ハプスブルグ家の遺産とアルプスの自然(2)
〜インスブルック市街とチロルの山々〜

旧市街のメインストリートウィーンから西へ約500km、高速道路を一気に走りインスブルックへ。インスブルックはオーストリア西部に位置するチロル州の州都で、「イン川にかかる橋」という意味を持つ。
周囲を標高2,000m級の山々に囲まれた町は、12世紀ころから川のほとりに人々が住みはじめ、15世紀にはアルプスの東西南北を結ぶ交易路として発展した。現在も当時の面影を残す古い建物のある旧市街がある。また、登山やハイキング、とくに1964年と1976年の2度にわたる冬季オリンピック開催地であったことから、ウィンタースポーツの拠点として賑わっている。

コース

ウィーン(Wien)−(高速道路A1−A8−A93)−インスブルック(Innsbruck)−シュトゥバイタール(Stubaital)−インスブルック−オーバーグルグル(Obergurgl)

行程 約720km

赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします

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インスブルック旧市街

1765年、マリア・テレジアの息子レオポルト2世の結婚記念に建てられた凱旋門がイン川の南にある。ここからマリア・テレジア通りがはじまり、イン(Inn)川と、そこにかかるイン橋の一画にある旧市街への入り口まで約300mで終わる。

  • イン川に架かるイン橋

    イン川に架かるイン橋

  • 町の名となった橋の名前

    町の名となった橋の名前

旧市街のメインストリートはヘルツォーク・フリードリヒ(HerzogFriedrich)通りという約200mの通りだ。両側には、1階にエルカー(Erker)と呼ばれる出窓があるゴシック様式の建物が並ぶ。細い路地を含めても2時間もあれば一回りできるこじんまりした町だ。
そこには王宮と並んで聖ヤコブ教会(DomzuSt.Jakob)がある。この町を一望するなら市の塔(Stadtturm)へ登ること。ただし、148段もの階段を上がる。

  • 旧市街のメインストリート

    旧市街のメインストリート

  • 窓の飾りは日本のこて絵に似ている

    窓の飾りは日本のこて絵に似ている

インスブルックのシンボルともいわれる「黄金の小屋根(GoldenesDachl)」がまぶしく輝いている。皇帝マクシミリアン一世が1494年に広場で行われる行事を見物するために造らせたもの。金箔を施した屋根の銅板瓦は2,675枚、バルコニーの手すりには、皇帝と最初の妻(落馬で死亡)と二人目の妻のレリーフがはめ込まれている。
塔の上からは見えないが、この町で一番古いホテル、ゴルデナーアドラー(GoldenerAdler)が近くにある。王侯貴族からモーツァルトやゲーテ、ハイネなどの著名人が宿泊した由緒あるホテルだ。入り口脇には、こうした人々の宿泊名簿が刻まれたプレートもある。

  • 黄金の小屋根とベランダ

    黄金の小屋根とベランダ

  • 市の塔

    市の塔

  • 名門ホテル、アドラー

    名門ホテル、アドラー

  • アドラーの有名人宿泊名簿に見入る

    アドラーの有名人宿泊名簿に見入る

王宮内の広場

王宮内の広場

唯一大きな建物は王宮で、1460年代にチロルのジークムトン大公により建てられ、1773年にマリア・テレジアによりロココ様式に改装されたもの。
内部は鏡の間や、豪華な家具調度を揃えた部屋などが見学できる。隣接する聖ヤコブ教会のバロック装飾の内陣と、天井のフレスコ画などがみどころだ。

  • 塔から広場。右に黄金の小屋根が見える

    塔から広場。右に黄金の小屋根が見える

  • 塔の最上階

    塔の最上階

  • 塔から北を見る

    塔から北を見る

  • メインストリートを見下ろす

    メインストリートを見下ろす

  • 南にはジャンプ台

    南にはジャンプ台

  • 路地裏の水飲み場

    路地裏の水飲み場

  • 聖ヤコブ教会

    聖ヤコブ教会

  • 教会の天井画

    教会の天井画

  • 旧市街外れからイン川対岸の住宅街

    旧市街外れからイン川対岸の住宅街

  • 街路のテント張りレストラン

    街路のテント張りレストラン

ハーフェレカー(Hafelekar)

  • ハーフェレカーからの展望。インスブルックとチロルの山々

    ハーフェレカーからの展望。インスブルックとチロルの山々

市内の北に聳える標高2,334mの山で、ノルトケッテ(Nordkette)連峰を一望する展望台がある。展望台へは町にあるケーブルカーからロープウェイを乗り継ぎ、行くことができる。車の場合は約4kmの急カーブの林の中、対向車に注意しながら狭い急な坂道を登る。

ハーフェレカーへのロープウェイ

ハーフェレカーへのロープウェイ

アルプスの山々の観光シーズンは7月からということもあって、山頂のレストランなどはまだ一部しか開いていなかった。ここは町からもっとも近い山であり、最新式ケーブルカーとロープウェイなどを乗り継いで気軽に山頂へ登ることができるため、シーズン中は混雑するとか。いまは静かな広い展望台からこころゆくまでチロル・アルプスの大パノラマを存分に楽しめた。

  • インスブルックの街を眼下に

    インスブルックの街を眼下に

  • ハーフェレカー頂上

    ハーフェレカー頂上

パッチャーコーフェル(Patscherkofel)

インスブルックの南、約900mの丘にあるイグルス(Igls)村は、1976年冬季オリンピックのリュージュやボブスレーの会場になったところ。市内から車で約15分、標高2,247mのパッチャーコーフェル山への登山口として村には案内所やホテル、レストランなどがある。
ここからロープウェイで途中の標高1,952mの展望台まで登ることができる。イン川を挟んで連なるノルトケッテの山々が一望され、眼下にはインスブルックの市街が見渡せる。ここからはじまる約7kmのハイキングコースは、初心者向けとして人気が高い。

  • 裏から見るジャンプ台

    裏から見るジャンプ台

  • パッチャーコーフェルのロープウェイ

    パッチャーコーフェルのロープウェイ

  • パッチャーコーフェルからのパノラマ

    パッチャーコーフェルからのパノラマ

シュトゥバイタール(Stubaital)

オーストリア最大の氷河と夏スキーが楽しめるところとして知られている。インスブルックの南西、奥深く入り込むシュトゥバイタール渓谷を進むこと約37km。チロル地方の素朴な村々を通り抜けたその谷の奥にあるムッターベルクアルム(Mutterbergalm)村から先は車が入れる道はない。
ここは3,000m級の峰々と氷河への入り口だ。スキーシーズンには賑わうところだが、いまはまだ7月から始まる夏山シーズンに向けての準備中で、スキーヤーやハイカーのためのペンションやスポーツ店からレストランまで閉まったままであった。

  • シュトゥバイタール

    シュトゥバイタール

  • デッキチェアに転がり氷河の山々を見る

    デッキチェアに転がり氷河の山々を見る

  • 遥か上の氷河までリフトが上っている

    遥か上の氷河までリフトが上っている

  • 氷河が溶けてできた川で憩う

    氷河が溶けてできた川で憩う

これよりゴンドラを乗り継いでヨッホドーレ(Jochdohle)へ行くつもりだったが、ゴンドラは途中のスキー場までのひとつしか動いていなかった。そこから先はリフトでスキーヤーだけの世界だった。6月はまだ残雪も多く、スキー用具一式が借りられるとあって、インドや東南アジアの雪のない国々から来た観光客が、初めてはくスキーに困惑したり喜んだり。一方では急な斜面を一気に滑り降りる人たちもいて、山の景色とともに、こうした光景を眺めながらコーヒーやビールを味わう楽しみがここにはある。

オーバーグルグル(Obergurgl)

チロルの風景といえば、連なる雪山、そのなだらかな斜面や、谷間に広がる豊かな緑の牧草地帯だが、チロルでもとくにそんな雄大な自然に出会えるところ。インスブルックから西へ高速道路と平行して走るルート171号線を約30km、ルート186号線を約40km入るとそこはイタリアとの国境の村でもあるオーバーグルグル。この村が一番賑わうのはクリスマスから1月上旬とイースター休暇だという。スキーヤーのパラダイスでもある。
夏でもハイカーや登山客など多くの人が訪れるが、その数はウィンタースポーツを楽しむ人々に比べかなり少なく、夏に休業しているホテルも少なくないそうだ。この日もまだ夏山シーズン前とあって山頂方面へ行く多くのロープウェイやリフトなども休業中であった。

  • オーバーグルグルの教会。端境期でホテル街は閑散としていた

    オーバーグルグルの教会。
    端境期でホテル街は閑散としていた

  • オーバーグルグルの谷。この一帯がスキー場となる

    オーバーグルグルの谷。この一帯がスキー場となる

ティンメルスヨッホ(Timmelsjoch)

オーバーグルグルから少し戻ると、イタリアへと抜ける山岳道路があり、国境のティンメルスヨッホ峠(標高2,509m)へと上る。間もなく料金所がある。この峠へのオーストリア側の約12kmは有料道路だ。急カーブを描いてグングン登り、そのカーブごとに標高が表示されている。残雪が多く、雪の回廊を上る。峠には雪をかいたばかりの駐車場があり、その上にカフェもある。行く手にはイタリアアルプスのドロミテ山群が広がり、振り向けば南チロルの山並みの大パノラマだ。

  • ティンメルスヨッホへ。雪の回廊が続く

    ティンメルスヨッホへ。
    雪の回廊が続く

  • サイクリスト頑張る

    サイクリスト頑張る

  • イタリア側は急カーブとトンネルが続く

    イタリア側は
    急カーブとトンネルが続く

  • 峠のイタリア名はパッソ・ロンボ

    峠のイタリア名はパッソ・ロンボ

  • 国境の峠は2,509m

    国境の峠は2,509m

  • チロルの山々とライダーたち

    チロルの山々とライダーたち

1991年、峠より西に聳えるオーストリア第二の高峰、標高3,768mのヴィルトシュピッツェ(Wildspitze)近くの氷河から紀元前3300年(約5,300年前)のミイラ「アイスマン」が発見された。そこは現在のイタリア領であったため、ミイラはイタリアの北部の都市ボルザーノ(Bolzano)に保存されている。
ティンメルスヨッホで国境を越えイタリアに入ると、一気に下る。道は狭く遙か遠くの谷底へと急カーブが続く。「アイスマン」に会える北部の都市まで約100kmと長い道のりだ。

  • 高山に咲く 花々

    高山に咲く 花々

オーストリア政府観光局
「主要都市と景勝地」では、ウィーン、ザルツブルク、インスブルックほか全9つの州都や世界遺産のワッハウ峡谷などが紹介されている。

取材:2014年6月

  • ※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。