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富士山の見える峠と宿
山梨東部編



富士山の見える範囲は意外に広く、1940年に地質学者辻村太郎が書いた『富士見十三州』によると、北は福島県から南は岐阜、三重、滋賀、そして日本海の富山、福井県まで19の都道府県から見えるという。この広い範囲の中から、富士山の見える峠を探し、その峠を結んでドライブしていきます。今回はその第3回目、山梨東部編です。

上野原から塩山柳沢峠へ

山梨県には、太宰治の「富嶽百景」の御坂峠に代表されるように、富士山を眺めるビューポイントが沢山ある。もちろん富士見の峠も数々あるが、残念ながらその多くは、車の通れない山道で、ハイキングコースの中にある。
今回は、一般観光地とは少し趣を変え、山の中に細々と続く国道や県道それに林道を結びながら、いつもとは違った角度から富士山を眺め、新緑の樹木の中をのんびり走ってみた。それは車に乗ってのハイキング気分でもあった。


山梨東部

東京−(中央高速)−上野原IC−(県道及び国道138号線経由)−丹波村−(国道411号線、通称青梅街道)−柳沢峠−塩山−牧丘町−乙女高原−(水ヶ森林道経由)−山梨市−勝沼IC−(中央高速)-東京 (約370km、日帰りまたは一泊二日)


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●上野原町

5月ゴールデンウィーク明けの7日午前7時、天気予報を信じて朝もやの中を首都高速から中央道へ。八王子を過ぎる頃から、視界が広がり青空がのぞく。待ち望んだ青空だ。

都心から約70km、1時間ちょっとで上野原ICを出る。甲州街道の宿場町だった上野原町も、今では東京のベットタウンとなりつつあるという。かなり賑やかな商店街とともに真新しい住宅が目立つ。その町はずれにひょっこりと富士山の頭が覗く。八合目あたりから頂上にかけて、まだ純白の雪を頂く富士は新緑のやまなみの向こうで輝いていた。

●長寿の里・棡原(ゆずりはら)

上野原町の人家も途絶え、鶴川に架かる橋を渡ると間もなく、長寿村として有名な棡原だ。正確には上野原町棡原という。つい最近までは山深い山村で、人々は林業とそばやこんにゃく、それにわずかな畑のなかでのんびりと暮らしていた。その自然の恵みの中でののどかな生活が、気がつけば、日本では一、二位を競う長生きの里になっていた。
一昨年はこの場所を天皇、皇后両陛下が訪れたとあって小さな山村は大騒ぎとなったという。「ふるさと長寿館」では長寿まんじゅうや長寿そば、味噌が売られ、この地方で食べられてきた麦、きびなどを使った長寿定食650円などがある。

上野原町から小永田まで38km。棡原からはほとんど人家の途絶えた山の中の狭い道を行く。舗装はしてあるが、一車線で対向車よけのふくらみがところどころにあるだけという頼りない道だ。それでも奥多摩や丹波方面と結ぶ道路なので対向車も少なくないので注意したい。こうしてスピードが出せない38kmの道のりは1時間強を要する。ただし谷あいの道で視界はないが、芽吹いて間もない新緑がどこまでも爽やかで心地よいドライブが楽しめる。

国道411号線(青梅街道)へは小永田からさらに国道139号線を5kmほど行き、小菅村役場前へ。そのまま国道を辿れば東京都奥多摩町へ。もちろん奥多摩湖畔を訪ねて、青梅街道を丹波山村へ出るのもよし。だが、ここでは再び県道を約10kmを走って青梅街道へと出た。小菅村ではもう一本西へ向かう道があるが、この道の先は大菩薩峠で車道は7kmほどで行き止まりである。
小菅村や丹波村周辺は多摩川の源流とあって、ヤマメやイワナ、マスなどの釣りには最適なところ。家族連れには魚を放流された釣り場があって、河原でバーベキューもできる。これからの季節の週末は混み合う。
小菅村ファミリー釣り場/TEL 0428-87-0837
丹波山村営つり場/TEL 0428-88-0800

●柳沢峠

この峠は国道411号線(青梅街道)の最高地点にある。青梅街道は八王子から甲府までの約130km。国道としては有数の山岳路で、塩山にほど近いこの峠にたどり着くとホッとする。
峠にはドライブインと駐車場がある。この駐車場から右手に伸びた緑の尾根の上にちょっと斜めに構えたような富士山が見えた。

急いだつもりでも時刻はすでに正午をまわっていた。空は青かったが、あたりは幾分モヤがかかり、富士の頂近くには白い雲が巻き付いていた。それだも肉眼では清らかで堂々たる富士の姿がここにあった。視界のない長い山道を上ってきた者の目には、それは思わず息を飲むほどの美しい姿であった。わずかに形を変えて動く雲に、いまにもかき消されそうな富士を見つめながら、少し遅めの昼食のそばをすすった。

●恵林寺

塩山市役所前から北西に続くぶどう畑の小道を2kmほども走ると国道140号線と出会うところに武田信玄公の墓のある恵林寺がある。総門、四脚門、三門、開山堂、本堂からなる大きな寺だ。元禄2年(1330年)に建てられ、その後、武田信玄の菩提寺となった。うっそうとした樹木の中に夢窓国師作といわれる池と築山の禅宗庭園の美しさは、とくに有名だ。境内には「信玄公宝物館」があり、信玄の兜や軍旗などが納められている。
庭園見学料金/300円/TEL 0553-33-3011

●乙女高原

国道140号線は今年の4月に開通したばかりの雁坂トンネルは埼玉県秩父市と山梨県甲府市を結ぶ幹線道路として交通量も増えたと嬉しそうに話す牧丘町の真新しいガソリンスタンドで燃料を補給。ここから焼け山峠を経て乙女高原まで約20km。杣口(そまぐち)林道を行く。「一時間ぐらいかかる」とのスタンドの人の言葉通り、人家の途絶えた曲がりくねった狭い道を標高をあげながら上る。平日のせいかほとんど対向車にも行き会わず、燃え立つ緑の山をひとり占めだ。休日には山菜採りやハイキングに訪れる人も多いという。焼け山峠から乙女高原へ向かう荒川林道は「クリスタルライン」と命名され、富士山はじめ南アルプスや八ヶ岳を眺める観光ドライブウェイにと、地元では力を入れているという。
高原は初夏から夏にかけてアヤメやレンゲツツジ、アザミが咲く。その色とりどりの高原の中空に浮かぶ富士山はことのほか見事である。

●水ヶ森林道

乙女高原からいくつもの林道を結んで走るクリスタルラインをそのまま辿ると八ヶ岳山麓の清里へと通じるが、ここでは少し戻って水ヶ森林道を南へ下る。林道とはいえ、水ヶ森への分岐点までは舗装道路だったが、これから先はダートロードだ。しばらく森林に覆われた稜線づたいを辿るが、間もなく、緑の梢越しに富士山が現れては樹木の中にまた消える。
路面に気を付けながらも少しずつ下る。カーブごとに富士山と南アルプス、八ヶ岳、奥秩父の山々が、交互に大きく高くその姿を変えながら、いつまでも目を楽しませてくれる。時折、山菜採りに来たという年配の人たちの車に行き会うだけ。
あたりにはしきりにウグイスの声がする。エンジンを止めて車外へ出れば、わずかな風にそよぐ緑と若草の匂いが鼻をくすぐる。

水ヶ森林道は距離にしてわずか23kmだが、何度も車を止めて山々を眺め新緑に酔い、そして小鳥の声に耳を傾けながらのドライブは2時間も要してしまっていた。林道の終わりでもある大良峠で甲府へ出る道と山梨市へ向かう県道にぶつかったが、甲府への道は今年の10月まで工事で全面通行止め。山梨市へと下る。

山梨市まで17km。水口まで下ると人家に出会う。古い一軒の家を迂回するように道は不自然に大きく曲がる。そこには大人3人が抱えるほどの丸い石のお地蔵さんがあった。その昔、山からころがってきたこの石の下敷きになって村人2人が亡くなったという。大きな石はそのままお地蔵さんになり、いまでも村人が手厚くまつっている。
そんなのどかな山里を下ると、一面のぶどうや桃畑が広がる。このあたりは塩山八景の一つ、「塩山桃源郷」のみどころでもある。

●勝沼

町のいたるところにぶどう畑の広がる勝沼町は、日本のワイン発祥地でありワインの町でもある。町には130軒ものぶどう狩り園がありワイナリーも大小合わせて30社もある。ここは国産ワインの30パーセントを生産する、まさにワインのメッカである。一つ一つのワイナリーを回り、好みに合ったワインを見つけるのも、この街で遊ぶ楽しみ方だが、時間のない人は、「町営ぶどうの丘」を訪ねることを薦めたい。甲府盆地を見下ろす高台にある。勝沼産のぶどうやワインが並び、200銘柄のワインの試飲ができる。またぶどうやワインを使った料理のレストランもある。ただしドライバーは料理だけでワインは我慢すること。
TEL 0553-44-2111



富士山の見える宿

●笛吹川温泉

坐忘(ざぼう)旅館
国道140号線をJR塩山駅へ向かう少し手前、笛吹川沿いに位置する情緒豊かな純和風温泉旅館。男女露天風呂のほか約30mもある洞窟風呂がある。静かで贅沢な離れ部屋を含めて8室。上品な懐石料理が味わえる。
一泊二食付き1万8,000円〜/TEL 0553-32-0015

●石和温泉郷

甲府市の東、笛吹川沿いに広がる石和町は温泉の町。「新日本観光地100選」で全国第3位、グループ、ファミリー旅行部門でも4位に選ばれたというのが自慢の温泉の町である。春から夏にかけては花と祭り、とくに6月は鮎のシーズンで「鵜飼い」も行われる。そして秋にはぶどう狩りと四季を通しての楽しみがある。収容人員1,500名の大きなホテルから40名ほどの落ち着いた旅館まで60軒を超える宿泊施設がある。料金も1万5,000円〜5万円位と幅広い。
問い合わせ/石和温泉旅館協同組合/TEL 0552-62-3626



雁坂道路トンネルが開通

4月23日一般国道としては日本最長の6,625mの山岳トンネルが140号線に開通、埼玉県と山梨県が結ばれた。埼玉、山梨をまたぐ雁坂嶺(2,289m)と水晶山(2,158m)の間にある標高2,882mの峠で、かつては秩父往還と呼ばれ、人と物と文化が行き交った道。また富士山やお伊勢参り、あるいは秩父霊場巡りへの信仰の道でもあった。
自動車道としては長い間とざされていた道も雁坂トンネルの開通によって、新しい歴史の一ページのはじまりと、地元では大歓迎だ。

通行料金/普通車 710円、中型車 860円、大型車 1,170円
歩行者、自転車は通行禁止


多摩源流 小菅の湯
東京近郊の温泉を、車で日帰りで行ける公共の温泉施設を中心に実際に取材して掲載。「おすすめ日帰りコース」を参考に。
塩山市
個人が制作。「果実の里」の観光案内など。「塩山八景」について詳しく知りたい方もこちらへ。
勝沼町公式ホームページ
「50音かつぬま大百科」で勝沼のすべてをどうぞ。ワイン風呂の情報や、ぶどう狩りのシーズンも分かる。

取材:1998年5月