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ポルトガル・海岸地方を走る



リスボン(Lisboa)からポルト(Porto)へ

スペインに源を発するいくつもの河川がポルトガルの国土を潤しながらそれぞれが大西洋に注ぐ。その中央部を貫流する大河テージョ(Tejo)川はイベリア半島最長の川で、その河口に首都リスボンの町が開けた。この川を挟んでぶどう畑の続く山岳地帯の北部とオリーブやコルク樫の茂るなだらかな土地の南部と大きく分けられる。南北に延びる長い海岸線には砂浜や断崖絶壁の美しい風景が広がっている。
ポルトガルは15世紀のヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見などの大航海時代の栄華、繁栄を迎える何世紀も前、歴史は古くは紀元前2世紀ローマの支配下にあった時代に溯る。今も、その長い歴史を刻んだ興亡の足跡を残す建物や面影を残す古い町や村も少なくない。また、そんな町や村の人々の素朴な生活にも触れるのもドライブ旅行の楽しみの一つでもある。



リスボンからポルトへ

リスボン(Lisboa)−高速道路(オートエストラーダ Auto estrada)A2とA4−エヴォラ(Evora)往復−エストリル(Estoril)−オートエストラーダA8経由−ナザレ(Nazare)−N1(国道)−コインブラ(Coimbra)−アベイロ(Aveiro)−ポルト(Porto)
2泊3日 距離 約620km


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●リスボン(Lisboa)

かつて 大航海時代 、“世界の表玄関”としての繁栄を誇った港町。ポルトガルの人口約100万の首都は、7つの丘に建つといわれ坂道の多い街には、いまでも昔の面影を残し、素朴で人なつこい人々が暮らす。
みどころはファッション感覚の新市街、狭い路地に古い建物が並び庶民の生活の匂いに触れる旧市街、そして、大航海時代の栄華を知ることのできるベレン地区と大きく3つに分けられる。なかでも旧市街はぜひ訪ねてみたいところ。
ただし、車での移動は狭い道と急坂、それに駐車場に苦労するので薦められない。リスボン名物のケーブルカー(写真)やエレベーターに乗って歩き市内を見渡せる高台で休んだり、港を見下ろす広場でチェスやトランプに興じる人々を眺めながら、ここはのんびり見物するところである。そして夜には人生の宿命をしみじみ語るように歌うポルトガル民歌「ファド」に耳を傾けるのもよい。

リスボンから東へ約150kmのエヴォラ往復は、ほぼ一日がかりになってしまうが、ここにはローマ時代の遺跡と織田信長の時代に4人の日本人少年が訪れた教会をはじめ、古い町並みや史跡が多く残る観光地のため、ぜひ訪れてみたいところ。往復300kmとはいえ、高速道路を利用できるので、ゆっくり一日観光が楽しめる。

●エヴォラ(Evora)

リスボンから東南へ、スペインとの国境に向かうこの地域をアレンテージョ(Alentejo)地方(テージョ河の向こうという意味)という。緩やかに続く丘陵地帯にオリーブ畑とオリーブに似たコルク樫の木が植えられている。乾燥の激しい地域で、夏の気温は摂氏40度にも達する。リスボンから約140km、高速道路を飛ばし、エヴォラへという標識に従って、インターを出ると約10kmほどで町全体がまるで博物館のようなエヴォラの町に着く。町をジャカランターの花(写真右上)が彩っている。

一方通行の多い狭い坂道を上ると2世紀に造られたという14本のコリント式円柱を残すローマの神殿跡に行き着く。
このディアナ神殿を中心に12〜13世紀のロマネクスからゴシックへの過渡期に建てられた大寺院と、15〜16世紀のゴシック建築のサンフランシスコ教会(写真右)がある。大寺院は1584年天正遺欧少年使節団の伊東マンショと千石ミゲルがここでパイプオルガンを奏で、その響きは人々を魅了したという。また、サンフランシスコ教会には5,000人もの人骨を埋め込んだ礼拝堂がある。

●エストリル(Estoril)

リスボンより西、テジョー河口に続く海岸線はコスタ・ド・ソル(Costa do sol)いわれ、風光明媚なビーチが10km以上も続く。エストリルはその中心のリゾート地。リスボンから約25km。オートエストラーダA5で約15分。
ゆるやかに弧を描く砂浜と、一本の道路をはさんだ緑の丘には、ホテルや別荘が建ち並び、ヨーロッパでも有数といわれるカジノもある。
ビーチのほぼ真ん中に大きな日本料理店の建物があったが、今では、看板だけを残し荒れ放題になっていた。浜のレストランではパラソルを広げて魚貝類の料理を食べさせてくれる。とくにサルディーニャス・アサーダス(Sardinhad Assadas)は難しい名前だが、ポルトガル名物「イワシの炭火焼き」で安くて美味しい。

●カスカイス(Cascais)

エストリルより海岸線をわずかに西、徒歩でも15分ほどのリゾート地。昔、ポルトガルの王族の別荘のあったところで、近代的なホテルや豪華な別荘の他に、古い石造りの館もある静かで品のあるところ。
リスボンから海岸線を走る電車もここが終点で、駅周辺は入り組んだ狭い路地にレストランやみやげ物屋がある。リスボンの都会に宿をとるのもよいが、この落ち着いたリゾート地の高級 ホテル でくつろぐのもドライブ旅行ならではのこと。
海を眺め、プールサイドで冷たいカクテルを飲みながらのんびりすれば、リッチな気分になる。高級ホテルといっても都会を一歩離れれば、料金は安い。寝室とリビング、ダイニング付き、おまけに朝食まで付いて2人で2万2,500エスクード(約1万8,000円)だ。

●ナザレ(Nazare)

高速道路を使って一気に北上するのもよいが、カスカイスから約25km北にはイギリスの詩人バイロンが“エデンの園”と賞賛したシントラ王宮(Sintra)とその美しい庭園がある。日本の天正遺欧少年使節もこの城を訪ねたという。
内部は豪華な装飾が施されているが、とくにアラブ風装飾タイルは見ごたえがある。ここからナザレへは、オートエストラーダA8で約120km。海岸へ向けてN242を17km辿ると、昔の漁師町ナザレだ。

つい10年ほど前までは、ひなびた小さな漁師町だったが、久しぶりに訪ねてみるとすっかり様変わりしていた。以前、浜辺には漁に出る古い木造船が繋がれ、潮風に刻んだ深い皺に黒い顔の漁師が船のそばで網の手入れに余念がなく、近くには黒い民俗衣装を着た女たちが、炭火でイワシを焼いていた。立ち上る煙、香ばしい匂いは、どこか懐かしい気持ちがした。
いまは砂浜は船の影もない。観光用に干された網が申し訳なさそうに一つあり、よく手入れされた海岸通りには観光客が溢れていた。イワシを焼いていた店先はしゃれたレストランやどこにでもあるみやげ屋になり、ビルディングも高層マンションも建っていた。ただ、まだ派手さはなく、裏道には昔のポルトガルの漁村風景が少しだけ残っていた。

●コインブラ(Coimbra)へ

ナザレからコインブラへはN1(国道)を辿って約120km。この街道筋はレンガ工場が並ぶ。むき出しの赤土はそのままレンガの原料らしく中小の工場の回りはどこも掘り返されている。工場もそのエントツも古いレンガ造りだ。リスボンから北へ延びる幹線道路で、交通量も多く、とくに大型車が激しく行き交うので、国道と平行して走る高速道路で行くことを勧めたい。

コインブラはポルトガルの中部、豊かに流れるモンデゴ(Mondego)川のほとりにある古都で、1308年にリスボンから移されたという古い歴史を誇る旧コインブラ大学(写真右)がある。
イスラム教徒の支配を脱した後、ポルトガル王国最初の首都であったという街は、山の上の旧コインブラ大学、12世紀に建てられた旧カテドラル教会、そして地下には古代ローマ時代の地下堂があるマシャード・デ・カストロ(Museu Machado de Castro)美術館のある旧市街は、往時の面影を残す風格あるとても落ち着いた街だ。
川沿いから、息を切らすほどの急な上りの石畳の道は車は無理だ。住人のための車の往来はあるが、余分な駐車場はない。


●宿

コインブラの夜は早い。街の中心にはいくつかのカフェがあるが、夕暮れには集まっていた人々も、午後7時を過ぎれば、人影もまばらとなり店も閉まって街は静まり返る。
宿はモンデゴ川に面したところにいくつかあり、料金は2万5,000エスクード(約1万9,000円)の5つ星からある。この日とった宿は2つ星の ビジネスホテル だった。ツインで9,550エスクード(約8,500円)。アヴェイロへ戻って国営ホテル ポウザーダ (Pousada)へ泊まるのもお薦めだ。
ポウザーダは城や宮殿などを改造したホテルで国内62か所にあり、豪華なレストランと食事も楽しめる。クラス分けがされていて、場所や建物設備などによって料金がことなる。だいたい3〜4つ星ぐらいで、高いところではツインで一泊2万8,000エスクード(約2万5,000円)。


●アヴェイロ(Aveiro)

コインブラから約120km。N1(国道)は道路状況があまりよくないし大型車の交通量も多い。その上沿道の景色も面白くない。だが時間があれば、途中、アヴェイロ(Aveiro)へ寄ってみたい。
ポルトガルのアートというべき アズレージョス は郷土の風物を描いた絵タイルのこと。リスボンはじめ、全土の街や村の家々の壁を飾る。アヴェイロは駅舎をはじめ、街の家々にもこのアズレージョスが貼られ町全体が色彩豊かで陽気に明るい雰囲気がある。内陸に大きく入り込んだ入り江には、塩田が広がり、ローカル色豊かな風景が見られる。車でぐるりと町を一回りするだけでも、充分楽しめる。

●ポルト(Porto)

甘口の ポルトワイン で知られるポルトはポルトガル第2の都市で、この国の工業の中心でもある。
ワイン工場、陶器、繊維、化学工場から造船と、もともと働く人の町であったという。「ポルト人が働き、リスボン人が遊び、コインブラ人は歌を唄う」といわれ、労働を課せられた歴史がある。そのため、この町には豪華な館や宮殿などはない。
市内を見渡す丘の上にはカテドラルの塔が立ち、このカテドラル前広場から続く狭い道には古い民家が並ぶ。
魚、野菜、果物などを求めて人々が集まるこの界隈は、他のヨーロッパの町角とは違い、人なつこく、親切な人々から、のどかなポルトガルの庶民風景が見られる。


●食べる

ポルトの名物料理といえば、牛の内臓と白いんげん豆、それにポルトワインをたっぷり使った「トッパス・ア・モーダ・ド・ポルト」(Tripas a moda do porto)だ。ポルト風腸の煮込みのこと。見た目はこってりだが味は案外さっぱりしている。一人前はかなり量が多いので、他のものと合わせると2人で一人前で充分。かつて労働者の食べ物だった。


取材:1998年8月