Coch)

カーディフ郊外の森の中にあるウォルト・ディズニーのイメージを思わせるファンタジックでロマンチックな城。元は13世紀建造されたものだが、森の中の廃墟だった城を、19世紀の造船王といわれたロート・ブーテ卿がビクトリア時代の代表的な建築物として再建。
コッホ城、カーディフ郊外にある
コッホ城、カーディフ郊外にある
コッホ城は深い森の中
コッホ城は深い森の中
内部はビクトリア王朝時代の装飾や家具が、まるでこの城の主人がいまも住んでいるがごとく飾られている。おとぎの国、物語の世界に迷い込んだような気分になる。

●ケールフィリー(Caerphilly)

首都カーディフより北へ約9マイル(1マイル1.6km)、町のはずれにケールフィリー城がある。ウインザー城に次ぐヨーロッパ第二の大きさを誇る城だ。
廃墟になって久しいが紀元1世紀、ローマ人の砦として築かれ、後にウェールズの最後の王子、スラーウェランによって破壊されたが、その3年後ノルマン様式の堅固な城に再建された。堀を巡らせ城壁を二重にするなど、当時の築城建設技術の粋を集めたもの。

ケールフィリー城
ケールフィリー城

17世紀、議会派の軍隊によって再び一部が破壊され、その名残の塔が中央から3mほど外側に傾き、イングランドとウェールズの闘争の歴史を伝えている。
城内は博物館になっていて城の歴史についてパネルなどで説明されている。中世のころの投石機や城の上から落としたという巨大な石の玉などもある。
古城を巡る堀には鴨や白鳥が飛来し、初冬の短い日を惜しむかのように戯れていた。

●ブレコン・ビーコン国立公園(Brecon Beacons National Park)

カーディフより北へ30〜40マイルも行くとブレコン・ビーコン山群(最高峰は886m)を中心に深い森に被われている。その東の、かつては王侯貴族が狩猟を楽しんだといわれるアバガヴェニー(Abergavenny)付近はいまはトレッキングや乗馬などが楽しめるところ。標高600m前後の小山がうねうねと続く山岳地帯だ。
山の高さは低いが森や湖、滝、それに湿原と自然の景観が美しく、渓流釣りやボート、ハイキングなどが楽しめる。中央部分は山々の雄大な風景を眺める往復10kmの小型蒸気機関車が走る。そして西は砂岩、石灰岩、礫岩と全く異なった風景を魅せてくれる。
ウェールズの丘陵地帯
ウェールズの丘陵地帯
ウェールズの農村
ウェールズの農村
国立公園といっても人家が点在し、石や垣根で囲まれた羊牧場が山の斜面に広がり馬や牛も飼育されている。公園内には幾本もの細い道路もあり、こうした民家の軒をかすめて通る道は、対向車とのすれ違いにも苦労することもある。だがそのほとんどは舗装されていて自然の森や澄んだ湖水へも車で行くことができる。
また車から降りて森へ一歩でも足を踏み入れると、苔に被われた大地はふかふかとくるぶしまで沈む。太古の自然を体いっぱいに感じられるのも、自然を大切に守る人々の努力があってこそだろう。
公園内には4本の国道が縦断している。

●ラリーカーを追ってさらに北へ

ブレコン・ビーコン国立公園の北側にあるクライチャンの森(Crychan Forest)や西側のブレッチファの森(Brechfa Forest)の中にラリー・コースが設定されていた。
ダートで行われるラリーは今は先進国ではほとんどが舗装道路のため、こうしたダート道路となると限られてくる。森林地につくられたコースである公園の北A40(Aは国道)からクライチャンの森へと向かう道はなんと軍用道路だ。軍事練習などが行われない場合は一般車両も通すという。

ウェールズの牧場
ウェールズの牧場
ところが車一台がやっと通れるような狭い道の続く山道を約15マイルも走ることになったが、この軍用地にポツン、ポツンと民家があり、急斜面を利用した羊の牧場があった。これだけでも驚きだったが、突然、「ダッダッダッーン!!」という音に車窓の外を見ると10人くらいの迷彩服の兵隊が山に向かって実弾射撃をしていた。

筆者たちの乗る車のすぐ横でである。お国柄の違いとは言えかなりの驚きである。

ラリーコースの森は植林された針葉樹林だったが、根元は深々とした苔に被われていた。
雨の多いウェールズの森に続くぬかるんだダート道を、数秒を争うラリー車は泥を蹴って猛スピードで走り抜けて行く。森の静寂にエンジンの凄まじい爆音を残して…。
ウェールズでのラリーGBを制したスバル
ウェールズでのラリーGBを制したスバル

●カーレグ セネン城(Carreg Cennen)

丘の上ににそびえるカーレグセネン城
丘の上ににそびえるカーレグセネン城
ブレコン・ビーコン国立公園の西はずれにある。カーディフからは高速道路M4で西へ約40マイル、M4の終点から北へA483で15マイルほど行った地点から標識に従って細い山道を約3マイルの行程だ。広く開けた羊牧場の中に一つの大きな岩山の上に廃墟となった城がある。


谷から約100mの断崖絶壁の上に建つ難攻不落を誇った城もイングランドとの長い戦いの末、15世紀にはついに落城。
だが、牧草地帯の広がるウェールズの風景の中に忽然とそびえる山城は観光地として脚光をあびている。ただし、城までは徒歩のみ。見物には1時間以上は必要だ。
カーレグセネン城へ攻め込める唯一の斜面
カーレグセネン城へ攻め込める唯一の斜面

ウェールズにはこうした中世の城は多い。自然の中の散策を楽しみながら古城をゆっくり楽しむことができる。
だが、イングランドと同様に気まぐれな天気には悩まされる。必ず雨具の用意をお忘れなく。





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Miniで行く 英国カントリードライブ
個人によるイギリスでのドライブ体験記。レンタカーやモバイル事情も紹介されている。

取材:2002年11月