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富士山の見える峠と宿
山梨南部編



富士山の見える範囲は意外に広く、1940年に地質学者辻村太郎が書いた『富士見十三州』によると、北は福島県から南は岐阜、三重、滋賀、そして日本海の富山、福井県まで19の都道府県から見えるという。この広い範囲の中から、富士山の見える峠を探し、その峠を結んでドライブしていきます。今回はその第4回目、山梨南部編です。

太宰治の「富嶽百景」から

『「御坂峠、海抜千三百メートル。この峠の頂上に天下茶屋という、小さい茶店があって・・・。ここから見た富士は、むかしから富士三景の一つ」といいながら、あまりにも整った富士の姿に、まるで風呂屋のペンキ絵みたいと軽蔑さえした。しかし、三ヶ月近くも、いつも真ん中に富士があって、その下に河口湖が白く見える風景と向き合っているうちに「いいねえ、富士は、やっぱり、いい」と思い「富士は、やっぱり偉い」と思うに至る。』



山梨南部

中央自動車道御坂一宮IC−国道137号線から旧道で御坂峠−河口湖−忍野村−国道413号線を道志村−相模湖ICから中央高速道


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●御坂峠へ

御坂峠は昔は甲府から東海道に出る鎌倉往還の道筋で、北面富士の代表的観望台といわれ、富士三景の一つとかぞえられていた。
いまは国道137号線で御坂有料トンネルを河口湖側に出たところからの富士を眺める人が多い。ここは新御坂峠といい、御坂峠天下茶屋から眺める富士とは少し異なる。展望台も設置されている。目的の富士を見る天下茶屋はトンネルの手前で旧道へ入る。

●旧道

御坂一宮ICから国道137号線を辿ると間もなく「御坂路石畳」という表示を見る。標識に従って狭い道を谷へと下ると、旧道のそのまた旧道だったという石畳のびっしり敷き詰められた道に出会う。竹薮の中に佇む古い一軒家もあいまって時代劇の一場面にも似た風景だ。それはほんの一角だが、多分江戸時代の道であろう。
再び国道に戻ると、御坂峠への旧道への分岐点に出る。少し手前にガソリンスタンドがある。ゲージを見て給油しておこう。

●御坂峠天下茶屋

いまは旧道となった御坂トンネルが開通したのは昭和6年のこと。わずかな明かりを頼りに暗いトンネルを抜けると、峠の一軒茶屋「天下茶屋」がある。昭和13年頃この茶屋の二階には井伏鱒二、太宰治の偉大な作家が逗留し、それぞれの富士を描いたところだ。
『ここから見た富士は・・・あまりに、おあつらいむきの富士である。まんなかに富士があって、その下に河口湖が白く寒々とひろがり・・・』という太宰治の富士の描写も、この日は残念ながら長い裾野だけをわずかに見せているだけだった。

『御坂峠のその茶店は、いわば山中の一軒家であるから、郵便物は、配達されない。峠の頂上から、バスで三十分ほどゆられて峠のふもと、川口湖畔の、河口村という文字どうりの寒村に・・・』と、留め置かれた郵便物を3日に1度受け取りに行った太宰治だが、そのバスの中で老婆との会話から出た「富士山には月見草がよく似合う」の碑が茶屋の前にある。
茶屋の三代目という若い主人に「どうぞ」といわれて二階に上がってみた。六畳の角部屋の窓から、晴れた日は富士山が「見ているほうが、かえって、てれるね。」といわれたほど真ん中に見られるという。

茶屋の前には5人のアマチュアカメラマンたちが、富士山が姿を現わすのを、いまか、と待っていた。それぞれの車のナンバーは三重、神戸、福井、大阪、埼玉である。年齢40〜50代の男性ばかり。
「美しい富士を見たい、一時として同じ姿ではない富士、その一瞬をフィルムに残したい。」こんな気持ちが遠い道のりもいとわず、そして幾日でも、その姿を待ち続ける時間も惜しくないと口を揃えていう。こうして富士山に魅せられた人は多く、彼らが富士山のビューポイント情報に詳しいのはいうまでもない。
こうしている間に、にわかに雲が動きはじめた。そして、ほんの一瞬驚くほど大きな富士山が、見ている者を圧倒するかのようにその全容を見せて、人々の歓声の声とともに、消えた。それはまるで、恋焦がれた者が垣間みた幻想のように。
天下茶屋/TEL 0555-76-6659

●河口湖湖畔

昭和初期、寒村といわれた河口湖町もいまは大観光地。湖畔を一周する道路沿いにはリゾートホテルや温泉旅館、土産物屋やレストランが建ち並ぶ。それとともに、新しい施設もぞくぞくオープン。
中でも最近人気を集めているのは、河口湖町営の伝統工芸の紬織りからハーブやジャム作りなどが楽しめるいくつかの「体験館」だ。湖畔に点在するこれらの施設ではそれぞれの富士の姿も楽しめる。

●大石紬伝統工芸館

大石紬は江戸時代、湖畔の北、ここ大石地区で生まれた。糸は草木染めでつやとしなやかさがあるのが特徴だ。機織り体験は材料費込みで、7,000円から。ほかにハーブ染めも体験できる。
体験は予約が必要だが、見学は無料。一般民家の中にあるので少し分かり難いが、案内版がある。
/TEL 0555-76-8008

●河口湖自然生活館

湖をはさんで富士山を真っ正面に見上げる湖畔に間もなく盛りを迎えるラベンダー畑がひろがる中、可愛い三角屋根の時計台のある建物が目をひく。この館のテーマはブルーベリー、雰囲気はカナダ風だ。
広い庭にまわると温室があり、そこには四季折々の花が咲いている。体験教室ではブルーベリーをベースにあんずやラズベリーなどのジャム作りが行われていた。ひとり 800円で2名以上から。
/TEL 0555-76-8232

●河口湖ハーブ館

国道137号線を御坂峠から下り、有料の河口湖大橋(200円)を渡ってすぐ左にある。湖畔に面した広い駐車場(無料)の前に、花々に囲まれた可愛い館がある。
中に入るとかぐわしい花の香りに包まれ、思わずうっとりしてしまう。天井一面に下げられたドライフラワーのトンネルをくぐると、多彩なハーブが植えられた庭に出る。
ティールームでは25種類ものハーブティーが楽しめる。体験教室では、ハーブアレンジフラワー(1,000円より)、押し花はがき、しおり(350円より)作りを教えてくれる。
/TEL 0555-72-3082

●その他の施設

富士山には噴火の際、溶岩の流れる途中に樹木を取入れ固まってできた空洞が約200個ある。これを「溶岩樹型洞窟」という。この地質学上世界的にも貴重な洞窟群を散策しながら、さまざまな自然を体験する河口湖フィールドセンターがある。自然解説員が案内するガイドプログラムは15名までで1時間3,000円。2時間5,000円。1名増すごとに200円追加。(要予約)
日帰り野外炊飯の創造の森ディキャンプ場オートキャンプ場もあり、野外炊飯セットの貸し出しもしてくれる。一人900円から。
/TEL 0555-72-4331

●忍野村

河口湖から国道138号選を10kmほど山中湖へ向けて走ると、忍野村への分岐点経出る。国道から左へ少し入った小道を辿るとすぐに、無料駐車場がある。車を止めて八海へは徒歩で。3分ほどの距離だ。
富士山の伏流水が8つの池となって湧き出す名水の村。「忍野八海」にこんこんと湧く清水、そこからあふれて流れる川はほとりに佇む人の心まで清めてくれる。
忍野村の水はもちろん名水100選にえらばれ、富士飲料水として売られてもいるが、自分でボトルを用意していけば、沸き水を自由に持ち帰ることもできる。またこの水を使いソバを打つ店も多く、なかでも、薬味と焼き味噌をかけた、ぶっかけソバを食べさせてくれる天祥庵はなかなかの味だ。 /TEL 0555-84-4119

しかし忍野村では名水もさることながら、保存された萱ぶきの民家の向こうに見る富士山の眺めは、まさに絵になる構図だ。この日は雲間に僅かに頂をのぞかせただけだったが、それでも満足のいく風景だった。

●道志村

山中湖から国道413号線は神奈川県相模湖町を結ぶ約40kmの山の中を走る長い道だ。神奈川県との県境に位置する鳥井立峠から富士山が見えると聞き、長い山道を走って来たが、それらしい峠への道が見つからなかった。幸い道志村役場を見つけて訊ねたら、確かに「富士山の見える峠がある」と教えてくれた。が、鳥井立峠というのは神奈川県側の名で、山梨県では御牧戸峠という。
荒れた狭い道をローギァだけで15分ほど上ると、幾重もの尾根の向こうに立派な富士が見えるが、午前中だけだという。間もなく午後5時だ。雲の広がった空を仰ぎながら相模湖へと下った。



富士山の見える宿

●河口湖湖畔

ホテルニュー富士
御坂峠から国道137号線を下った河口湖大橋の手前、湖畔の南東沿いに建ち並ぶホテル街にある。ここは最も富士山の眺めのよいところだ。
岩風呂の展望風呂からの富士の眺めも最高だが、和室が主体の38室全室とレストランから、秀麗な富士がほしいままだ。日本でも有数の観光地とあって、設備も整っている。天然温泉ではないのが残念だが、風呂は24時間入浴可能。満月の夜に青黒い大空に浮かぶ富士を仰ぎながらの入浴は贅沢そのものだ。
料金/一泊二食付き1,500円から/TEL 0555-72-0297

大池ホテル
ホテルニュー富士の対岸、河口湖大橋を渡ったところにある95年にオープンというまだ新しいホテル。和室31、洋室7、それに和洋特別室を加えて47室、230名を収容できるという比較的おおきなホテルだ。部屋の3分の2から富士山が見える。予約時の希望をハッキリ言おう。
広いガラス窓の大浴場からは文句なしに富士の全容がみえる。サウナ、ジャグジーにうたせ湯と結構楽しめる。
料金/一泊二食付き2万円から/TEL 0555-72-2563


河口湖町
河口湖町公式ページ。観光施設ガイドには、記事中でも紹介した河口湖ハーブ館や河口湖フィールドセンターなどの情報もある。河口湖観光写真コンクールの写真はさすがに美しい。
THE HARADA COLLECTION
自動車、レーシングカーの100年の歴史が見られる、車ファン必見サイト。「河口湖自動車博物館」「レーシングパレス」の貴重なコレクションが見られる。
Kawaguchiko-EXPRESS
日本バスクラブ(NBC)と河口湖漁業協同組合が提供。河口湖の釣りとレジャー情報をShockWaveを多用してクールに紹介。
富士五湖Webインデックス
富士五湖ウィンドオーケストラが提供する、富士五湖地方関連サイトのリンク集。釣り情報や渋滞ポイントマップが嬉しい。

取材:1998年6月