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安房トンネルを抜け秋の奥飛騨路を行く



昨年(平成9年)12月に開通したばかりの北アルプス横断安房トンネルは全長4,350m、長野県と岐阜県を結んだこの国道158号線はその所要時間を大幅に短縮。これまで、標高1,864mの安房峠越えの道は上高地線 中の湯から平湯まで約30分もかけて細く長い道を上り下りしていった。また冬期は通行止めばかりか天候にも左右された峠越えが、たった5分で済んでしまう安全で快適な自動車道となった。
もともと関西方面から飛騨高山へは名古屋市や岐阜市などから、国道41号線などで比較的近い距離であったが、関東方面からはこの安房トンネル開通により飛騨高山がとても近いものとなった。


安房トンネルが開通してはじめての秋、周囲を標高3,000m級の北アルプスの山々に囲まれた高原や豊かな湯量を誇る温泉の里、奥飛騨温泉郷と紅葉を訪ねながら、さあドライブの旅を楽しもう。

目的は紅葉、温泉、軽いハイキング、もちろん信濃路から奥飛騨への新しい道へ車を走らせるドライブといろいろだ。コースの取り方は自分なりに一応決めてはいても、山岳ドライブはなんといっても天気次第。雨の温泉も悪くはないが、山は好天に恵まれることが第一条件だ。今回の取材コースを参考に天候と相談しながら、その場の状況で自分なりのコース設定や変更をすることをお薦めしたい。とくに高い山の場合は、午前中に出かけること。どんなに晴れていても午後には曇ることが多いから。


奥飛騨路コース

1日目 東京(中央高速道)−松本(国道158号線)−沢渡から湯川渓谷沿い−白骨温泉(泊)

2日目 白骨温泉(上高地乗鞍スーパー林道)−鈴蘭−冷泉小屋を経て−乗鞍畳平−乗鞍スカイラインを平湯(国道158号線)−平湯温泉(国道471号線)−新穂高温泉(泊)

3日目 新穂高温泉(国道471、158号線)飛騨大鍾乳洞往復−平湯(国道158号線安房トンネル)−中の湯−松本−東京

全行程 2泊3日 約700km。


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第1日目

●松本から上高地方面へ

東京を出たのはもう午後を回っていた。今夜は白骨温泉泊りということもあって、ゆっくりのスタートだ。だが、何度かの渋滞に巻き込まれ大幅な時間のロス。「松本まで列車で行き、松本でレンタカーを借りた方がよかったな」と何度も思う。松本駅前にはニッポンレンタカー松本営業所(写真)があるので、レンタカーの利用も可能だ。
秋の日は短く、松本に着いた時はすでにあたりは暗くなっていた。インターを出て、国道158号線を上高地方面へと急ぐ。インターから約38km。沢渡からさらに約9kmは慣れない夜の山道だった。
この白骨温泉への湯川渓谷沿いの道は、初夏の新緑とともに秋の紅葉の美しいところ。現在は道路拡張工事が行われているので注意が必要だ。

●白骨温泉

沢渡で梓川と分かれ湯川渓谷沿いの山深い谷間の木々の間に10軒の温泉旅館が寄り添うように建つ。そこから少し上ったところに3軒の旅館、そのほか食事どころや売店がある小じんまりとした山の湯だ。
白骨温泉は昔はこの湯が石灰分が多く湯槽の内側が結晶で白くなることから“白船”と書き“しらふね”と呼ばれていた。開湯の歴史は古く戦国時代にさかのぼるが、温泉に湯屋ができたのは江戸時代になってから。
白船が白骨と呼ばれるようになったのは、大正2年、中里介山の長編小説「大菩薩峠」の中で“白骨温泉”と書かれたことからという。泉質は単純硫化水素泉で硫黄臭がある。神経系統や婦人病に効果があるが、特に胃腸病に不思議な効き目があるとか。

13軒の旅館はほとんどが和風旅館でそれぞれが趣向を凝らした湯僧や露天風呂を自慢としている。温泉の入り口には木造の観光案内所があり、ここで宿の紹介をしてくれる。一人一泊二食付き1万円から2万5,000円ぐらいまで。ただし、ひとりだけの客は割り増し料金となる上、シーズン中はあまり歓迎されない。
入浴だけでもという人には案内所の前に 公共の露天風呂 がある。湯川の川に面した岩風呂で色づく木々の葉を眺め、川の流れを見つめながらの趣のある風呂だ。男女別。入浴料500円。無料駐車場もある。


第2日目

●乗鞍高原へ

白骨温泉から乗鞍高原へは上高地乗鞍スーパー林道を走る。ここは珍しい有料林道で、わずか9kmの道のりだが普通乗用車420円だ。冬期は沢渡からの道が閉鎖されるため、この林道は無料となる。有料だからと期待した道だが、どこにでもある狭い山道だ。しかし、うっそうとした落葉樹の森の中、10月には見事な紅葉を見せてくれる。下りは視界が開け、乗鞍高原の可愛いペンションやロッジの赤い屋根、乗鞍岳の裾野に広がる牧草地と、アルプスの少女ハイジの世界を彷彿させる。

乗鞍高原は冬はスキー場として賑わうが、春は花、夏は緑、秋は紅葉の中を探索する人、サイクリングを楽しむ人など、レクリエーションの場としてシーズンを通し自然に恵まれたリゾート地だ。林道から鈴蘭へ出ると料金所を右折。道なりにぐんぐん標高を上げていく。
この道は乗鞍エコーラインで冬は国民休暇村の先で通行止めになる。(7月〜10月は天候によって日が異なるので問い合わせよう) 冬期閉鎖の道へ入ると急に道幅も狭くなり、路面も悪いので、運転には注意したい。

●乗鞍岳へ

鈴蘭から車で行ける日本最高所である標高2702mの畳平まで約50分。長野県と岐阜県の県境でもある畳平から岐阜の平湯まで乗鞍スカイラインで結ばれている。乗鞍岳のゆるやかな斜面や稜線に続くこの道は道幅の狭さのわりには走りやすい。
視界は広がり乗鞍岳の雄姿を仰ぎ、黄色く色づきはじめた岳樺や赤い実を付けたナナカマドが車窓を飾る。カーブを曲がるごとに空気が冷たく爽やかに澄み渡る。

冷泉小屋(写真右)を過ぎ一気に標高を上げると緑の這い松の間に紅葉に色を染めた高山植物群が彩りをそえていた。景色を楽しみながらの上り道は間もなく終わり、エコーラインの終着点、岐阜県との県境でもある畳平(写真下)へ着いた。

標高2,702mの畳平は鈴蘭との標高差が約1,300m。気温は100m上がるごとに0.6度下がるというから約8度は低い。風の強い日は体感気温はもっと低いから、ここから乗鞍岳登山をしたり、紅葉を見に車から離れる人は防寒衣を忘れずに。
夏はクロユリ、イワカカミ、チングルマなどの高山植物の可憐な花を見ることができるが、いまは、眼下の紅葉と空気の澄んだ大空を背景に雄大な北アルプスの大パノラマを堪能したい。足に自信のある人は乗鞍岳の主峰、剣が峰(3,026m)へ登るのもよし。登り約1時間30分。

●乗鞍スカイライン

畳平から平湯峠(1,684m)を結ぶ14.4kmの山岳有料道路。車窓からは北アルプスの槍ヶ岳、穂高連峰をはじめ、笠が岳、双六岳や焼岳、それに白山の山々が眺められる日本一の山岳ハイウェイでありパノラマ・ドライブウェイだ。
畳平からは道は一気に下る。尾根づたいの平原から這い松地帯へ、やがて針葉樹から広葉樹林へと高度を下げて行く。下るほどにあたりの山が高くなり、途中の展望台から穂高連峰の威風堂々たる姿におおいに感動する。ここから平湯峠は近い。通行は5月15日〜10月31日。料金は普通車で1,570円。

●平湯

平湯バスターミナル前の駐車場は90分間は無料。その駐車場の前に平湯観光案内所があり、ここで 今晩の宿 の紹介をしてもらう。若い案内係の女性はとても親切で、平湯温泉ばかりか奥飛騨温泉郷のことまでかなり面倒な条件や質問にも優しく応対してくれた。簡単に奥飛騨温泉郷について紹介しよう。

奥飛騨温泉郷

●平湯温泉

安房トンネルの入り口の下にある。戦国時代、武田信玄が飛騨へ攻め入る途中、老猿が湯にひたり傷を癒しているのを見て、この温泉を発見したといわれている。
深い谷間には、現在使われている源泉井戸だけでも40近くある。豊富な湯量と90度にも達する高温の泉質は炭酸水素塩泉。胃腸病、リュウマチ神経、皮膚病に効く。旅館は民宿を含めて35軒。一泊二食付き7,000〜2万5,000円くらいまで。
温泉街から少しはなれたトンネル近くに 公共の露天風呂“神の湯” がある。これからは紅葉に染まる樹木の中で、川のせせらぎの音を聴きながら、のんびり湯に浸かる。男女別。入浴料400円。

●福地温泉

平家の落人伝説や数々の民話の残る閑静な山里の秘湯。福地と書いて「ふくぢ」と読む。国道471号線に沿って流れる高原川沿い。平湯より約7km。宿は民宿をあわせて12軒、いずれも露天風呂がある。一泊二食付き7,500円〜2万8,000円。

●新平湯温泉

福地温泉より約3kmほど奥、国道471号線沿いにある。噴煙たなびく焼岳の麓にあり、世界の熊を集めたクマ牧場やスポーツ施設などもある。宿はホテル、旅館、ペンションと多様でおおくは露天風呂がある。一泊二食付き9,000円〜3万円。

●栃尾温泉

国道471号線神岡へと向かう道と新穂高温泉への分岐点、鎌田川沿いにある庶民的で飾らない宿が多く古い温泉の良さを残している。清流の蒲田川はアユやマスなどの釣りポイントとして、マニアには好評の川だという。宿の料理も山菜や川魚の素朴な家庭の味だ。
河川敷に共同浴場“荒神の湯”の露天風呂がある。男女別。料金は決まっていないので、寸志程度。宿は20軒だが、旅館は1軒であとは民宿。一泊二食付き7,500円〜。旅館も1万円よりと手ごろだ。

●新穂高温泉

奥飛騨温泉郷の一番奥で、蒲田川の谷あいに沿って約5kmも続く温泉街だ。旅館、民宿、ペンション、ホテルと約40軒ほどの宿があり、 公共の湯 もある。ここは北アルプスへの飛騨側の登山口でもあり、東洋一といわれる新穂高ロープウェイ、西穂高へ上る起点でもある。露天風呂や室内からも四季の穂高連峰や焼岳を眺められるとあって、一年を通して訪れる人が多い。一泊二食付き1万円〜3万6,000円。


乗鞍スカイラインを越えて平湯へ着いたのは午後2時半だった。露天風呂“神の湯”で一風呂浴びて、奥飛騨の 名物料理 も楽しみながら、今夜の泊り宿である新穂高温泉へ向かう。途中、林の中の派手なクマ牧場の看板に誘われて立ち寄ってみた。

●奥飛騨クマ牧場

国道から少し入った山の斜面に世界各地から集められたクマが230頭。ヒグマ、北極クマ、白クマそれにアライグマもいたが、多くは日本の月の輪グマだ。年齢別に分けられたコンクリートの中で、歩き回ったり、水に入ったりと思い思いの行動をしていたが、200kgにもなるという巨大なクマの仰向けの怠惰な寝姿が、笑いとともに少々哀れを誘う。子ども連れには楽しめるところだろう。
入園料 大人1,000円 子ども500円。


第3日目

●新穂高ロープウェイ

新穂高温泉から標高2,156mの西穂高に続く稜線千石平までを結ぶロープウェイは全長3,200m、その高低差は1,039m。その距離を中継地をはさんでわずか10分ほどで、人々を別世界へと運んでくれる。
第一ロープウェイは全長537m。途中の鍋平高原まで4分。ここで乗り換える第二ロープウェイは2,628mで終点の西穂高駅口まで7分だ。
建設されてから29年、今年7月3日に第二ロープウェイが二階建て120人乗りの大型ゴンドラとなって運行された。世界でも第2位のスケールを誇るロープウェイの大型ゴンドラは、見ても乗っても壮観だ。
右に焼岳、左に槍や穂高を眺めながら一気に上る。西穂高駅口には展望台があり、谷を隔てた向こうに笠ケ岳と3,000m級の山々が連なる北アルプスのダイナミックな風景は、昔は登山家だけの世界だったが、ここでは誰でも楽しめる。
好天にめぐまれたら、原生林の中を散策するのもよし。ただし、登山準備をしていない人は、決められた安全なところだけ。ルールは守りたい。10月に入ると山は紅葉で錦に染まる。
料金は大人往復2,800円、子ども1,400円。
天候などで運休することもある。
問い合わせ/TEL 0578-9-2252

●飛騨大鍾乳洞

平湯と高山のちょうど中間、国道158号線、平湯から約18kmにある。この鍾乳洞は2億年以上も前にできたという。洞内は約800m。自然が創り出す鍾乳石や石柱の見事な芸術を見ることができる。
併設されている「大橋コレクション館」では世界の美術品と2億円の金塊が展示されている。
入場料 大人1,000円、子ども500円
TEL 05777-9-2211

●安房トンネル

平湯温泉の入り口にポッカリと大きく開いたた穴、これが国道158号線の岐阜県と長野県を結ぶ安房トンネルだ。料金は自動機支払いで、普通車は750円を支払ってゲートをくぐる。
まだ開通して1年も満たない新しいトンネルを通る、そのことだけでわずかな緊張感が走る。一般道路で片道一車線の対面交通だが、とても走りやすい。
全長4,350mのトンネルを抜けると、もうそこは上高地と松本への分岐点の 中の湯 である。上高地へは一般車乗り入れ禁止規制があるので、上高地へ行く人は一旦沢渡まで下り、バスかタクシーへ乗り換える。
トンネル情報・案内/TEL 0263-47-7800

安房トンネルを利用すると岐阜の奥飛騨へは東京からわずか4時間。取材の帰りは平湯温泉の露天風呂で一休み。平湯を午後5時に出て、夜9時には東京の自宅に着いていた。

白骨温泉旅館組合
白骨温泉の各宿泊施設の紹介では各宿のオリジナルのホームページも見られる。乗鞍エコーラインや安曇野散策案内など。
飛騨ネット
飛騨の観光情報やリンク。「今日の高山」では日々の飛騨高山の画像が見られる。安房トンネルの説明や高山の天気情報もある。
Infomation of HIDA
高山を中心に飛騨の詳細な観光情報、企業情報、交通情報、宿泊情報などを提供。下呂温泉についても紹介されている。
奥飛騨温泉郷ホームページ
個人で運営。温泉、キャンプ、スキー、北アルプス、露天風呂などの情報を提供している。

取材:1998年9月