『開通・九州新幹線』で鹿児島へ(2)

薩摩半島の先端を回る国道226号線は、鹿児島の人気どころ摺ヶ浜「指宿天然砂むし温泉」を経て、開聞岳(標高924m)の裾野を巻きながら、かつおの一本釣りで有名な枕崎へと向かう。
国道沿いには、温泉はもちろんのこと地熱発電所や風光明媚な岬などの他、本土においてサツマイモ、現地ではカライモ発祥地の畑が広がる田園風景も楽しめる。
枕崎で国道225号線に入ると、川辺の断崖に掘られた平安時代から明治まで沢山の磨崖仏もまたこのコースのみどころである。

<コース>
鹿児島中央駅前−(フェリー)−桜島一周−(国道226号線)−平川町−(県道27号線)−知覧町−(県道17号線)−池田湖−指宿−(国道269号線)−開聞山麓−(国道226号線)−枕崎−坊津町−(国道225・226号線)−(九州自動車道)−鹿児島空港
行程 約150km
<ルート付近のリンクポイントをクリックしてみてください>
●山川の市場
指宿の温泉街から国道269号線をかつおの水揚げで知られる天然の良港山川港へ。目的は「活お海道」という魚市場だったが、東北地方太平洋沖地震の津波の影響で、鮮魚の水揚げはなかった。平成21年(2009)4月にオープンしたばかりで14の朝市直売ゾーンが設けられている。
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 指宿からさらに南へ
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 山川の活魚店
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●山川地熱発電所
国道へは戻らず、海沿いの道を辿ると広い畑の中、開聞岳を背景に大きな施設が見えてくる。地球のエネルギー・マグマを利用した発電所だ。折しも津波による原子力発電の危険性が大きく問われている中、このクリーンなエネルギー、地熱は、まるで誇らしそうに白い蒸気を上げていた。
蒸気井の深さは最深で2,100m、発電能力は3万キロワット。一日の家庭で使われる量、1万戸分という。発電所内には展示室があり、地熱発電の仕組みを映像などで小学生にも理解できるように解説してくれる。
/入場料 無料、TEL 099-335-3326
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●山川砂むし温泉
開聞岳や大隅半島、錦江湾が一望できる景勝地にある。近くには蒸気が噴き出す露天風呂「たまて箱温泉」や、好天に恵まれれば遠く屋久島まで望むことができる「ヘルシーランド」など源泉かけ流しの日帰り温泉がある。
温泉場の横に聳える竹山は、標高200m、海側は断崖絶壁となっている。その昔、この山から、火の玉が飛び出し、瞬く間に轟音とともに山一面が燃えたという伝説もある。中腹には竹山神社が鎮座し周辺はソテツの自生地であり、保護されている。
たまて箱温泉の駐車場より、音を立てて噴出する湯の遙か下の砂浜には、砂むし温泉場が見えた。ここからは急斜面に造られた足場のあまりよくない階段を下ることになるが、反対側には車でも下れる道がついている。砂浜に打ち寄せる波の音、目前には見事な三角形の開聞岳を眺めながら、乗り物の時間を気にせずに、熱い砂の中で過ごすのもドライブの醍醐味だ。
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 たまて箱温泉の源泉(背後は竹山)
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 竹山周辺に自生する北限の ソテツは天然記念物
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 竹山神社
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 砂むし温泉。広々とした眺めだ
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●長崎鼻
錦江湾の出入り口にあり、海の航行を見守る白亜の薩摩長崎鼻灯台が立つ。その灯台の下には岩礁が連なり散策道もついている。透明度が高く青い海の先には開聞岳が聳え、沖に浮かぶ竹島・硫黄島・黒島の三島を望む。空気の澄んだ冬の季節には遠く屋久島や種子島まで見えることもあるという。
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長崎鼻は「浦島太郎」伝説の発祥の地として知られ別名「竜宮鼻」。浦島太郎が竜宮城へと旅立ったところともいわれている。長崎鼻へと向かう途中には乙姫さまを祭ったというあでやかな朱色の鳥居の「竜宮神社」もある。
みやげ物屋の並ぶ裏には、美しい弧を描いて続く砂浜海岸が見下ろせる。そこはウミガメの産卵地というから、いかにも伝説にふさわしいところである。
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●長崎鼻パーキングガーデン
長崎鼻への無料駐車場となっている。昭和41年(1966)に開園した熱帯・亜熱帯植物とフラミンゴやワタボウシタマリン、チンパンジーなどの動物を集めた公園。入り口では色鮮やかなコンゴウインコが来訪客を出迎えてくれる。
/入園料 1,200円、TEL 099-335-0111
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 長崎鼻のサボテン
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○サツマイモの発祥地
目前に開聞岳を仰ぐ畑は、今はソラマメや人参などの季節の野菜が植えられているが、「間もなく、一帯はサツマイモ畑になるよ」と畑の中で休む老夫婦が話してくれた。
サツマイモは17世紀初期に唐(現在の福建省)から琉球王国(沖縄)に伝わった。本土には宝永2年(1705)薩摩山川の前田利右衛門が琉球から持ち帰り、この地に植えた。
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 この付近で前田利右衛門は カライモを普及させた
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 利右衛門をたたえる碑
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サツマイモは地中で育つため台風の多い鹿児島では幾度となく飢饉を救った。とくに水はけのよい火山灰を含んだ土壌に合い、また痩せた土地にもよく育ち、保存も利くので、画期的な食物として人々の生活の中にとけ込んでいった。
とくに享保17年の大飢饉のとき、八代将軍徳川吉宗が栽培を奨励し、関東にも広がっていった。近くの林の中には、サツマイモの伝来者、前田利右衛門が祀られた徳光神社がある。
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 徳光神社
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サツマイモ発祥地から開聞山麓自然公園への道を辿ると、地元産のそば粉を使ったそば打ちの講習会場や地元の特産物の直販を兼ねた施設「そばの館皆楽来」がある。もちろんそば食堂もあり、手打ちのそばを食べさせてくれる。
/TEL 099-328-2111
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●枕崎港
東シナ海に面し、気候は温暖だが、夏から秋にかけて台風の通過頻度が高く、台風銀座との異名もあったほどのところ。太平洋戦争終戦間もない昭和20年(1945)枕崎台風が上陸、枕崎では死者12名、損壊家屋2,339戸という大惨事も経験している。幸い最近は気象の変化により台風の数も少なくなった。
漁業が盛んで、とくにかつおの町として栄え、水産加工の鰹節は質・量ともに日本一と自負する。
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 かごしまロマン街道、瀬平自然公園の眺望
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 かごしまロマン街道
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 瀬平から枕崎への道。砂浜が美しい
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 枕崎の夕暮れ
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町には大きな魚市場が2つあり、地元の新鮮な魚介類と海産物を一堂に取りそろえた「枕崎お魚センター」(TEL 099-373-2311)、かつおの加工製造工程を見学しながら、水産加工品を買うことができる「枕崎市かつお公社」(TEL 099-372-7021)がある。
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●薩摩酒造明治蔵
今から300年も前に、蒸留技術とサツマイモとの出逢いがあって、さつま芋焼酎がここで生まれた。温暖な気候とシラス台地に磨かれた清水という南薩摩の風土が育んだ“白波”でお馴染みの本格焼酎の工場。発酵を続けている仕込み中のもろみの様子から、実際のいも焼酎づくりを見学することができる。明治蔵は、伝統的な昔ながらの焼酎造りの他、試飲や新しいサツマイモから造られたビールなどの紹介と販売が主で、本格的な工場は約20km指宿寄りにある。
/入館料 無料、TEL 099-372-7515
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 枕崎の焼酎蔵
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●坊津
九州の西南端に位置し、古代から海上交通の要衝として栄え、江戸時代は日本本土の南玄関口として、現在の福岡市博多・花旭塔津(はかたのつ)、三重県津市・安濃津(あのつ)と並んで日本三津の一つに数えられた歴史的な港町(津は港の意味)。
中世には、長崎が主要交易港となった後も薩摩藩の密貿易(中国・清や琉球との中継交易)港として栄えていたが、江戸幕府による密交易の取り締まりで衰退。その後はかつお漁や鰹節製造などの一大集積地として隆盛を誇った。街中には、往時の繁栄を偲ばせる史跡・文化財が数多く残されている。
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●近衛屋敷跡
鹿児島城下の直轄地であった坊津は、港町という側面だけではなく、歴代の薩摩藩主が交代するたびに当地を訪れたところ。また文禄3年(1594)、島津家とは縁戚関係にある京都の公家、近衛信輔が配流された屋敷跡だ。そこには子孫にあたる近衛文麿の記念碑が建ち、近衛藤と呼ばれる藤棚がある。
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●森吉兵衛住宅
森家とその一族は幕末期に活躍した豪商として知られていた。かつお漁業とその販売と、回船業も手広く手がけていたが領内地域だけでなく、南薩摩を基点に西海地域で広範囲な経済活動をしていたことから、鎖国政策に反して密貿易していたのではないかともいわれている。現存する「密貿易商人の屋敷」として見どころの一つになっている。個人の住宅となっているので、見学者はマナーをもって訪れよう。
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 貿易を仕切ったのはこの家の先祖
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●坊津の街並み
坊浦、泊浦の深い入り江を取り囲み、高台に向かって家並みが続く。とくに深く入り込んだ坊浦港からは旧海商の屋敷や古い石垣、急な石段、石組み造りの井戸などが残されている。「数年前に国道226号線のトンネルが開通してからは、街の開発が進み、昔の面影が薄れきた」と長年漁師をしていたという老人が、昔を懐かしそうに話してくれた。
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 家は重なるように建ち、 石段がそれをつなぐ
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 石畳と学校帰りの少女たち
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 車も石畳を走る
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 坊津街道跡
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 立派な資料館がある
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 石塀と石畳
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坊津の歴史や暮らし、文化財や民具などを展示する歴史資料センター「輝津館(きしんかん)」がある。
その建物のベランダは双剣石を眺めるビューポイントだ。双剣石は二本の剣を立てたような巨岩で、江戸時代の浮世絵師、歌川広重により画題にもなっている。
周辺は国の名勝「坊津」として文化財指定されている。
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 名勝・双剣石 (画像をクリックすると拡大写真を表示します)
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 神社と昔の船溜まり
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 港を見下ろす金比羅神社。 かつおの豊漁と安全を祈ったという
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●清水磨崖仏
南薩摩川辺町、万之瀬川沿いに高さ約20m、幅400mにわたり岩に刻まれた約200基の磨崖仏群がある。磨崖仏とはいっても仏像だけが彫られているのではなく、多くは五輪塔や梵字、お経などの板碑だ。
平安時代〜明治にかけて掘られたもので、最大のものは平安時代末期に掘られたという高さ11mもある「大五輪塔」で、これは日本最大という。現在は肉眼では見えないが、赤外線調査により五輪塔の周辺には5,000字以上の梵字が刻まれていることが判明した。
その他、弘長4年(1264)という銘が刻まれた「月輪大梵字」や永仁4年(1296)銘の「宝筐印塔」など歴史的にも仏教的にも価値の高いものだ。新しいものは明治28年(1895)、吉田順道が、地元の石工に掘らせた十一面観音像や阿弥陀如来像がある。
周辺は「岩屋公園」として地元の人たちの憩いの場所になっている。
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 十一面観音
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 大きな五輪塔が彫られている
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 室町時代の磨崖仏
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 岸壁の磨崖仏は延々と続く
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 磨崖仏のある場所は綺麗に 整備された公園
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 鹿児島空港の足湯、時間待ちには最高
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これより鹿児島空港までは、川辺ICより指宿スカイライン経由九州自動車道で約50kmだ。空港内にある温泉“足湯”で疲れを癒しながら、帰りのフライト時間を待った。
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○ニッポンレンタカーの車種・料金
詳しくは車種・料金一覧表をご覧ください。
○鹿児島県内のニッポンレンタカー営業所
ニッポンレンタカー ホームページの営業所検索で、鹿児島県の営業所リストをご覧いただけます。
- ・ゆっくり・悠・遊 観光かごしま
- 鹿児島県ホームページ内。県内各市町村の紹介や観光スポット、おすすめ観光モデルコースなどが見られる。
- ・坊津へようこそ
- 双剣石をはじめとして坊津の景観、民俗行事、史跡などを紹介。映画「007」ロケの記念碑もある。
取材:2011年3月
※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。
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