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ANA機内誌『翼の王国』2006年11月号掲載誌より抜粋

[石川県能登半島]

能登半島、編集会議のときから凄く盛り上がった。旅情にあふれた、ある種「憧れの土地」なのであろう。取材に訪れてみて、確かに「他の街とは何かが違う」、とても豊かな暮らしが垣間見れた。能登に来たのはこれで3回目、それまでとは違った視点で見回ったためなのか、すべてがとても新鮮なものとして目に留まった。

実はこの取材の直前、ちょうど『釣りバカ日誌 17 〜あとは能登なれ、ハマとなれ!』が封切りされた。「おおっ、これは!」と思い、慌てて見に行った(恥ずかしながら、これまでは“バスやフェリーの中”でしか見たことがなかった)。能登取材への気持ちを高めつつも、地味に涙を流してしまう…。いい年こいて、これまで以上に涙もろくなってきている自分に、相当な危機感を抱いた。でも、「大泉洋」最高! 私、彼が東京ブレイクする前から、札幌転勤中の友人より聞かされていた。スーパーカブでベトナムを縦断したときのあの危なっかしい光景、私今度“あれ”を確かめにいこうと思う。

なお、今回も新しいスタッフが制作に加わった。このシリーズ広告、私と、前回加わったms氏と、計3名で制作を担当していく。広告においてはひとつの軸を貫き、一方WEBにおいては、それぞれの個性を打ち出していきたいと思っている。それではチーム最年少にして一番人生設計の進んでいるmm氏、続いてよろしくお願いします。(tk)


前回からこの企画に加わった先輩のms氏に引き続いて、今回からなかば強制的に企画に参加することが決定、いつのまにか飛行機に乗せられ、“広告の取材”なんて大それた名目の旅に同行することになりました。

実は僕、これまでのそんなに長くない人生の中で、“広告”“取材”はもちろん、“旅行”でさえろくにしたことがありません。修学旅行で広島・京都を訪れた以外では、つい最近まで、東は宮城、西は長野までしか行ったことがありませんでした。どこに行くのも何をするのも初めて。真新しいことばかりです。これからは、旅慣れない人間の視点を生かして、旅先の魅力を隅々まで皆さまにお伝えできたらなぁと思っています。

さて、今回の取材先である能登ですが、美しい自然や海の幸・山の幸に恵まれ、すばらしい芸術や文化、そして人情にあふれているとても贅沢なところでした。正直、つい仕事を忘れそうになるほど観光気分で楽しんでしまったこの取材。皆さまに少しでも取材の雰囲気を感じ取っていただけたら嬉しいです。(mm)

[ライターの旅のあとくち]

『夜明け間近 北の海は波も荒く〜』※ ──演歌の歌詞のせいか、「能登半島=寒々とした北のはずれ」と勝手に思い込んでいました。実際に訪れた能登の海は、キラキラと輝いて(真夏でお天気に恵まれたこともあるのでしょうが)まぶしいばかり。黒光りする能登瓦と板塀の美しい町並み、京都弁に似たやさしいお国訛り、山海の恵みを取り入れた豊かな食、美意識に貫かれた工芸品の数々…今回の旅で、能登のイメージはガラリと変わりました。声を大にして言います。能登は、豊かで美しい!(mt)
(※曲名:「能登半島」、作詞:阿久悠、歌:石川さゆり)

[イラストのわけ]

今回もいろいろなコピー案の中から検討していた。部内でも意見が割れていて、とりわけ取材に同行した私とmm氏でも食い違いがあった。結局、mm氏がラリージャパンの応援に行っている隙を突いて「これ」にしてしまった(恨んでいるだろうなあ…)。決め手は「イラストとの相性が良かった」これに尽きる。メギス・鰯・イカ・牡蠣といった「いしりの素材」からイラストを起こしてもらった。

実はこのイラスト、一回やり直してもらったものである。これまでにない過程だったのだが、mm氏がやり遂げた。彼の交渉能力、恐るべし。

ところでこのイラスト、メギス?それともイワシ? (tk)

[能登路]

日本海側最大の半島である「能登半島」を、ぐるっと回る道を「能登路」と総称している。具体的には三つの街道から成り立っている。ひとつは「能登街道」、北陸街道との追分である津幡から今浜(宝達志水町)までを結ぶ。国道159号がほぼこれに相当する。その先をぐるっと日本海側を外周し、珠洲まで至るのが「外浦街道」。国道249号がほぼこれに相当する。そして、珠洲から富山湾向きに南下し、七尾からは内陸部を突き抜けて今浜まで戻る道が「内浦街道」。国道249号と、七尾からは国道159号を辿る。

[いしり]

秋田の「しょっつる」、香川の「いかなご醤油」と並ぶ、日本3大魚醤がここ石川県の「いしり(いしる)」。いしりは「鰯」や「イカ」から作るものがほとんどだが、今回の取材先のように、「メギス」「牡蠣」などといった、“ご当地いしり”も数多くある。近年はベトナムやタイなどの「東南アジア系の魚醤(例:ナンプラー)」がメジャーになってきているため、どちらかというと「クセのある調味料」といったイメージが強いが、「いしり」は全然そんなことはない。むしろ醤油に“うまみ”が加わったという感じの、とてもおいしい調味料。貝焼きに限らず、刺身すらこれをつけて食べたいと思った。心よりおすすめする。なおこの「貝焼き」、ご飯があまりにも進んでしまうため、江戸時代に輪島では「貝焼き禁止令」が出たとか出ないとか…。

参考文献

  • 『週刊 日本の街道 No.60「能登路」』(講談社 2003年)

取材協力

  • 山海川 炭火焼料理 なるせ
    住所:
    石川県輪島市河井町二部 16-2
    電話:
    0768-22-5900

    本町商店街にて「御陣乗太鼓」を見学した後で訪れた、mm氏セレクトの居酒屋。店主のオヤジさんと一同盛り上がり、食の話に花が咲いた。「貝焼き」の“いしりのだし汁”を途中で飲んじゃってオヤジさんに本気で怒られたり、「ちょっと危ないもの(言えません)」までご馳走になったり、mm氏は興奮してms氏どころか部長にまで(!)イタ電しちゃうし…。私この時点で「今回は食をテーマにしよう」と心に決めた次第である。ほんとうにどれもおいしかった。
    どうもありがとうございました。またいつかぷらっと立ち寄りますね!

和ろうそく

七尾市に着いてまず訪れたのは石川県唯一のろうそく屋であるという『高澤ろうそく店』。登録文化財でもある店内に一歩足を踏み入れてみると、鮮やかな和ろうそくの数々…。昔ながらの実用的な和ろうそくだけではなく、季節の草花の模様が描かれているろうそく、花をかたどった水に浮かべるフローティングキャンドルやほのかに香るアロマキャンドルなど、様々なろうそくが目を楽しませてくれました。レトロな“和”とモダンな“和”が同居する、ある種独特な雰囲気のせいか、つい自腹でろうそく(ろうそくでないものまで…)を大量に買い込んでしまいました。

能登瓦

能登での移動中、まず目に付いたのは陽の光を浴びて艶々と輝く美しい民家の“瓦”…。どうひいき目に見ても築ウン十年だろう、というような家屋の屋根にまで一様に美しい瓦が乗っかっており、能登瓦の屋根が連なる風景はいつまで見ていても飽きないくらいきれいでした。取材中は、「能登はまさか瓦まで輪島塗か?」なんて冗談を言いあいながらクルマを走らせていたのですが、後から調べたところ、能登地方の美しい民家の瓦は旅好きな方には結構有名なものらしいです。それにしても、瓦に見とれたのはこれがはじめてです。(写真は『高澤ろうそく店』の瓦。)

腰巻地蔵

福浦灯台にいたるまでの小道の傍にあったお地蔵さん。「昔、船頭との別れを悲しんだ遊女がお地蔵さんに腰巻をかけて悪天候を願ったところ、その願いが通じて船頭を引き止めることができた。」といういわれがあるとのことだったので、ちょっと寄り道して行ってみました。ちなみに、写真のお地蔵さんがまとっているピンクの羽織物が腰巻地蔵のチャームポイント。ただでさえ暑い能登の夏に、毛糸の帽子までかぶせられ、ちょっとかわいそう(?)なお地蔵さんでした。

御陣乗太鼓

肝心なところでダメカメラマンぶりを発揮してしまい、ブレブレ写真での紹介になってしまいましたが、この雰囲気、伝わるでしょうか?戦国時代にこの地に攻め込んだ上杉謙信勢を、鬼面や海草を付けた村人全員で陣太鼓を打ち鳴らして、敵陣を驚かせ追い払ったという逸話があるそうです。この話の真偽のほどは定かではないのですが、身がすくむほどのおどろおどろしい形相の鬼面をつけて打ち鳴らす和太鼓の音は、腹の奥底に響きわたり、この逸話に恥じぬ迫力でした。なお、この『御陣乗太鼓』は、例年、ゴールデンウイークから11月半ばまで、輪島中心部のどこかしらで毎夜実演されています(無料)。2006年は11月18日(土)までやっているそうです。あとわずか!

にどら

輪島を訪れる人は必ず立ち寄るだろうとも思われる輪島の朝市。活気と喧騒で溢れかえる朝市通りの一角にたたずむ芋菓子屋の看板にぶら下がっていた大きな籠には、『にどら』と大きく書かれた札がついていました。ニドラ?聞きなれない言葉にふと目を留め、お店のおかみさんに言葉の意味を尋ねると、地元の言葉では背負うことを“どら”というらしく、“荷物を背負う”という意味があると丁寧に説明していただきました。(何も買わずに立ち去ってしまってごめんなさい。)こういう交流を楽しめるから、朝市を訪れる人が跡を絶たないんだろうなぁと思いました。


『写真でめぐる 立ち寄り先 完全紹介』

今回の取材は、レンタカーの走行距離が過去最長でした。今月号の特別企画では、取材で訪れたそれらの場所をすべて掲載しています。「そのほかの拾いもの」で取り上げられなかったものや、訪問先でのこぼれ話もご用意していますので、ぜひご覧ください。

企画・構成:tk
「そのほかの拾いもの」:mm
上記以外(イニシャル入り文は除く):tk