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ハプスブルグ家の遺産とアルプスの自然(6)
〜ザルツカンマーグートとドナウ川のほとり〜

ドライブライン
ザルツカンマーグート(Salzkammergut)とは「塩の宝庫」の意味。ザルツブルグの南東、2,000m級の山々と70を超える湖が広がる地方で、かつて岩塩を産出する地帯であったことから、こう呼ばれていた。ここではザルツブルグから日帰りできるヴォルフガング湖周辺を訪ねた。
またザルツブルグからウィーンへの帰路で、ドナウ川流域の丘の上に聳えるメルク(Melk)の大修道院へと立ち寄った。オーストリア・バロックの至宝とまでいわれる華麗な修道院に、マリー・アントワネットはルイ16世のもとへ嫁ぐ直前、一泊していた。
街並みの背後に巨大な修道院
サムネイル1 サムネイル2 サムネイル3 サムネイル4 サムネイル5 サムネイル6
ドライブライン
<コース>
ザルツブルグ(Salzburg)−(N158号線)−ザンクト・ギルゲン(St.Gilgen)−ヴォルフガング湖(Wolfgangsee)−ザンクト・ヴォルフガング(St.Wolfgang)−(154号線経由−高速道路A1)−エート(Oed)−ヴァルシェ(Wallsee)−(N3号線)−メルク(Melk)−(高速道路A1)−ウィーン(Wien)
行程 約300km
赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします
<赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします>

ザルツカンマーグート(Salzkammergut)
「塩の宝庫」と呼ばれ、かつてはハプスブルグ家直轄の御料地として、帝国の財政を支えてきた地域。その中で最もザルツブルグに近いところにあるヴォルフガング湖周辺は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台としても知られているところ。この地帯には有名な観光地ハルシュタット(Hallststt)地方も含めて大小70余りもの湖が点在し、冬はウインタースポーツ、夏はハイキングやボートなどのリゾート地として人気が高い。
だが、これら湖のほとりには、大型ホテルなどは少なく、家族経営の宿やペンションが主流だ。秋から冬にかけては、スキーリゾート地を除き休業する宿が多い。それだけに個人旅行者向けで、静かな環境の中、自然をいっぱい楽しめるところでもある。
ヴォルフガング湖は静かだ
ヴォルフガング湖は静かだ
レジャーの場でもある
レジャーの場でもある
ザンクト・ギルゲン(St.Gilgen)
ヴォルフガング湖は長さ約10km、幅2km、水深はもっとも深いところでは114mもある。この地域に数ある湖の中でも美しく人気があるといわれている。湖畔に面した小さな町は、モーツァルトの生母アンナが生まれた地であり、姉ナンネルが嫁ぎ、17年間過ごしたという家もある。 町の中心部にある市庁舎前にはバイオリンを引く幼いモーツァルトの像が建つ。また世界中の楽器を集めたという「民俗楽器博物館」もあり、各国の楽器での演奏も行われている。
市庁舎前の広場
市庁舎前の広場
バイオリンを弾く少年時代のモーツァルト像
バイオリンを弾く少年時代の
モーツァルト像
ザンクト・ギルゲンのモーツァルトハウス
ザンクト・ギルゲンのモーツァルトハウス
 母と姉。モーツァルトハウスのレプリカ
母と姉。モーツァルトハウスのレプリカ
市庁舎を中心に小さなホテルや土産物屋があり、湖岸にはレストランが並ぶ。また、対岸へ向かう船の発着場もある。
この小さな町の外れに標高1,522mの展望台ツヴェルファーホルン(Zwölferhorn)へのロープウェイが出ている。赤と黄色の4人乗りの小さなゴンドラで、所要時間約15分と長い。
ツヴェルファーホルンへのロープウェイ
ツヴェルファーホルンへのロープウェイ
ザンクト・ギルゲンの町を一望しながら牛の遊ぶ牧草地帯を過ぎ、展望台へ近づくにつれ天候が怪しくなっていった。山頂への道を歩き出すころ、突風とともに大粒の雨が降り、周囲は雲に包まれ視界がなくなった。展望台からは眼下にヴォルフガング湖と周囲には2,000m近い山々が見渡せるはずだった。
稜線は花が一杯だった
稜線は花が一杯だった
中腹の売店。テラスが賑わう
中腹の売店。テラスが賑わう
ロープウェイの駅は道路沿いだ
ロープウェイの駅は道路沿いだ
ザンクト・ヴォルフガング(St.Wolfgang)
細長いヴォルフガング湖の北側に、切り立った岩山を背に立つ白亜の教会があり、その影を湖に落とす風光明媚なところ。
この教区教会(Pfarrkirche)は巡礼教会として、多くの信者が集まる。976年にヴォルフガング司教が、神のお告げに従い建てた聖ヴォルフガング教区教会。1429年に火災で焼失したが、現在の建物は1477年に後期ゴシック様式で再建されたもの。
湖と教会の見えるレストラン
湖と教会の見えるレストラン
教区教会
教区教会
案内板から目的地を探すのも苦労する
案内板から目的地を探すのも苦労する
最盛期には、年間7万人もの巡礼者が訪れたといわれている。みどころは、1481年にチロルの芸術家が10年の歳月をかけて制作したという祭壇画だ。
教会をめぐる石造りの壁に、湖に向けていくつかの覗き窓があり、そこには対岸の緑の山々を映した湖面が眺められる。教会近くの船の発着場からはザンクト・ギルゲンと結ぶ定期船が出ている。
教会のテラスからの眺め
教会のテラスからの眺め
町の中心部は中世を思わせる建物が並ぶ。多くはホテルやレストラン、土産物屋などで賑わっているが、町を一歩出ると、牧草地帯で牛や羊が草を食むのどかな風景が広がっていた。土産物屋に並ぶ羊毛製品の多さがうなずけた。
ローカルロードには畑が広がっている
ローカルロードには畑が広がっている
町の中心部
町の中心部
ヴォルフガングの町
ヴォルフガングの町
町を巡る観光馬車
町を巡る観光馬車
土産は羊毛製品と共に木彫りが目立つ
土産は羊毛製品と共に木彫りが目立つ
この町を訪れる人の多くの目的は、町の背後に聳える標高1,783mのシャーフベルグ(Schafberg)山へ登ること。映画『サウンド・オブ・ミュージック』にも登場した蒸気のシャーフベルグ鉄道で登る。頂上からはいくつもの湖や山々を360度見渡せる展望台がある。晴れた日にはぜひ登って欲しいとガイドブックにはあったが、残念ながらこの日は好天に恵まれなかった。
ドナウ(Donau)川のほとり
ザルツカンマーグートを北へ、高速道路A1をウィーン方面へと向かう。ウィーンへの帰路、単調な高速道路をひた走るのも飽きたころ、ドナウ川のほとりにコースを変更。ザルツブルグより約150km走ったところで、地図を便りにOedというICを出て川沿いへと下る。
しばらく下るとヴァルシェ(Wallsee)という小さな町に着いた。そこはドナウ川の岸辺で、オーストリア北部の都市リンツ(Linz)から約25km西の地点だった。
ハイウェイ上に渦巻く雲
ハイウェイ上に渦巻く雲
ドナウ川沿いに町がある
ドナウ川沿いに町がある
ドナウ川の蛇行地点に、綺麗な町があった
ドナウ川の蛇行地点に、綺麗な町があった
つい最近まで使われた大がかりな水車小屋があった
つい最近まで使われた大がかりな水車小屋があった
トレッキング・ルートも沢山ある
トレッキング・ルートも沢山ある
大河ドナウには大きな中州があり、2つになった川の一方は堰き止められダム湖となっていた。片側一車線の橋を渡り北岸へ。川に沿って走る国道3号線から、ドナウ川を行き交う物資を運ぶ大型船や観光客を乗せたクルーズ船などを眺めながら約35km先のメルクへと辿った。
タンカーが遡る
タンカーが遡る
大きな中州への道
大きな中州への道
交互通行の橋を渡ると中州
交互通行の橋を渡ると中州
メルク(Melk)
メルクからクレムス(Krems)にかけての約35kmのドナウ川流域、ヴァッハウ(Wachau)渓谷は、ドイツから黒海へと続く約3,000km余のドナウ川の中で最も美しいところといわれている。
古くから交通の要衝でもあったこの地域の岸辺には、古城や修道院などが建ち、ドナウ川クルーズのハイライトともいわれるところ。最大のみどころは大修道院だ。
メルクの修道院が目の前に…
メルクの修道院が目の前に…
街並みの背後に巨大な修道院
街並みの背後に巨大な修道院
11世紀、ドナウ川を見下ろす岩山の上に、レオポルド2世によりベネディクト派の修道院が建てられた。修道士の学校でもある修道士校は12世紀に創設され、幅広い写本収集でも知られるようになった。
現在の全長320m、尖塔の高さ65mというオーストリア屈指のバロック建築となったのはハプスブルグ家時代の18世紀だ。内部には皇帝一家のための部屋や女帝マリア・テレジア、夫フランツ・シュテファン帝の肖像画がある。その他みどころは大理石の間の天井や壁に描かれたフレスコ画など。また中世の手書き書や図書館に治められた10万冊にも及ぶ書物で、最も古いものは9世紀に遡るという。
メルクの中心。大きなワイン樽は、生産地をアピール
メルクの中心。大きなワイン樽は、生産地をアピール
町から長い階段を上る
町から長い階段を上る
修道院正門
修道院正門
門を潜ると王宮のような広場と建物に圧倒される
門を潜ると王宮のような広場と建物に圧倒される
教会テラスからドナウ川支流メルク川
教会テラスからドナウ川支流メルク川
ドナウ川を往く遊覧船
ドナウ川を往く遊覧船
広場の通路は全て石畳
広場の通路は全て石畳
テラスから見る尖塔
テラスから見る尖塔
天井画
天井画
礼拝堂
礼拝堂
宝石や黄金で作られた宝
宝石や黄金で作られた宝
大修道院のあるメルクだが、町は小さく、ホテルも少ない。とくにレストランはホテルに併設されたところ、あるいはファーストフード店のようなところを利用する。土産物屋には、この地方産地のアプリコットのジャムやチョコ、リキュールから化粧品などが並ぶ。
観光地でありながらホテルが少ないのは、ウィーンからクルーズや電車・バスなど交通の便もよく、日帰りツアーが可能な距離であるからと、小さなホテルの主人は言った。
土産は修道院のものが多い
土産は修道院のものが多い
メルクの街
メルクの街
町中にはこんな通路も
町中にはこんな通路も


オーストリア政府観光局
「主要都市と景勝地」では、ウィーン、ザルツブルク、インスブルックほか全9つの州都や世界遺産のワッハウ峡谷などが紹介されている。

取材:2014年6月
※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。