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ANA機内誌『翼の王国』2006年10月号掲載誌より抜粋

[岩手県花巻市]

今回より新しいスタッフが制作に加わった。企画立上げのときから編集会議や話の中には入ってもらっていたのだが、「はやく制作活動にも入って欲しい」とずっと思っていた。しかし、こうした仕事に“場慣れ”しているのは自分だけ。まだ時期早々じゃないかという声もあったが、思い切ってもう入ってもらうことにした。何事も経験してみないことには始まらない。

当人は段取りも何もわかったもんじゃなく、きっと当惑していたことだろう。でも、取材チームに新しい風を吹き込むという、立派な仕事を果たしてくれた。と、思う。(いや、少なくともここではそういうことにしておこう。)
それではms氏、あとをよろしくお願いします。(tk)


tk氏から、飲み屋で強引にこの取材への参加へを促され、気づけば新幹線に乗っていました。行き先は盛岡。広告の取材という、これまで携わったことのない分野の仕事が待っています。会社に戻ったら、机の上がまた収拾のつかない状況になっているんだろうな、とため息をつき、朝食のおにぎりを口にする。外を眺めると、どんよりとした曇り空。いや、遠くには稲光が見える。あぁ、せっかくの出張なのにと緑茶を口に含める。そんなことを繰り返しているうち、盛岡が近づいてきます。もう一度外を眺めると、ようやく空がぼんやりと明るくなってきました。

花巻は学生時代、原付スクーターで北海道一周旅行へ出かけた際、帰り道の4号線でスクーターが力尽きた(動かなくなった)場所という因縁の地です。結局、花巻城のある公園で野宿をし、翌日レンタカーでスクーターごと帰りましたが、今思えば、それがレンタカーとの出会いでした(残念ながらニッポンレンタカーではありませんでしたが…)。あの時は帰るのに必死で、周りを眺める余裕なんてなかった花巻。時を経て、どのように迎えてくれるのだろう。そんな期待を持ちつつ巡ってみました。

そんな感じで終始した、今回の出張取材。tk氏が僕に何を望んでいるのかは、帰ってきた今も、正直わかりません。でもそんなことはあまり気にせずに、皆さんへ取材の楽しかった様子を紹介できればと思います。それこそが、期待されていることなんでしょうから。(ms)

[ライターの旅のあとくち]

宮沢賢治の足跡をたずねた岩手の旅。宿にした『鉛の湯温泉』は、かつては入り口に「なめとこ山の熊の胆あり」という看板が出ていたという山深い温泉地です。今でも湯治客専用の自炊棟があり、映画「3丁目の夕陽」に出てきそうなレトロな売店も。野菜、蒟蒻、調味料、お茶、お菓子、衣類……なんでもありの「よろず屋」です。もしやと思い探してみましたが、残念ながら「熊の胆」は見当たりませんでした。(mt)

[イラストのはなし]

毎回広告に掲載しているコピーはひとつだが、実は複数のコピー案があがっていて、その中から最適なものを選んでいる。今回も他のコピー案があり、私本当はそっちのほうが気に入っていた。しかし!このイラストを見て、気持ちが吹っ切れた。こっちにして正解、相方の選択に委ねてよかった。…でも、きっかけは「僕この人のイラスト好きなんですよねえ」という、掲載誌を見ながらの素朴なひと言から始まっていたりする。ともあれ、ぜひまたお願いしたい。ありがとうございました!(tk)

 

[奥州街道]

奥州街道は日本橋から青森まで続く、全長約700km以上ある日本一長い街道。現在の国道4号線が、ほぼこれに該当している。ちなみにこの国道4号線も「日本一長い国道」。江戸時代の「五街道」のひとつ(宇都宮までは「日光街道」と同じ道を辿る)。
ちなみに今回取り上げたこの奥州街道が通る「みちのく」とは、磐城・岩代・陸前・陸中・陸奥の5カ国を総称する地域の名前。みちのく=“道”の奥、この道は、大和時代に制定された「五畿七道」のひとつ「東山道」をさしており、この地域よりさらに奥に位置することに由来している。

[なめとこ山、ほか]

がっかりさせてしまうとは思うが、なめとこ山には登れない。もっと言えば、そこに近づくのも難しい。それでも「ここがなめとこ山なんだ!」と実感してみたい人のために。花巻市街から県道12号線に入り、道を西北に進む。途中「花巻温泉郷」を通り抜け、豊沢川沿いにさらに進む。その先県道234号との分岐点手前に、写真のような(不親切なものですいません)看板と出くわす。それをよく見ると、「ここのことなのね」という事に気づく。なお、宮沢賢治ゆかりの施設は「花巻駅」および「新花巻駅(東北新幹線)」の周辺地域に多く点在している。

烏帽子岩(桜山神社)

花巻に向かうため、レンタカーを盛岡駅前で借りた後、盛岡市の中心部にある盛岡城に寄りました。当時の建物は取り壊されて既にないものの、その大きな石垣が私たちを出迎えてくれます。本丸跡からは市内が一望でき、お年寄りや家族連れ、高校生の憩いの場所となっていました。私は観光地となっている城よりも、こういう城跡の方が好きです。盛岡城のある岩手公園内を散策すると、当時の領主、南部氏を祀った桜山神社があります。その奥にある大きな烏帽子岩、ただただ大きいです。こんな帽子をかぶったら、首が折れちゃいますよね。

わんこそば

盛岡の名物「わんこそば」が、実は今回の目的地である花巻の発祥であることを到着してから知りました。早速食べに行くと、これがなぜか熱い。花巻のわんこそばがそうなのか、このお店のオリジナルなのか、はたまた食べる量を減らす策略なのか(結果的にあまり食べられなかった)は最後まで不明でしたが、おそばはとてもおいしくいただけました。トッピングも多彩で、僕は切り込みそば(イカの塩辛)がお気に入り。

「注文の多い料理店」?

花巻は宮沢賢治の出身地としても有名です。宮沢賢治にゆかりのあるものが、市内にはたくさんありました。中にはこの店ようなベタなものも…まぁ、お約束ということで。ただ、そのひとつひとつが丁寧で、花巻の人の宮沢賢治に対する愛情が込められているような気がしました。宮沢賢治の作品に触れるなら、宮沢賢治記念館やイーハトーブ館、童話村を訪ねてみてください。きっと、彼の生真面目な性格を感じ取れるはずです。

イギリス海岸

花巻には、実際に宮沢賢治が生活した建物や場所へ訪ねることもできます。イギリス海岸もそのひとつ。市内を流れる北上川西岸にあり、川原の泥岩からイギリスの海岸をイメージし、賢治が命名したものです。農学校の教師時代、生徒を連れてしばしば訪れ、化石を拾ったりして地学の実習をしたそうです。前日の雨で川が増水し、ウィスキー(厳密にはスコッチかな…)の似合う、イギリスらしい風景は見られませんでしたが、泥にまみれた石を拾うのに夢中になると、幼い頃から「石好き」で知られた賢治と友達になれるような気がします。

「未来都市銀河地球鉄道」壁画

tk氏自慢のスポット。昼に何の変哲もない壁を見て「期待薄」と感じていたものの、改めて見に行った夜の景色とのギャップが素晴らしい。いわゆるブラックライトで絵を照らして浮き上がらせているもので、よくよく考えるとカラオケボックスの壁紙と変わらないのに、幅100m×高さ80mのスケールにはそんな皮肉も野暮に感じます。自分の手柄に酔いしれるtk氏を写真に撮ろうとしたら、ちょうど真っ暗に…。ライトアップは日没から夜10時までとのことです。なお、壁画の向いは一般住宅なので、鑑賞はお静かに。


「番外編 〜遠野立ち寄り話〜」

いつも編集会議でターゲット地域を選定しているのだが、今回は「花巻か遠野」で最後まで悩んだ。両方しっかり見てしまえば話が早いのだが、いかんせん実質1日分の取材日程なので、欲張って「二兎を追うもの一兎も得ず」という結果になるのは避けなければならない。最終的には「花巻で行こう」ということに決めたのだが、優柔不断な性で、「時間に余裕ができたら遠野も…」と捨てずにおいた。

幸いにして花巻取材が2日目の午前中で大方の目処がついた。なので、大急ぎで遠野へと足を運んだ。文字通り「走りながらの取材」と化してしまったが、まあ自身初めての遠野訪問、行けただけ良かったと思う。それでは…

「南部曲り屋(千葉家)」

この地域の豪農・千葉家の住宅(実際に今も住んでいるというのだが…)。約200年前に建造された、代表的な「南部曲り屋」。人の住居と厩がL字型に一体化しているのが曲り屋の特徴。当時の暮らしにおける人と馬との密接なかかわりが伝わってくる。

「カッパ淵」

遠野といえば…。もはや説明不要と思う。写真はカッパ淵に着く手前にある「河童の寺(なんのこっちゃ)・常堅寺」の境内に佇む「カッパこま犬(…)」。名前どおり、頭上に丸いくぼみがあって…。(なんかまじめに説明するのがどうも)

「さすらい地蔵」?

流離人としてこの名前に心惹かれたので、時間が無い中最後に探したのがこれ。車で通るとまったくそれに気付かず、相方を残して一人で探しに走った。石碑に記してあったのは、「(途中まで省略)また、このように若者たちに人気があるので、男好きの女地蔵とも呼ばれています。」後から追いついた相方ともどもしばし無言…。皆さんもぜひ、この「徒労の果ての虚しさ」を体感して欲しい。

 

参考文献

  • 『週刊 日本の街道 No.12「奥州道中(3)」』(講談社 2002年)
  • 『集英社文庫・銀河鉄道の夜』宮沢賢治著(集英社 1990年)
  • 『新潮文庫・注文の多い料理店』宮沢賢治著(新潮社 1990年)

取材協力

  • 藤三旅館
    住所:
    岩手県花巻市鉛字中平 75-1
    電話:
    0198-25-2311(代表)
    Web:
    http://www.ginga.or.jp/
    ~namari-onsen/

    夕食ぎりぎりの到着や、夜間のわがまま外出にも快く対応いただいた上に、いろんなことを教えてもらいました。そして何より食事とお風呂に大満足です。どうもありがとうございました。
    〜「ライターの旅のあとくち」参照


企画・構成:tk
「そのほかの拾いもの」:ms
上記以外(イニシャル入り文は除く):tk