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ANA機内誌『翼の王国』2006年9月号掲載誌より抜粋

[京都府京都市左京区]

京都・・・
私に限らず、日本人にとってここはとっておきの場所。十分企画を暖めてから京都を取材しよう。なんて思っていたのだが、気が付いたら自ら第2号で取り上げてしまった。地域バランスを考えるなんて言いながら、単に待ちきれなかったのか。今振り返ると、自分でも良くわからない。

個人の趣味でこれまで全国各地を訪れてきたが、実は京都には疎かった。仕事の縁で京都駅や京都市街に行く機会は何度かあったのだが、これまでじっくり京都を見て回ったことは「修学旅行以来」なかった。

正直なところ、本当に見てまわりたかったのは、「ベタな京都」。なんせ修学旅行のときなんて、友達とふざけていた記憶しかない。あんな豪華な駅ビルができる前の京都タワーとか、改修中で意味ない清水寺とか、ぜんぜんお城っぽくない二条城とか・・・。しかし、この広告の大命題である「レンタカーをうまく使って」となると、とたんにこれらの修学旅行コースがだめになる。実際、地下鉄・バス・レンタサイクルのほうがよっぽど上手に見て回れる。

そんなわけで目を向けた地は「鞍馬・貴船・大原」。ちょうど車を使うのが程よいところである。大原は昔「立ち寄った」ことがあったが、鞍馬と貴船は初訪問だった。取材は6月に行ったのだが、実に心地よい気候であった。確実に市街と気温が違う。貴船はまさに「平安京の避暑地」という感じであった。“東人”にわかりやすく言えば、「ちょっと近くの軽井沢」といったことろか。

ただ、どうしても悔やまれることがある。

最後におまけで「仁和寺」に立ち寄るとき、もろ「金閣寺」を通過することになった。仁和寺も独特の雰囲気を持っていたけど、やっぱり、15年ぶりに金閣寺と再会したかったなあ!(ところであいつらは元気にやっているのかな。tk)

[ライターの旅のあとくち]

山椒は日本中に自生する木ですが、鞍馬一帯のそれは特に香り高く良質だとか。その山椒を使ったお土産を、門前で買い求めました。「木の芽煮」は、山椒の実と葉を昆布と一緒に甘辛く炊き上げた鞍馬名物。鞍馬寺が建立される以前から鞍馬の常食だったといいますから、修行中の牛若丸も食べたかもしれません。もうひとつは「雲珠(うず)桜」。こちらは、生麩をそぼろ風に仕立てて山椒の実をあしらったもの。佃煮にしては薄味で、京の食文化を思わせる上品なおいしさでした。ちなみに雲珠桜というのは、ひとつの桜の名前ではなく、鞍馬山に咲く桜全体の呼び名だそうです。(mt)

[イラストのはなし]

鞍馬山、取材前にいろいろ調べてみたり、人からの話を聞いた先入観としては「とても暗くて恐ろしい雰囲気」という思いを抱いていた。天狗のルーツというくらいだから、平安京の鬼門、魔界への入口というくらいだから、さぞかし怖い形相の天狗を勝手に想像していた。ところが実際に行ってみると、たしかに厳かな雰囲気ではあるが、そこまで恐ろしい印象は受けなかった。そして現実の天狗は土産屋にいた。しかもかわいいやつが・・・。

そんなつながりがこのイラストにもよく表れていると思う。Vol.1とはまったく別の世界ができ上がった。とにかくひと言「湧き水の勝利」に尽きる。その理由は・・・、いつかの機会に話そう。

 

[鞍馬街道]

京都の七口のひとつ「鞍馬口」から、日本海に面する福井県小浜市までを最短でつなぐ古来の街道。鯖街道のひとつでもあり、参詣の道でもあり、そして軍事路でもあり、時代を通じてさまざまな役割を果たしてきた。該当する国道はなく、主に府道38号〜110号、滋賀県道783号、福井県道35号をたどる。
※滋賀・福井県境を通過するルートは、車では走行できません。

[鞍馬山]

鴨川が「賀茂川」と「高野川」に分かれてちょっと先にある「出雲路橋」西詰が、鞍馬街道の出発点となる「鞍馬口」。府道32号〜40号、そして府道38号に合流して北上すると、「貴船口」にたどりつく。ここを左に曲がって府道361号を北に向かえば「貴船神社」、右に曲がってそのまま府道38号を進めば、「鞍馬山(鞍馬寺)」にたどりつく。ちなみに、大原にもスムーズに立ち寄れる。

小町寺(補陀洛寺・フダラクジ)

小野小町が晩年をすごしたという伝承のゆかりで、小町寺の通称で親しまれている。本堂内には「小野小町“老衰”像」が祀られている。本人からしてみたら、大迷惑なことだろう。なお、もっとキモかったのが、この写真のそれ。「梨か桃の実を包んだものじゃないの?」いやいや違います。この白いもの、すべて「モリアオガエルの卵」です! 全部ふ化したら一体どうなるんだ?

木の根道

鞍馬山、しっかり歩き回った。最初は「義経堂」くらいで折り返そうかなんて弱音を吐いていたのだが、踏ん張って「奥の院魔王殿」までたどり着いた。写真のような道も通ったのである。さながら「サバイバルハイキング」(これはちょっと大袈裟か)。成功の秘訣は次の2点に尽きる。ひとつは晴れてくれたこと(汚名返上⇒Vol.1の広告参照)、もうひとつは、最初に楽してケーブルカーに乗っておいたこと・・・。

水占い(貴船神社)

占いの類を一切信用していないので、基本的には見向きもしないのだが、これは面白そうなので、「取材」ということでやってみた。ちかくにある「水占斎庭」に紙を浮かべる。⇒ライターともども「大吉」。決して大吉だらけというわけではなく、隣にいた女子高生は「小吉」「末吉」だった・・・(いい恋しろよ)。ちなみに当方、「旅行:行先利徳あり」⇒さすが旅男、ありがたい。「恋愛:思はず早くととのふ 安心せよ」⇒これまでの人生を振り返ると、真に受けて良いものか戸惑ってしまう。「出産:やすし」⇒私、雄なのだが・・・(でも友人に待望の第一子が誕生した!)。

川床料理

京都市街の鴨川のそれは知っていたが、恥ずかしながら貴船の川床料理はよく知らなかった。実はこちらのほうが本家だとか。私にはあまりにも「分不相応」なので素通りしようと思ったのだが、ライターと女将の強い勧めにより、個人史上最高価格の昼ごはんを堪能した。せっかくなので、開き直って5,000円(!)の鮎付きコースを頼んだ。いやもう、この雰囲気に圧倒されてしまった。気分はすっかり平安貴族である。あまりに気分良すぎて、仕事中の同僚にご満悦メールを送ってしまった(すみませんでした)。
※川床料理は5月〜9月まで楽しめます。お早めに!


[番外編:初蛍 〜大原にて]

取材の時期からちょうど蛍が見れる! そんな情報をかぎつけ、取材目的の半分は「蛍狩り」と化していた。ところが宿の人に聞くと、「今年は寒くてねえ、まだ蛍いないんですよ。」とのこと。「蛍見学ガイド付き」の宿泊コースを選んだというのに、これでは詐欺ではないか! しつこく粘った末、「じゃあ場所だけ教えますから、勝手に行ってみてください。多分見れないと思いますよ。」と場所を聞き出す。

ライターを強引に連れ出し、現場に赴く。確かに明りは「街路灯と家の明り」だけだった、しかも明るすぎる。あきらめきれずに待つこと十数分・・・。「tkさん、あれ!」とライターの声。おおおっ、これがそれなのかあ。とても小さなひとつの光が、ゆっくりと、しかし力強く点滅している。するともうひとつの光が動き出した。今度は飛びながら光を点滅させている。しかも川沿いの小道まで出てきた。サービス精神豊富なやつだ。

30過ぎて初めて目にした2匹の蛍。源氏か平家かもわからないが、生涯忘れがたい、素敵な瞬間だった。(これをビジュアルで伝えられなくて、本当にもどかしい!)

参考文献

  • 『週刊 日本の街道 No.37「京都・鞍馬街道」』(講談社 2003年)

取材協力

  • おみやげ ぎゃるり 「楽楽」
    住所:
    京都市左京区鞍馬本町(鞍馬寺門前)266
    営業時間:
    11:00〜17:00
    定休日:
    火曜
    電話:
    075-741-1291

    お店の方には、とても親切にいろいろなことを教えてもらいました。どうもありがとうございました。