ニッポンレンタカーHOME > 旅のお役立ちガイド > ドライブガイド > イングランド東部からウェールズへの旅(2)

イングランド東部から
ウェールズへの旅(2)



コッツウォルズ(Cotswolds)丘陵を行く

コッツウォルズとは古い英語で「羊小屋のある丘」とうい意味だ。
シェークスピアの生家のあるストラトフォード・アポン・エイヴォン(Stratford upon Avon)から南、古代のローマ風呂で有名なバース(Bath)まで約160kmへと標高200mくらいの丘陵が続く。


乗馬を楽しむ親子
乗馬を楽しむ親子

シェークスピアの作品『リチャード3世』の中にも「いまも自然が脈々と息づく」ところと書かれている。このイギリスを代表する羊毛の産地である丘陵地帯がシェークスピアの時代から変わらず、こうしてかつての自然を今に残すのは18世紀後半に興った産業革命にとり残されたため。その結果、石炭の採れなかったこの地方には鉄道も発達しなかった。皮肉にもというのか、幸いにもと言うべきか、現在最もイングランドらしい田舎の村や自然の風景を魅せてくれるところとして訪れる人も多い。

これらの地方はごく一部を除いて特別な名所や歴史的遺跡はほとんどない。ただ現代には忘れられた昔の教会や民家が残り、それらの村には素朴な人々の暮らしがある。平凡だがイングランドの美しい自然と羊の群れる丘陵地帯なのだ。したがってここがどんなところが文章で説明するより、写真を主体に紹介したいと思う。また筆者もすべての村に通じるコースを網羅したわけではない。ここは読者はこのルートを参考にレンタカーの自由な旅を自分なりに楽しんでいただきたいと思う。





<コース>
ロンドン(London)−オックスフォード(Oxford)−ストラトフォード・アポン・エイヴォン(Stratford Upon Avon)−チッピング・カムデン(Chipping Campden)−ブロードウェイ(Broadway)−ストウ・オン・ザ・ウォルド(Stow on tha Wold)−サイレンセスター(Cirencester)−テットベリー(Tetbury)−ペゥジー(Pewsey)−マールボロ(Marlborough)−バース(Bath)−ストーンヘンジ(Stonehenge)−ウィンザー(Windsor)−ロンドン
全行程 約1,000M(マイル)=約1,600km、7泊8日
今回行程 約180M(マイル)=約288km、2泊3日
道路の種類: Mは高速道路、Aは国道。Bは日本でいう県道にあたる。これらの道路標示の数字が小さいほど重要道路だ。

ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください

<ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください>



●チッピング・カムデン(Chipping Campden)

ストラトフォード・アポン・エイヴォンを出るとすぐ民家は途絶え、石や生け垣で囲った緑の羊の牧草地帯を走る。A429号線を南に8マイル(1マイルは約1.6km)を右折。ミシュランの地図には道路番号が表示されていない道を4マイルほどで、チッピング・カムデンの村に着く。
ここは13〜14世紀に羊毛の町として栄えた村だ。1627年に建てられたとい村の中央にあるマーケットがいまもそのまま残る。床はすり減った石畳で長い間売り買いの人々で賑わった歴史が感じられる。
村全体が中世の様子を残し、村はずれには石造りに茅葺きの屋根の家も軒を連ねていた。
チッピングカムデン付近の牧場
チッピングカムデン付近の牧場
この地方特有の茅葺き屋根、石造りの家
この地方特有の茅葺き屋根、
石造りの家

ここで石造りの茅葺き屋根の家について少し説明しておこう。家並の石造りの石はライムストーンと呼ばれる石灰岩で、一般には「蜂蜜色」と言われ茶色だが、ライト・グレーとかハニーまたはライト・ブラウンというように村々で微妙に色が違う。それぞれの村周辺で採れる石の色が違うからだ。屋根の葺き片も形も村によってことなったりもする。
また、白壁に木組みの家もあり、コンクリートやプレバブの町や村と異なり眺めているだけでも心が癒されるようだ。静かに時が流れるような村、ここに暮らす人たちも穏やかでのんびりしているようだ。

●サイレンセスター(Cirencester)へ

地図に県道番号も表示されないような細い田舎道をブロードウェイ(Broadway)へ。
ただ、この地方では観光客の多いブロードウェイはストラトフォード・アポン・エイヴォンから分かり易く距離も近い。この村にはアンティークやおしゃれなティールームなどがある。
こんなショーウィンドウも
こんなショーウィンドウも

サイレンセスターの市場跡
サイレンセスターの市場跡
ブロードウェイから県道424号線上にあるストウ・オン・ザ・ウォルド(Stow on the Wold)はこのコッツウォルズ丘陵では標高が800mと一番高い。
東西南北を結ぶ6本の道が交差する村はかつては2万頭の羊を取引したという流通の中心でもあった。

狭い路地にアンティークの店やみやげ物店、昔の旅籠屋を改造したような古いホテルもある。蔦のからまる老舗のホテルと清流に鱒の泳ぐバイブリー(Bibury)など数マイルおきに古く美しい村々を通り過ぎていく。その街道沿いはなだらかな緑の斜面に白い羊が遊び、晩秋の樹木は葉を落としはじめていた。
雨のイングランド丘陵地帯
雨のイングランド丘陵地帯
サイレンセスターの北、ヤンウォース村
サイレンセスターの北、
ヤンウォース村

サイレンセスターは村というより大きな町だ。まだイギリスがローマの植民地であった昔、ロンドンに次ぐ第二の都市だったところ。
この町に近くにはローマ時代の遺跡がある。車が一台やっと通れるような狭い道を6マイルほど行った先、行き止まりに事務所やチケット売り場の建物がある。
ローマ人の遺跡を示す小さな道標があった
ローマ人の遺跡を示す
小さな道標があった
サイレンセスター北方のローマ人の遺跡。すっかり整備されている
サイレンセスター北方のローマ人の
遺跡。すっかり整備されている

遺跡の中のわき水。昔からのものと聞いた
遺跡の中のわき水。
昔からのものと聞いた

遺跡といっても立派な彫刻や石柱があるわけでもないが、住居跡と浴場跡などが近年発掘され公開されている。そういえばここはローマ時代の名高い遺跡「バース」へは約35マイルと近い。

●テットベリー(Tetbury)

市場の跡がそのまま保存されている
市場の跡がそのまま保存されている
村の中心部には1665年に造られたというマーケット・ハウスがある。1700年代に改修されているが約350年前に建てられたものだ。
正面の時計台は1887年に造られたものだと、マーケットの中の案内板に書かれていた。

マーケットから商店街を挟んだところにはパリッシュ教会があった。紀元は680年ごろといわれているが中世の建築である塔と尖塔以外は18世紀にすべて取り壊し、ゴシック様式に立て替えられたものだとか。敷地内には無数の墓石がひしめくように立つ古めかしい教会も周囲の家並みの中に溶け込んでいた。
この村の郊外にはアン王女やチャールズ皇太子などロイヤルファミリーの別邸があることで知られ、小さな町だが王室御用達の店もあるそうだ。

○寄り道

テットベリーからバースへは約25マイルとすぐ近くだ。だが、街角のみやげもの店で白壁に木組みの美しい家並の絵はがきを見つけてしまった。店の人に尋ねるとコッツウォルズ丘陵から少し南へ向かったペゥジー(Pewsey)の村だという。筆者はただちにハンドルを向けた。

マールボロの町と記念館
マールボロの町と記念館
(画像をクリックすると拡大写真が表示されます)
教えられた通り入り組んだ県道を30マイルほど走ると、マールボロ(Marlborough)の町に着いた。
東西に延びる町は真ん中に駐車場のあるとてつもなく広い道路を挟んで商店街があるところだ。

イギリスの晩秋の日は短い。午後4時、雨模様の空はもう暗い。この町でホテルを見つけて泊まることにした。

町はずれの教会の塔が暮れゆく空にシルエットのように浮かんでいた。
マールボロの町と教会
マールボロの町と教会

●ペゥジー(Pewsey)

ソールスベリー(Salisbuny)からA345線をエイヴォン(Avon)川沿いに北へ20マイルほど、マールボロに近い小さな町で、街道に沿って絵はがきで見つけた木組みの家や茅葺きの家が点在していた。
ペウジーの古い民家
ペウジーの古い民家
木組み、白い漆喰。古い民家は少なくなっている
木組み、白い漆喰。
古い民家は少なくなっている

絵はがきと同じようなアングルでデジカメにこれらの家々を収めながら見学だ。だが、人の住む住宅などだから失礼のないようにしたい。

●バース(Bath)

バースには古い大きなアパートが並ぶ
バースには古い大きなアパートが並ぶ
風呂の語源となったバースはイギリス随一の温泉場で2000年前の古代人によって温泉保養所が開かれたのがはじまりで、いまなお45度の湯が1日約125万リットルも湧く。
イギリスがまだローマの支配下にあったころ、ローマ人は蒸気風呂やプールまである大浴場を築きリゾート地として栄えた。

ローマ人が去った後、浴場は荒れ果てたが18世紀にはイギリスでも指折りの行楽地となり、王侯貴族も訪れるようになった。

19世紀にはローマ浴場が発見、発掘された。ローマ浴場の地階には発掘されたギリシャのアテナ神殿跡やモザイク、コイン、儀式に使われた器などその他の資料が展示されている。
野天風呂からは教会の塔が見える
野天風呂からは
教会の塔が見える
近くにあるバース教会は676年に崩れたローマ時代の石材を使って僧院を建てたのが、その起源だ。
現在の建物は1617年のもの。元のアビー・チャーチ(修道院付属教会)というのは名だけでいまはバース教会としての機能だけを果たしている。

バースの町の中を流れるエイヴォン川に架かるバルトニー橋から三つの優美なアーチで支えられた橋の上にはみやげもの屋の店が並ぶ。

バースを流れるエイヴォン川
バースを流れるエイヴォン川





UK NOW
在日イギリス大使館、ブリティッシュ・カウンシル、英国政府観光庁、在日英国商業会議所が共同で英国トラベル情報などを提供。
Miniで行く 英国カントリードライブ
個人によるイギリスでのドライブ体験記。レンタカーやモバイル事情も紹介されている。

取材:2002年11月