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続・フランス北部の旅



ル・マンからパリへ(Le Mans 〜 Paris)

先にご紹介した「フランス北部の旅」の続編として、モン・サン・ミッシェル(Mont St Michel)からル・マン(Le Mans)、シャルトル(Chartres)、ベルサイユ(Versailles)と田舎道を辿り、その風景や歴史のみどころなどを紹介しながらパリへと戻るというドライブコースだ。
今回は、このコース上にある“ル・マン24時間自動車耐久レース”で名高いル・マンの町を、今年のレースのエピソードを加えながら、また来年のレースへ向けての期待を込めながら、少しクローズアップしたいと思う。

モン・サン・ミッシェルの西へ約30km、サン・マロ(St Malo)からレンヌ(Rennes)までは間もなくオートルート(高速道路)に格上げされると思われる自動車専用道路N137号線が走っている。この間約100km。レンヌからル・マン経由でパリまでは、一本のオートルートで結ばれている。時間的に余裕のない人は、目的地までオートルートを利用するのもよい。今回は一般国道や県道沿いに走り、途中トゥール(Tours)へ大きく迂回しながらの旅だ。




コース

モン・サン・ミッシェル(Mont St Michel)−N137(国道)−レンヌ(Rennes)−D857(県道)−ル・マン(Le Mans)−N138(国道)−トゥール(Tours)−N10(国道)−シャルトル(Chartres)−ベルサイユ(Versailles)−パリ(Paris)
全行程 約570km 2泊3日



<ルート付近のリンクポイントの地名をクリックしてみてください>



●レンヌからル・マン(Le Mans)へ

真夏にはまだ少し早いモン・サン・ミッシェルと城壁都市サン・マロで遊んだあと、レンヌへ向けて小麦畑の続くN137を走る。
レンヌは人口20万人ほどの都会で、昔はガリア人の城塞都市でもあった。
肥沃な内陸の盆地にあり、北海への宿場町でもあった。ブルターニュがフランス王国に併合されたとき州の代官所在地となったが、1720年の大火で歴史的建造物の多くを失った。
そんな歴史書を読んだ後、都市を迂回する環状線を一回りするようにしてル・マンへの道を辿る。
高速道路とほぼ平行して走る国道や県道沿いには、ところどころに数本の樹木や小さな森を残した緑豊かな田園風景が広がっている。北海道の田園風景、あの美瑛に見るのと同じ光景だ。ただし、こちらはそんな絵になる風景がどこまでもどこまでも続くのである。

●ル・マン

“ル・マン24時間自動車耐久レース”は、今年も 6月12、13日の週末に例年通り賑やかに開催された。
日本で報道されるのはほとんど本戦決勝レースだけだが、地元ではこの週の月曜、火曜が車検、水曜、木曜が予選、そして金曜の休日を“ル・マン24時間ウィーク”にあて、町をあげてのお祭りだ。
とくに、町の中心部ジャコバン広場で行われる車検や金曜日の午後7時からはじまる華やかなパレードは、レースと並んで世界中のファンを熱狂させる。なにしろ各自動車メーカーの名誉と威信をかけて開発されたマシン(1台に50〜100億円もかけるといわれる)を実際に目の前でみることができるのだから。
そして本戦。予備予選からスマートで華麗な車として人気の高かったトヨタとメルセデスはともに大きなアクシデントに見舞われ、木の葉のように宙に浮いて舞ったメルセデスを、多くの人はテレビを通じて見たことだろう。ドライバーに怪我が無かったのは幸いだったが、まさかの大事故だった。

すでに1900年初頭にはフランス・グランプリが行われ、自動車グランプリ・レースは、ここル・マンからはじまった。モーター・スポーツ ファンにとっては百も承知のル・マンの歴史かもしれないが、ニュースで勝敗を知る程度の普通の車好きにとっては、はじめて体感するル・マンはやはり新鮮だ。
とくに、サーキットといえば一般車は走ることのできないレース用のコースだが、このサーキットは一周13.6kmのうちの4分3が公道のため、レース開催日は公道が閉鎖される。コーナーのクッションは現在も麦わらの束が使われている。これもル・マンの歴史で、伝統を重んじるフランス人気質が見受けられる。
また、普通のサーキットではレースを運営するのはプロのみだが、ここでは、この一週間、運営者全体の5分の4が主にヨーロッパ各地から集まったボランティアで、各コーナーでは村の人達がそれぞれの役割分担をする。日本のサーキットでは想像もつかないほどの地元あげての大イベントなのだ。

一見、町や村をあげての素朴なお祭りのようでもあるが、フェラーリ、ポルシェがスポーツ・カーとして絶対的な名声を得たのも、ここル・マンにおいてだ。しかし、現在はその名門もビッグ・メーカーの資金力と技術の前にワークスチームを送り出せなくなった。
今年はトヨタ、メルセデス、BMW、ニッサン、アウディの戦いで、トヨタは惜しくも2位。優勝はBMWだったが、来年は、1952年以来48年ぶりにGMがキャデラック・コルベットの名でル・マンに挑戦するとか。ファンならずも、ますますル・マンは面白くなる。
仮に日本でもかなり人気のF1レースが自動車のサーカスとたとえるならば、ル・マンは巨大メーカーの戦いの場といえるだろう。

公道がレース場になるル・マンは、フランス東部自動車連盟公認の歴としたサーキットだが、公道だから問題もある。
サーキットの内側の広い敷地は私有地で、民家もあれば、牧場や乗馬クラブもある。また、最近ではガーデニングのスーパーマーケットもできた。決勝戦2日間の休業補償という問題もある。
各コーナーそれぞれに村の名前がつき、公道の直線コースでは420kmものスピードを記録する“ル・マン24時間自動車耐久レース”の長い歴史は、新しい変革期を迎えることになる。

華やかなレース場から離れると、ここにもローマ時代からの遺跡や中世の建造物などが残る旧市街があり、また、フランスが誇る高速列車TGVの停発車するル・マン駅周辺の現代の町並みがある。
古くはガリア(4世紀)時代の城壁を残し、またロマネクス様式やゴシック様式の回廊などのみられるサン・ジュリヤン大聖堂がある。現在は修復工事中で覆いがかけられている。
1年の大半は静かな田舎町で旅行者の数もそれほど多くはないが、モーターファンにとっては、サーキット内にあるサルト自動車博物館は見逃せないところだ。
歴代の“ル・マン24時間自動車耐久レース”の優勝車や、そのドライバーの写真やデータ、記念品などの展示はもとより、ヨーロッパ車の歴史そのものが一目でわかる。

●トゥール(Tours)へ

ル・マンからトゥールへは南に約80km。
沿道にプラタナスなどの樹木が植えられた一本道N138(国道)が、ほぼ真っ直ぐに延びている。
樹木の並木ごしに広がるゆるやかな丘陵の大地は、緑の小麦と黄色い菜の花畑で、途中いくつかの小さな村を通り過ぎていく。ル・マンの自動車レースの開催中は、宿を求めるファンでこの町のホテルも満員になるという。フランスでは一般道路でも制限速度が80〜100kmは普通だから、80kmの距離は遠いうちにははいらない。
ヨーロッパでは、日本のように一般道道路沿いにどこにでも食べ物や飲み物を売っている店があるわけではなく、何十kmも先にある町や村でも、時間帯によっては、買い物もできないことがある(昼休みや夕方も早くから閉店することが多い)。もちろん自動販売機などはない。このトゥールへの道も同じ。とくに子供連れのドライブには、飲み物などは用意しておきたい。

●トゥール

フランス中部のロワール川流域は、古城めぐりで有名な観光地。トゥールはそのほぼ中間に位地し、古城めぐりの基点でもある。パリから列車を利用して来る観光客の多くは、この町かまたはブロワ(Biois)からバスなどへ乗り換えていく。車での古城めぐりは、ドライブガイド「ロワール川古城めぐり」を参照ください。
トゥールの町のみどころといえば、サン・ガシヤン大聖堂。1235年ころにはじまったとされる大火災後の再建は、その後2世紀半も続いた。そのため大聖堂の建築様式やステンドグラスなどの時代背景もそれぞれ異なる。内陣のシャンデリアは18世紀の作品で、建築上や装飾美術など、時代の特徴を見る貴重なものばかりだ。

●シャルトル(Chartres)

トゥールからシャルトルへの道はN10(国道)で北西へ約140km、緑の森と畑の中を走る。ところどころに“鹿に注意”の標識のある4車線の広い道へと出るが、単調な道だ。
シャルトルといえば、シャルトル・ノートルダム大聖堂のステンドグラスが有名だ。深い青と色鮮やかな赤、輝く黄色。どれも太陽光線を通して刻々とその色を変える。パリのノートルダム大聖堂のステンドグラスの美しさもさることながら、繊細な表情と調和のとれたゴシック大聖堂の美を競うと、シャルトルに軍配が上がる。
聖堂の正面に立つ2つの尖塔は、向かって左がゴシック様式の塔、右がロマネスク様式の旧鐘楼だ。
ステンドグラスをもっとも美しく見るには、晴れた日の夕方に近い時刻がよいといわれている。

●ヴェルサイユ

シャルトルからヴェルサイユへは、N10(国道)で約60km、広大な麦畑の中を走る。まるで大草原のようである。やがて、遠くに霞んでいた小山をゆるやかなカーブとともに上ると道は森へと続き、間もなくヴェルサイユの町へと入っていく。
「有史以来最も大きく最も豪華な宮殿を!」という太陽王ルイ14世の一言で建築された城、それがこのヴェルサイユ宮殿だ。
もとは沼地だったというこの土地に盛り土をし、噴水の水をくみ上げるためにセーヌ川の水を15mも上げるという大工事のうえ、床板から天井まであらゆる装飾をほどこした贅の限りを尽くしたもの。フランス中の建築家、画家、彫刻家から造園、工芸家を集めたという。
1662年の工事がはじまってから完成するまで、実に50年近くもの歳月を要したという、フランスの黄金時代を象徴する城だ。しかしまた、王家の破滅への道、フランス革命へとつながっていった城でもある。
パリを訪れる観光客のお決まりコースとして、宮殿前の広場は観光バスでいっぱいだ。宮殿への入口へは長い人の行列ができる。団体には団体専用の入り口があって、時間は決められてはいるものの駆け足で見物できるが、個人でチケットを購入し入場する場合には、これからのシーズンは2〜3時間位待つことになる。ゆっくり見学したい人は冬の時期に訪れるとよい。
入城料/見学コース(ガイド付きなど)によって料金が異なる。45フラン〜95フラン(約950円〜2,000円)
月曜日閉館

●パリへ

ヴェルサイユからパリ市内までは約20km。シャルル・ド・ゴール空港へ行くには高速環状線で、パリ市内へ行くにはN10をそのまま辿りセーヌ川に沿って中心部へと出る。高速道路もパリ市内も交通量は多いので、時間には余裕を持ちたい。


フランス政府観光局
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ル・マン24時間レース情報
ル・マン24時間レースオフィシャルページや自動車メーカーによるル・マン関連ページにリンク。

取材:1999年6月