千葉・外房 冬の展望ドライブ(2)

屋上の展望スペースから眺めた、屏風ヶ浦の絶壁の連なり 御宿からは国道128号線をさらに北上し、九十九里浜の最南端に位置する「太東埼」へ。その後、九十九里浜に沿って真っすぐに延びる「九十九里ビーチライン」(県道30号線)をひた走った。夏には海水浴客で混雑するだろうこの道路も、冬の時期は交通量も多くなく、快適に走れた。一宮からは海岸線を眺めながらドライブできる「九十九里有料道路」(通称「波乗り道路」)に入ろうかとも思ったが、津波対策工事のため、残念ながら全面通行止めとなっていた。
海岸線の展望を楽しむ一方で、江戸時代の名工“波の伊八”の彫刻が見られる「飯縄寺」や、日本初の実測地図を作った伊能忠敬の生誕地である「伊能忠敬記念公園」など、房総の歴史に触れるスポットにも立ち寄った。
関東平野の最東端・犬吠埼の突端にそそり立つ「犬吠埼灯台」で太平洋の壮大な風景を満喫したあとは、展望ドライブの締めくくりとして「地球の丸く見える丘展望館」へ。着いたのはちょうど夕暮れどきで、大空を茜色に染めながら水平線に沈む夕日を眺めることができた。

ドライブルート

東京都内−(東京湾アクアライン、首都圏中央連絡自動車道)−市原鶴舞IC−(国道297号線)−勝浦−(国道128号線)−鴨川−(国道128号線)−御宿−(国道128号線、県道30号線)−九十九里−(県道30号線、国道126号線、県道286号線、県道254号線など)−犬吠埼

全行程 約240km、今回行程 約90km

<赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします>

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太東埼灯台

太平洋に面して全長66kmにわたって遠浅の砂浜が広がる九十九里浜。海水浴のほか、サーフィンやジェットスキーなどマリンスポーツのメッカでもあるこの長大な海岸の最南端に位置するのが太東埼であり、そのシンボルが「太東埼灯台」である。
灯台へは、国道128号線を「太東灯台入口」交差点で右折後、案内板に従って細い道路を進み、急な坂道を登っていく。駐車場からして絶景で、車を降りると目の前には青く輝く太平洋が見渡すかぎりに広がっていた。
こんもりとした緑の森を背にして立つ太東埼灯台は、高さ15.9メートルの中型灯台で、その光は21海里(約38km)まで照らすという。かつてはもっと海沿いに建てられていたが、浸食による大規模ながけ崩れのため、昭和47年(1972)に今の場所に新設されて現在に至っている。

  • 太東埼灯台の駐車場。すぐ目の前に太平洋が広がる

    太東埼灯台の駐車場。すぐ目の前に太平洋が広がる

  • 太東埼から南側を眺める。正面は夷隅川の河口

    太東埼から南側を眺める。正面は夷隅川の河口

  • 太東埼灯台

    太東埼灯台

  • 戦時中、米軍機の接近を探知する電波探知機が置かれた礎石。太平洋に面した場所ならではの戦争の遺物だ

    戦時中、米軍機の接近を探知する電波探知機が置かれた礎石。
    太平洋に面した場所ならではの戦争の遺物だ

仁王門。寺内でもっとも古い建物。室町期様式の藁葺き屋根が特徴

仁王門。寺内でもっとも古い建物。室町期様式の藁葺き屋根が特徴

飯縄寺

太東埼灯台から国道128号線に戻る途中、「飯縄寺」にも立ち寄った。寺の開山は大同3年(808)。江戸中期には上野寛永寺の直轄となり、地元はもとより江戸からの参詣人も多く、栄華を極めたという。現在の本堂は寛政9年(1797)に再建されたものだ。
その本堂に入り、頭上を見上げると見事な彫刻が施された欄間が目に入る。正面は「牛若丸と大天狗の図」、左右2面は「波と飛龍」と呼ばれ、ともに江戸時代の名工“波の伊八”こと、初代武志伊八郎の作品である。天井には、葛飾北斎の師として知られる三代目堤等琳の龍の墨絵が描かれていた。

  • 境内の様子。右は鐘楼、左奥が本堂

    境内の様子。右は鐘楼、左奥が本堂

  • 本堂正面。江戸時代の寛政9年(1797)に再建

    本堂正面。江戸時代の寛政9年(1797)に再建

本堂の欄間に彫られた「牛若丸と大天狗の図」。一枚板の彫刻とは思えないほどの奥行きと躍動感がある

本堂の欄間に彫られた「牛若丸と大天狗の図」。
一枚板の彫刻とは思えないほどの奥行きと躍動感がある

初代伊八は安房国長狭郡下打墨村(現在の鴨川市打墨)出身で、欄間彫刻などに数多くの名作を残している。なかでも、外房の海岸線に打ち寄せる荒波をモチーフにしたとされる横波の彫刻は立体感や躍動感があり、「波を彫っては天下一」と謳われた。葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」にも大きな影響を与えたといわれている。
ここ飯縄寺本堂の欄間を飾る「牛若丸と大天狗の図」は、鞍馬寺で牛若丸(源義経)が大天狗から巻物を伝授される場面を表現。高さ1m・幅4mのケヤキの一枚板に彫られたもので、初代伊八の最高傑作と評されている。
/拝観料 300円、TEL 0470-87-3534

  • 飯縄寺は別名「天狗の寺」と呼ばれ、境内の各所に天狗の彫刻などが残されている

    飯縄寺は別名「天狗の寺」と呼ばれ、境内の各所に
    天狗の彫刻などが残されている

  • 境内の梅のほとんどがまだ蕾だったが、一輪だけ花を咲かせていた

    境内の梅のほとんどがまだ蕾だったが、一輪だけ花を咲かせていた

海の駅九十九里

房総半島の海岸線沿いにはたくさんの水産物直売所があるが、片貝漁港に隣接する「海の駅九十九里」もそのひとつ。
1階は、片貝漁港から水揚げされたばかりの魚介類をはじめ、地元の農産物や加工品を販売する直売コーナー。2階はフードコートになっており、新鮮な魚介類を贅沢に使った食事をリーズナブルな価格で楽しめる。

  • 大漁旗がはためく、海の駅九十九里

    大漁旗がはためく、海の駅九十九里

  • 地元の特産品を販売する物販コーナー

    地元の特産品を販売する物販コーナー

  • ちょうど昼どきで、フードコートは賑わっていた

    ちょうど昼どきで、フードコートは賑わっていた

  • 鮮度抜群、ボリューム満点な舟盛り定食。1,000円

    鮮度抜群、ボリューム満点な舟盛り定食。1,000円

また、1階には「いわし資料館」(入館無料)を併設しており、古くからいわし漁で栄えた九十九里の歴史や文化、人々の生活に触れることができる。
/TEL 0475-76-1734

  • 「いわし資料館」入口の水槽では約3,000匹のイワシが回遊していた

    「いわし資料館」入口の水槽では約3,000匹のイワシが回遊していた

  • 2016年1月に設置された、国内唯一の「青い丸型ポスト」

    2016年1月に設置された、国内唯一の
    「青い丸型ポスト」

伊能忠敬記念公園

江戸時代、日本全国を17年もの歳月をかけて測量し、日本初の実測地図を作った伊能忠敬。彼は50歳を過ぎてから暦学・数学・測地法を学び、国土の測量という大事業に取り組んだ晩学の徒として知られているが、そのルーツをたどると九十九里に行き着く。
忠敬は延享2年(1745)、上総国山辺郡小関村(現在の九十九里町小関)に生まれる。のちに17歳で下総国香取郡佐原村(現在の香取市佐原)の酒造家伊能家の婿養子となるのだが、それまでの少年時代を海沿いのこの地で過ごした。
「伊能忠敬記念公園」は忠敬の出生地にあり、園内には「伊能忠敬先生出生之地」の記念碑や忠敬の銅像が建っていた。

  • 看板の案内に従って、細い道を入っていく

    看板の案内に従って、細い道を入っていく

  • 記念公園全景。小さな公園

    記念公園全景。小さな公園

  • 園内に建つ「伊能忠敬先生出生之地」の碑

    園内に建つ「伊能忠敬先生出生之地」の碑

  • 伊能忠敬の銅像

    伊能忠敬の銅像

  • 測量の様子を描いた絵も飾られていた

    測量の様子を描いた絵も飾られていた

蓮沼海浜公園

展望塔を見上げる

展望塔を見上げる

九十九里ビーチライン(県道30号線)を走っていたら、「蓮沼海浜公園」と書かれた案内看板が目に入ってきたので、ちょっと寄り道をしてみることに。公園に近づくと、まず見えてきたのは大きな展望塔。周囲に高い建物がないため、遠くからでもひときわ目立って見えた。駐車場に車を置き、展望塔に登ると、九十九里の海岸線をはじめ、周囲の景色がぐるりと一望にできた。
園内の「こどものひろば」にはさまざまなアトラクションもあるようだったが、訪れた日は営業期間外だったため、どれも稼働していなかった。ちなみにアトラクションの営業は、土日祝日、春・夏・冬休み、GW期間とのことだった。
/入園料 無料、TEL 0475-86-3171

  • 九十九里浜の海岸線が遥か彼方まで続く

    九十九里浜の海岸線が遥か彼方まで続く

  • さまざまなアトラクションがあるが、訪れた日は営業期間外でひっそりとしていた

    さまざまなアトラクションがあるが、訪れた日は営業期間外でひっそりとしていた

刑部岬

園内に建つ飯岡刑部岬展望館

園内に建つ飯岡刑部岬展望館

外房の数ある展望スポットのなかで、九十九里浜の北端にあたる「刑部岬」も外せない場所のひとつだ。
外房の海岸線は、刑部岬を境としてその景観を一変させる。西に目を向ければ、遠浅の九十九里浜が弧を描いて、遥か彼方まで果てしなく続いている。岬から東、銚子市名洗にかけての海岸線は「屏風ヶ浦」といい、九十九里浜とはうって変わって高さ40〜50mの絶壁が屏風のように約10kmにわたって続いており、その雄大な景観から「東洋のドーバー」と呼ばれている。なお、屏風ヶ浦の岸壁は、岬の上からは見られず、岬の西側の飯岡港あたりから眺めることができる。

刑部岬という地名は、平安時代末期に源義経の四天王の一人・片岡常春の家老であった鬼越刑部栄定がこの岬の崖下近くに居宅を構えていたことに由来する。
現在は公園として整備され、敷地内には飯岡灯台や飯岡刑部岬展望館などがある。岬からの眺望は「日本の夕日百選」「日本の朝日百選」「日本夜景遺産」「日本夜景100選」などに選定され、訪れたときは残念ながら望めなかったが、空気の澄んだ晴天時には水平線に浮かぶ富士山の姿を遠望することもできるという。

  • 飯岡灯台。写真右端は、飯岡港の堤防

    飯岡灯台。写真右端は、飯岡港の堤防

犬吠埼灯台

犬吠埼灯台は、レンガ造りの白亜の灯台

犬吠埼灯台は、レンガ造りの白亜の灯台

犬吠埼は関東の最東端に位置し、山の頂上や離島を除いて、日本で一番早く初日の出が望める場所としても知られている。
地名の由来には、源義経にまつわる伝説がある。兄・頼朝に追われて奥州へ逃れる途上、銚子に立ち寄った義経はこの地に愛犬を残して去ったが、主人を慕う犬は七日七夜、岩頭で吠え続けた。そこから犬吠埼という名がつけられたといわれている。

その突端にそそり立っているのが、明治7年(1874)に英国人リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計・監督のもとで作られた「犬吠埼灯台」だ。日本で初めて国産レンガを使用して建設された灯台で、高さは約31m。内部の99段のらせん階段を上っていくと、灯台上部の展望テラスに出られる。眼下には広大な太平洋や君ヶ浜の長い海岸線、ジオパークに指定されている海岸の岩場などを見渡すことができ、素晴らしい絶景を堪能できた。
敷地内にはほかに、犬吠埼灯台の歴史などを解説する資料展示館や、歴史的にも価値が高い明治43年(1910)建造の霧信号所霧笛舎などを併設している。
/入館料 200円、TEL 0479-25-8239

  • 99段の狭いらせん階段を登って展望テラスへ

    99段の狭いらせん階段を登って展望テラスへ

  • 展望テラスからの眺め。見渡すかぎりの青い海

    展望テラスからの眺め。見渡すかぎりの青い海

  • 展示室に飾られていた、灯台建設当時の錦絵

    展示室に飾られていた、灯台建設当時の錦絵

  • 資料展示館。灯台の歴史などをパネルや資料で解説

    資料展示館。灯台の歴史などをパネルや資料で解説

  • 霧信号所霧笛舎に展示された、犬吠埼灯台の初代レンズ。フランスから輸入されたもので、昭和26年(1951)まで使用されていた

    霧信号所霧笛舎に展示された、犬吠埼灯台の初代レンズ。フランス
    から輸入されたもので、昭和26年(1951)まで使用されていた

  • 霧の危険を沖行く船に知らせる霧鐘。青森や北海道の灯台で明治10年(1877)から昭和12年(1937)まで使われていた

    霧の危険を沖行く船に知らせる霧鐘。青森や北海道の灯台で
    明治10年(1877)から昭和12年(1937)まで使われていた

  • 付近の海岸は銚子ジオパークのジオサイトに指定。貴重な地層や化石が見られる。写真は、地殻変動で傾斜して現れた砂岩泥岩交互層

    付近の海岸は銚子ジオパークのジオサイトに指定。貴重な地層や化石が見られる。
    写真は、地殻変動で傾斜して現れた砂岩泥岩交互層

  • 灯台の近くには「犬吠埼マリンパーク」もある

    灯台の近くには「犬吠埼マリンパーク」もある

  • 銚子電鉄の廃線の危機を救ったことで有名な「銚子電鉄のぬれ煎餅」をお土産に買った

    銚子電鉄の廃線の危機を救ったことで有名な
    「銚子電鉄のぬれ煎餅」をお土産に買った

地球の丸く見える丘展望館

外房ドライブの最後に立ち寄ったのは、犬吠埼と銚子マリーナのちょうど間ぐらい、下総台地の高所である標高73.6mの愛宕山の頂上にある「地球の丸く見える丘展望館」だ。
到着したのは16時15分ごろ。入口の看板を見ると「本日の日没 16時49分」とあるので、急いで屋上へと上がった。屋上の展望スペースは360度の大パノラマが広がり、北は利根川やその先の茨城方面、東と南は太平洋の大海原、西は屏風ヶ浦の岸壁をぐるりと見渡せ、南西の方角には光輝く夕日があたりを茜色に染めながら今まさに水平線に沈もうとしていた。しばしその絶景に見とれてしまった。
/入館料 380円、TEL 0479-25-0930

  • 展望館のエントランス。ゆるやかな坂道を登っていく

    展望館のエントランス。ゆるやかな坂道を登っていく

  • 太平洋に沈む夕日。とにかく天気に恵まれた2日間だった

    太平洋に沈む夕日。とにかく天気に恵まれた2日間だった

  • 屋上の展望スペースから眺めた、屏風ヶ浦の絶壁の連なり

    屋上の展望スペースから眺めた、屏風ヶ浦の絶壁の連なり

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記事・写真:谷山宏典 取材:2017年1月

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